<源之助と健吾のある日の会話2>
「源之助」―人間の言葉を理解し話す猫。一種の化け猫の類で、悪霊と対峙できる力を持つ
「健吾」―悪霊を浄化する力を持つ男。源之助と組んで探偵のような事をしている。
興味のある方は、本編の「猫の悪霊退治」をご覧下さい。
源之助(以下、源)「おい!!健吾」
健吾(以下、健)「なんだよ」
源「私達猫は、毛皮に覆われている」
健「ああ、わかってるけど」
源「私の毛は全身黒だ」
健「ああ、そうだな」
源「だが、よく見ろ」
健「何を?」
源「右前脚の先だけ白くなっている」
健「たしかにそうだな」
源「私達の仲間には、長い毛で覆われている者もいるが、私はそうではない」
健「そうだな」
源「スポーティーでスリムなタイプだ」
健「猫にスポーティーとかあるのか?」
源「私達猫は、この毛によって体温調節をしている」
健「まあ、そうだな」
源「人間と違って、服などを着る必要がない」
健「そうかもしれないな」
源「私達猫は、人間と違って、個体だけで完結しているのだ」
健「だから何だよ?」
源「しかし、人間は私達に服をきせたがる」
健「まあ、種類によっては日本の気候に合わないヤツもいるだろうけどな」
源「そうだ、暖かい国に生まれた者は、日本の寒さに耐えれない場合がある」
健「だから、飼い主が服を着せて体温調節をするんだろう」
源「その通りだ!それはいい」
健「何が言いたいんだ?」
源「問題なのは、そのような個体ではない者に服を着せる事だ」
健「ああ、カワイイからって服を着せる飼い主がいるな」
源「そうだ!まして、私達猫に面白服などを着せるヤツすらいる」
健「ああ、たしかに変な服を着せてる飼い主がいるな」
源「そうだ!特に、私達猫を正面から見た時に、二足歩行で歩いてるように見える服がある」
健「ああ、猫の顔の下に人間のような服を着せるやつだな。人形の手とかが付いてて、正面から見ると猫の顔に人間の身体が付いてるように見える服だろ」
源「そうだ!」
健「あの服がなんだって言うんだよ」
源「あの服はなんだ!飼い主が楽しむために着せているではないか!」
健「いや、良いんじゃないか。猫だってそれで飼い主が喜んでいたら楽しいだろうし」
源「何を言う!あのような服を着せられている猫達の微妙な表情がわからないのか」
健「いや、猫の表情とかはわからないけど」
源「あの表情は、笑われている者の表情だ!」
健「いいじゃないか、楽しければ」
源「ダメだ!」
健「何でだよ」
源「いいか、テレビという板の中の芸人という仕事の人間が言っていた」
健「芸人の話なのか?」
源「笑われてはダメなのだ!笑わせなければならないのだ」
健「いや、それは芸人の話だろ」
源「私達猫が着せられている服は、笑わせているのではない!笑われているのだ」
健「いや、ちょっと違うと思うぞ」
源「それは、芸人としてダメな事だ」
健「いや、オマエは芸人じゃなく猫だろ」
源「私が敬愛する出◯哲朗氏は、笑われようと笑わそうと、お客さんが笑ってくれるのなら、どちらでもいいと言っていた」
健「どっちでもいいんじゃないか!てか、敬愛する出◯哲朗ってなんだ」
源「しかし、そのような境地に達する事ができるのは、出◯哲朗氏くらいの芸人でなければならない」
健「いや、そんなに出◯哲朗を評価しているのか?」
源「ああ、あの鼻をザリガニに挟ませるのは最高だ」
健「出◯哲朗が好きなんだな」
源「だが、まだまだ私達では、彼のような境地には立っていないのだ」
健「まあ、そうだろうな」
源「だから、私達猫は笑われてはいけないのだ」
健「なんか、色々違うような気がするぞ」
源「だが、私は考えたのだ」
健「なんだよ?いきなり」
源「本当に、この面白服が、私達猫を笑い者にする道具なのか?と」
健「いや、だから、笑い者にしてるわけじゃないって」
源「試しもしないで、思い込みで判断してはいけないと考えたのだ」
健「オマエ、もしかして着たいのか?」
源「聞いていたか?」
健「だから、面白服を着てみたいんだろ」
源「私は食わず嫌いはダメだと言っているのだ」
健「結局、面白服を着たいんだな」
源「私は、これからのために検証するべきだと言っているのだ」
健「で?どれを着たいんだ?」
源「この、チャ◯キーのヤツがいい!!」
健「やっぱり着たいんじゃないか」
源「ニャー!!」




