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<源之助と健吾のある日の会話>

「源之助」―人間の言葉を理解し話す猫。一種の化け猫の類で、悪霊と対峙できる力を持つ

「健吾」―悪霊を浄化する力を持つ男。源之助と組んで探偵のような事をしている。

興味のある方は、本編の「猫の悪霊退治」をご覧下さい。



源之助(以下、源)「いいか健吾!人間は長い時間をかけて文明を築いてきた」


健吾(以下、健)「なんだよいきなり」


源「人間のたゆまぬ努力が、素晴らしい発明をしてきたという事だ」


健「いや、言ってる事はわかるけど、だからなんだよ」


源「猫である私は、この発明だけは素晴らしいと思っている」


健「なんだよ」


源「人間の発明の中には、どうでもいい物や自らの首をしめている物も多い」


健「まあ、猫のオマエから見たらそう見える物も多いかもな」


源「私は、人間の発明の中で唯一素晴らしいと思うものがある」


健「なんとなく解ったけど、なんだよ?」


源「このチュルルだ」


健「やっぱりそれか」


源「この絶妙な水分との割合」


健「いや、そんなに力説しなくても」


源「私達猫が食べやすく設計されている軟らかさ」


健「いや、知らないけど」


源「そして、絶妙な味付け」


健「猫の味覚は知らないけどな」


源「私はマグロ味が大好きだ」


健「ああ、そうなのか」


源「マグロの味の中にホタテのエキスが混ざり込み、絶妙な味加減となっている」


健「マグロ味なのにホタテも入ってるのか」


源「そうだ!!このホタテのエキスが、またマグロの味を引き立てているのだ」


健「そうなのか」


源「そして、このマグロとホタテのハーモニーが混然一体となった味はたまらない」


健「オマエはどっかの料理評論家か」


源「この両者の絶妙なバランスが、何度食べても飽きさせない味を作りだしているのだ」


健「ああ、そうかい」


源「そして、よく見ろ健吾!!」


健「なにをだよ」


源「このパッケージのフォルムだ」


健「パッケージ?」


源「そうだ!!この細長いパッケージは私達が舐めやすいように出来ている」


健「そうなのか」


源「テレビとか言う板を見ていないのか」


健「テレビ?」


源「あの池◯とかいう芸人が、私達猫を警戒させずにオヤツをあげれるのは、この細長いフォルムのおかげだろう」


健「ああ!!あの芸人が保護猫を飼う番組の事か」


源「そうだ」


健「そういえば、オマエ、あの番組を欠かさず見てるよな」


源「素晴らしい番組だ」


健「たしかに、あの番組のおかげで保護猫活動の認知度が上がったらしいしな」


源「いや、あれ程美味そうにチュルルを仲間達が食べる番組はない」


健「あ、いや、見てる所そこなのか?」


源「目の前に出されても人間が信用できずに我慢していたヤツが、がっつく姿は美味そうで仕方がない」


健「いや、オマエにはそう見えているのか?」


源「我慢して抑圧されていた状態から解放されて、一心にオヤツを食べるところは素晴らしい」


健「素晴らしいって何が?」


源「あの美味そうに食べる姿がわからないのか」


健「普通そんなふうに見る事ないけどな」


源「それは、相手を怖がらせずに適度な距離を取れるからできる事だ」


健「距離?」


源「そうだ、その適度な距離を作っているのが、このチュルルのパッケージのフォルムなのだ」


健「そんなに絶妙な距離感なのか?」


源「そうだ!!人間にはわからないだろうが、猫からしたら、このチュルルとの距離感は絶妙なのだ」


健「そんなに大事な事か?」


源「わかっていないようだな」


健「何が?」


源「もし、チュルルがこのようなフォルムでなかったならば、あの素晴らしい番組もなりたたなかっただろう」


健「いや、そんな事はないと思うぞ」


源「チュルルがあるからこそ、あの番組が成り立ち、そして多くの保護猫達が救われているのだ」


健「いや、保護猫達が救われてるかもしれないが、ちょっと違うと思うぞ」


源「そして、人間の世界では売れ行きの良い商品だけが生き残るのだ」


健「まあ、売れない商品は販売中止とかになるわな」


源「そうだ!!弱肉強食なのだ」


健「大袈裟だな〜」


源「それはもう、2丁目の強者が集まる野良猫界隈の勢力争いくらい壮絶なのだ」


健「いや、野良猫の勢力図とかしらないし」


源「なにを言う!!有名ではないか」


健「なんだ、2丁目の猫達はそんなに壮絶な戦いをしてるのか?」


源「そうだ!!弱き者は生きてはいけない世界なのだ」


健「いや、2丁目どうなっているんだよ」


源「そんな2丁目のような弱肉強食の世界で、チュルルという商品は生き残っているのだ」


健「ああ、チュルルの話ね」


源「だからこそ、人気商品として売り上げを維持する必要があるのだ」


健「言っとくが買わないぞ」


源「話を聞いていたのか!!」


健「聞いてたけど」


源「私達の力で売り上げに貢献して、チュルルを存続させていかなければならない」


健「いや、だから買わないぞ」


源「私達がチュルルを買えば、あの番組を存続し、保護猫達も助かり、なんなら世界が平和になるのだ」


健「なんならってなんだ」


源「世界の平和を守りたくないのか」


健「うん、買わないぞ」


源「オマエは、世界がどうなってもいいのか!!」


健「いや、毎回買い物に来るたびにチュルルを買わそうとするなよ」


源「ニャ〜!!」


健「つーか、今日の話は長いわ」


源「ニャ〜!!」


健「帰るぞ!!源之助」


源「ニャ〜!!」





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