第5話 洞察
「さぁ!出発するか」と、コンディションバッチリの様子のメア。テントを畳み、早速足を進める。
道中メアは考え事をしていた。勿論アヴァロンについてだ。
(アヴァロンは商業都市、密輸をしてるって事は軽く検問位はあるかもな……)と、考えていると、街が見えて来た。真っ白で大きな壁だ。
「やっぱり、検問はあるな……だけど商人の荷物を確認してるだけで、旅人は普通に通れるらしい。まぁ、元々普通に訪れる予定だったしな」と、門を難なく潜り抜け、さっさと街に入った。
アヴァロンは非常に綺麗な街並みであった。これは、経済が良く回り潤っていると言う暗示でもある。
「ゆっくりもしてらんねぇし、さっさと片付けよう……」と、貰った地図を覗きながら、例の倉庫へと向かう。
人気はどんどん無くなっていき、怪しい雰囲気が漂う感覚がする。小汚い倉庫が見えて来た。周りに民家や倉庫は無く、ただちょっぴりだけ生えた林に囲まれ、隠れている様にも見える。メアは、倉庫に慎重に近づき、中の物音に耳を澄ませる。人の気配はしない……、扉に手を掛けた瞬間。
「おい! 止まれ! そこで何をしている!?」と、背後から声を掛けられた。
(しまった……こんなミスをしてしまうとは……)と、思い振り返ると。一人の傭兵が居た。
「貴様! ここで何をしている?」と、傭兵が尋ねる。
「どうも、傭兵さん。別に怪しい者では無いですよ」
「何を言っている? どこからどう見ても怪しいぞ?」
「そうですか、貴方は一人でここの見張りを?」
「? そうだが、そんな事は関係ないだろ?」
メアは占めた!と思い。
「一人で、こんな大きな倉庫を見張ってるんですか? 何か変だと思いませんか?」と、交渉を試みる。
「……確かに、変わった依頼だ。だが、そんな事はどうだって良いだろう? 」
(これは行けるな)「この倉庫に何が保管されているのか知ってるか?」と、問う。
「くっ……し、知らないがどうだって良いだろう! ……仕方ない、話していても時間の無駄だ……」と、言いながら剣を抜く。
「怪しい者には乱暴な手を使ってもでも、捕らえろと言われている。……お前を拘束させてもらう」――