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異世界水族館  作者: 極上トマト
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後悔する航海

のんびりやっていきます

 炎天下の中、俺は沖釣りを楽しんでいた。


「ふんふんふん」


 俺は釣り糸を垂らして魚が食うのを鼻歌を歌いながら待っていた。

 俺の名前は八重樫日向だ。20歳、現役大学生だ。そして俺は魚を釣るのが大好きな大学生だ。今日も夏休みという休日を利用して、朝から海釣りを楽しみに来たんだ。調子はぼちぼちと言ったところだけど。

 俺は気長に、浮きが沈むのを待った。

 しばらくたつと不意に浮きが水の中へと逃げ込んだ。それを確認すると俺は釣り竿手に取りハンドルを握り巻き始めた。


「来た来た来たー!」


俺は魚が罠にかかって大興奮した。

感触的に思った以上に大物だ。

俺は魚と格闘しながら徐々に魚を沖合に寄せていった。


「よし、やっと姿を見せてきたな。必ず俺がお前を食ってやる!

いくぞ、必殺男の高速レール巻き!」


これで一本釣りができたらいいんだがそんなアニメのような展開にはならない。

沖合に魚を近づけて、網を使って魚を捕る。


「くそ、もうちょっとでとれるのに」


 何とか魚を網に入れようとしていたがこの時の俺は気づかなかった。

 俺がつま先だけで体全体を支えているということをそしてこの体形で自身の体を支えることができず。


ドバァーン


 俺は水泳選手化のようなきれいなフォームで海に落ちてしまった。が焦らずに空気を吸いに地上へと顔を出した。


ぷはぁ~


 気分転換に海に入るのも悪くないかもな。まあ、とりあえず、網、網~っと

 俺は海底に落ちた網を拾いに空気を吸って水中へと潜った。

海底に落ちていた網を拾い、地上へあがろうと思った時、透き通ったような青色そして海底にはきらきら光った石が目に映った。


「ぶびぶぼぶばぶぼ?びびでばびでぶ!(光った石?金のにおい!)」


 俺は一目散に石のもとへ泳ぎだした。

 世の中、一に命と家族と友達と魚と釣り、二にお金だ。

 いくぞ俺の二つ目に大事なものを手にしに、待ってろ大富豪、俺が行く、魚たちよ道を開けろ。

 俺は青色に光った石を手に取った。

 その時いきなり明かりを浴びたような明るさが俺の目を襲ってきた。

 俺は恐る恐る目を開ける。けれどそこはさっきと変わらない、海の中だった。

 あの光は何だったんだ。と疑問に思いながら、上へあがった。その時、俺の目の前に映っていたのはどこまでも続いていそうな、水平線だった。


 俺は急いで辺りを見回した。するとそこに一台のいかだが置いてあった。他に地上へあがれる場所もなかったのでとにかくいかだの上へとあがった。


「よいしょっと」


俺は何とかいかだに乗ることができた。

まずは落ち着こうここにあるのは水が入ったペットボトル、そして申し訳程度の釣り竿と餌

これは現実なのか?俺はこれが夢ではないか頬を引っ張って確かめた。


「痛い」


夢でもなく、これは現実であるということがわかる。ということは、俺マジで


「異世界転移したの~!?」


いや、現状を理解することが一番だ。


もし異世界転移だったらお決まりの展開があるはずだ。


正直、この定番の展開を避けるわけにはいかない。


「ステータスオープン」


目の前にプレートのようなものが現れた。


[名前]八重樫 日向

[年齢]20

[スキル]釣り 水族館 鑑定

「どうしてだよ。レベルは?レベルは?」


 まあ、ラノベにおなじみのステータスがあったことに俺は内心ほっとした。

 もし、ステータスすら現れなかったら俺は今すぐ海に身を投げ捨てただろう。まあしないけど。

 いつも、頭の中に釣りしかない俺だがそんな俺でも心配する出来事が一つある。


「もしかしたら、大学に留年してしまうかもしれない」


 俺の中の優先順位が大学>自分の命になっている気がする。

 あぁー、真面目な俺が憎い。どうしてこんなにまじめな俺に育ってしまったのだろう。という嫌われそうな男の考えは捨てておいて。今は生活について考えよう。大学は三か月間休みだったし、一回置いといて、今は生活について考えよう。


 俺はいかだに置いてあったものを目の前へ集めた。

 まずこのペットボトル水は入っているがみんなこれを見ると必ずこの一言が言いたくなるはずだろう。


「少なすぎだろ。」


 俺はペットボトルを持ち上げてそう呟いた。

 俺の持っているペットボトル一本でこの漂流生活を乗り切れなんて考えただけでも死ぬたくなるっていうのに


 俺はこれからどんな風に漂流生活を乗り切ろうか考えている時あることに気づいた。

 そうだ!鑑定使えば何かわかるのかな?ていうか鑑定ってどうすれば、、、


「鑑定?」


 俺はとりあえず鑑定という言葉を口に出して言ってみた。

 すると目の前にまたもプレートのようなものが現れた。


「名前」無限のペットボトル

「説明」転移者を助けるためのお助けアイテム

    飲んでも飲んでもなくなることを知らないただただおいしい水。

    これで漂流生活を乗り切ってね!


