第42話 強さ
レギッドの宿で目が覚める……。
「ふあぁ〜あ……。大丈夫だったな……。てっきり今回も夢を見ると思っていたが……」今回は何事も無く眠れた様だ。
一行は再び次の目的地へ向かう。
「次は何処に向かうんですか?」
「次は……と言うより、最後なんだな。フォーラって街だ」
「フォーラですか! 確かにここからは街が殆ど無くなりますね! フォーラはレッドラインに最も近い位置にある街です! なので、そこに住む人達は皆強い方ばかりなんです!」
「そうか……。ここからフォーラは2日もかかる。大変な道のりになりそうだ……」
その後一行は川の畔にテントを立てる。
「はぁ……疲れたな……」メアは疲れた様子で座っている。
「まぁ、あれだけ動けば疲れますよ」なんて雑談をしている。
「俺さぁ、あの時。投げナイフ投げてたよな?」メアが突然聞く。
「え、あぁそうですね。それがどうかしたんですか?」メイトが答える。
「レグレット。俺の腕がポイズンスライムに溶かされた時の事覚えてるか?」
「あぁ、覚えてるさ。油断して溶かされたあれだろ?」
「そう。その時はどうやって乗り越えたんだっけ?」
「確か、お前が予備の投げナイフを使って倒したな」
「そうだな、ミザリー。お前を助ける時、どうやって助けたっけ?」
「え? 確か〜、投げナイフを投げてた様な……」
「投げナイフで犬の魔物を倒してたな」レグレットが補足する。
「そうだ……。俺は良く投げナイフを使って危機を乗り越えていた……」
「一体どうしたんだ? 急に」
「メアさん……。今ここで言うんですね?」メイトが聞く……
「あぁ、これは恐らく大切な事だ。今の内に共有して置く……」
「俺は……投げナイフを使った記憶が無かったんだよ……」
2人は目を見開く……
「ど、どういう事なんですか?」
「俺はリーエさんに封印をして貰った。あの時からナイフについて何も分からなくなった……。投げた事も、投げる方法も……」
「だが、さっきの戦いでは投げていたじゃないか? 土埃の中からキングオーガの目を正確に狙える程に……」
「あぁ、そうなんだよ。俺は確かに投げナイフを使っていた。更に言えば以前までに投げていた記憶も今は戻っている……」
「そ、それでどうするんだ?」レグレットが聞くと……。
「ハッキリ言って今はまだ分からない……。ただ、これから教えるタイミングがあるかも分からないからなってだけだ……」
一行はこんな事を話し、明日の為に寝る事にした……。
一行はフォーラまで進み続け草原を歩き続ける……。
「そろそろフォーラが見えて来るかな……」そんな事を言っていると……
「皆さん! 上を見て下さい……」メイトが呼び掛けるので見てみると……
「あ、あれは?」空に何やら大きな魔物が飛んでいる……。それは……!
「ワイバーンか!」
ワイバーンは近づき、ファイヤーブレスを吐いて来る……!
「これくらい!」レグレットが前に出て、盾で防御する。
「後ろからも来ますよ!」
「何だと!」メアが後ろのワイバーンの鉤爪を防御する。
「サンダーボルト!」空から雷が落ちて来るがワイバーンは難なく避ける……。
「普通に撃っても当たらないか……。あんまり無駄撃ちするなよ?」と言っていると……。
タッタッタッ!
フォーラの方向から物凄い勢いで何者かが向かってくる……。
「えっ? 怖っ……」その人物は全身に鎧を纏っており、正に騎士と言った風貌だ……。
その者は走りながら槍をぶん投げる……。その槍はワイバーンの頭部を貫き、落下して来る……。
そして、その槍を瞬時に回収し、もう一体にもぶん投げる。ワイバーンはその槍を避けるが……。同時に投げたであろうナイフが翼に当たり落下して来る……。その隙に騎士は跳躍し、剣で叩き斬る。
「…………」
騎士は槍とナイフを回収し、話し掛けてくる……。
「大丈夫だったか?」
「……ありがとうございます……。貴方セノさんですよね?」メアはほぼ確信しながら尋ねるのだった……。




