第7話 安堵
倉庫の扉を少し開けてゆっくり覗くと、人が居る様子は無かった。しかし、所々錆びていた外見とは裏腹に、内装は整っていた。
(人は居ないがこの様子……定期的に誰かが来ているのはほぼ確定だ、いよいよ怪しくなってきたな……)と、内装を見渡し予想する。
「一旦散策するか〜めんど……」と、一人で怪しい物が無いか散策をした。
「う〜ん、ぱっと見何も無さそうだ。この明らかに地下通路につながってそうな取っ手以外はな」と、取っ手に目をやる。
妙に生活感が残ってる椅子達の、真ん中に置いてある机の下に明らかに不自然な枠と取っ手がある。
机を退け、取っ手を持ち上げると、案の上地下への階段が現れた。
「やっぱりな、……音はしない行ってみるか」
慎重に階段を降りて行くと、案外すぐに一番下に着いた。
そこには、大量の空の檻があり、階段のすぐ隣に机があった。その上には奴隷の密輸についての書類が大量に置かれていた。
「ビンゴだな……この書類を持って行けば俺の仕事は終わりだ」と、軽く溜息を付く。
「しっかし、今は檻が空で良かったよ」
そんなこんなで書類を取り敢えず持って行ける分だけ持って、外へ出る。まだ、昼過ぎで明るい。
「さて、セリアまで戻らんと行けん。何かここでゆっくりしたくないんだよな…」と、口籠りながら、アヴァロンの出入り口まで早歩きした。
「ふぅ……難なくアヴァロンを出れたし後は、セリアまで行ってこの書類達を渡せば終わりか〜」と言いながら背伸びをする。
――移動――
セリアの出入り口まで着いた、今は丁度昼過ぎだ。見ると帽子を被って壁に寄りかかっている男が居る。
「よっ!例の物を持ってきてやったぜ?」と、声を掛けると
「ちゃんと戻って来てくれて良かった!」満面の笑みを返して来た。
「これなら証拠として十分だろ?」と良い、大量の書類を渡す。
男がさっと書類を見通すと、
「あぁ! 十分過ぎる程の証拠だ! これなら確実に成功出来る」と言うと、涙を流しながら。「本当にありがとう……あんたは一生の恩人だよ……」感極まった様子で感謝を告げる。
「それなら良かった。俺はもう行かなきゃならない……元気でな」メアは歩き出す。
「本当にありがとう! 絶対にこの恩は忘れない!」
「……あぁ、いつか豪勢な飯でも奢ってくれや」
新たな出会いが待つ場所へ。また歩き出す