第6話 信念
(マズイ……あの目は本気だ)と、警戒し剣を抜く準備をした。
いち早く勘づいたのが功を奏し、剣を受け止める事ができた。
「これに反応出来るとは……意外と実力があるみたいだな?」と、傭兵が言う。
(くっ……思ってたより動きが速い)
「この程度で、実力を図れると思うなよ?」と、負けじと言い返すメア。互いに剣を押し付けあっていたが、メアが傭兵の剣を押しのけて一歩退ける。
「お前はこの倉庫を何の為に守っている? 依頼だから仕方なくか?」まだ揺さぶりを掛ける。
「くそっ……だから! 金の為だ! 金の為に働いて何が悪い!?」と言いながら突っ込んで行く。
キィーン、と甲高い金属音が響く。
「金の為かよ……なら、本当に知らない様だな?」
「あぁ、そうだ。金さえあれば…………」と、少し含みのある言い方をしながら、もう一度剣を振るう。
(動きが単純になってきた……効いてるな)
「金の為に振るう剣程軽い物はねぇよ……そんな奴に負ける気は毛頭ない」と、更に揺さぶり続ける。
「くっそ!! こっちの事情も知らずに好き放題言いやがって!」と、ムキになって力一杯剣を振るう。まだ数回しか剣を振っていないのに息が切れ始めている。(うっ……な……何で俺はこんなに疲れてるんだ……)
「仕方ない……教えてやるよ」と言いながら一歩離れる。
「何なんだよ?」と、耳を傾ける傭兵。
「お前の守っている倉庫は……密輸に使われている」
傭兵は驚いた顔で口を開いた。
「な、何だって……?」呆気に取られた様子で言葉を紡ぐ。
(これは来たな)
「その、密輸品とはな……」少し溜めてから
「人間だ」
「………………」傭兵は黙った、余りの衝撃に言葉が出せない様子。
(終わったな)
「お前が今やっていることは、人間を物扱いするクズ野郎どもの手助けだ。それを知ってなお、守り続けるか?」決め手の一言を言う。
傭兵は手に持っていた剣を落とし、膝を着いた。「な……何で。こんな……」かなり思い詰めた様子だ。
「俺はこれからどうなるんだ?」と、聞いてきた。
「奴隷商の共犯者として裁かれるかもしれないな?」
「そうか……」と、絶望をした表情。
それを見ていたメアは見てらんないので、助け舟を出してやる事にした。
「まぁ、別に知らなかった訳だし……イヤ、知らいで済む話では無いかもしれないが。俺は別に裁かれようが、裁かれないだろうがどうだって良い。それに何か事情があるみたいだしな」と、ペラペラ話す。
「それに、証拠を掴んでから、公に晒すまでには猶予がある。今から身を隠して慎ましく生きればまだ、取り返しは着くよ」
傭兵ははっとした
「許してくれるのか……? 俺はあんたに剣を向けたそれなのに……」と涙ぐみながら話す。
「あぁ、そういう事。それじゃ倉庫漁って来るからさ」倉庫の方まで歩いて行く。
「……俺はあの頃からずっと間違ってたんだな」と、小さく嘆き。傭兵は去って行った。