 どういう原理で動いているんだ?中に特別な石でも入っているんじゃないか?

 俺はこのペットボトルの原理を解明してみたいと思ったがやめた。どうせここは異世界だし、俺の常識なんて通じるわけがない。ということは


「これは異世界でいうアーティファクトみたいなやつか」


ついでに今調べられるのも調べるか。


「鑑定」


「鑑定」

[名前]木のいかだ

[説明]もろいが壊れることはない何とか人一人横になる広さもある親切設計。

    だがこのいかだは完成形態ではない。転移者様の頑張り次第で進化をする。

    0/100


[名前]木の釣り竿

[説明]初心者のための釣り竿、劣ることを知らない

    今は連れる種類が少ないがいずれはたくさんの種類を釣ることができる

    0/50    


[名前]初心者用の餌

[説明]なくなることはない魚の餌

    魚をたくさん釣れば種類が増える。

    ・マムシ

    0/10


[名前]初心者用調理キット

[説明]調味料もあるから安心してね。

    0/10    


「これら全部進化型アーティファクトなのか?ってそれよりも調味料って塩だけじゃねえかあとナイフとまな板だけってこれじゃあ刺身しか食えねえだろ~」


 まあ、今は多分レベル1の状態だけど全て国宝級のものだ。俺なんかがもらっていいのか不安になってきた。

 急にこんな高級なものをもらえたけれど、昔習った勉強の内容がたった今しっかりと分かった気がした。


 需要と供給が成り立っていない。


「まぁ、いいか」


 それよりもいかだが進化したりするということはそれなりに過ごしやすくなっていくんだな。

そして魚を釣れば餌の種類が増えるということらしい。

 餌の種類が増えると、獲れる魚の種類が増える神様もそこは考えてくれているんだな。

 じゃあ下の数字は魚を釣った数か?それに応じて進化していくということだな。


「ぐぅー-」


 そうだ俺今日朝から何も食べていなかったんだ。

 太陽はちょうど真ん中あたりにあるからちょうど十二時ぐらいだろう。


「まぁ釣ってみないと何も始まらないか」


 俺は木の樽に入ったぼろい竿を手に取った。


 こうなったら、異世界の魚全部コンプリートしてから現代に帰ってやるよ。


 俺は気の釣り竿に餌をつけて海に放り投げた。


 調子のいいこと言ってたんだけど海釣りは個人的に初めてで、少し興奮しているんだよな、今までは沖で釣りをしていただけだったから


 海釣りのコツを本で読んどいたらよかったな。でも大体は沖釣りの時と変わらないだろうから魚が泳いでいるように見せればいいか。


 俺は餌を魚が動いているかのように動かしながらかかるのを待っていた。

 竿を動かしながら少し待っていると不意に竿が引っ張られている感覚がした。


 俺は急いでハンドルを握り、糸を巻こうとしたけれど


 そうだったいつも俺が使っている奴じゃないんだった。


 いつもの手癖がついたのか、糸を巻く癖ができてしまったみたいだ。いつか俺の愛用していた釣り竿になってくれないかなということを考えながら俺は慎重に竿を動かしていった。

 徐々にいかだのほうへ魚を近づけ、疲れるのを待った。

 そして少し引きが弱くなった瞬間に竿を思いっきり引っ張り、魚をいかだの上に釣り上げた。


 これがいわゆる一本釣りである。糸がつきながら俺の真上を魚が泳いでいる姿は芸術作品のように美しかった。今まで網でとっていたのでその美しさに気づくことができなかった。


 釣れた魚を見ると今まで見たことのないような魚であった。

 この魚は異世界産の魚なのか


「全身が青い?」


 そう、まず見た目から地球で釣れる魚と全く違かった。

 見た目が真っ青で海の色と全く同じであった。が魚の特徴はアジのようだった。


 俺は判断に困ったがこんな時に神様が用意してくれた鑑定が役立ってくれる。


「鑑定」


[名前]海アジ

[説明]天敵から身を隠すために海と同化する能力を身に着けたアジ

    海っぽい色だから海アジという名前になった。

    海に潜っていたら体にもぞっとした感覚があったら50パーセントこのアジの仕業である。

    普段はめったにとれることのない希少種

    魚の目が宝石のようなものでできていて、危険を感じないときにはこの目の光を現して求愛     行動をする。


「確かに」


 俺はアジと目を見つめあっている。

こうしてみると確かにきらきら光っているな。目だけは大事にとっておこう。

後々役に立つかもしれないからな。あわよくば豪遊するための資金に


「ぐへへへ!」


 悪役のような笑い声が出てしまい、俺は慌てて首を振った。

違う違う、これはそこまで大事じゃない。


アジなんだアジなんだから味・はアジだよな。しかもこのアジ歴戦の猛者みたいにあ・じ・があるな。


「へっくしゅん、今めちゃくちゃ冷たい風が吹いた気がしたな。」


 もしかして俺はおなかがすきすぎて正常な判断をすることができなくなっているのかもしれない。

 早く食べなければ馬鹿になってしまう。なるほど俺がテストの点数が悪い理由もすべて食べ物を食べていなくておなかがすいていたからだ。


 ・・・もう、この考えはやめよ。自分がむなしくなる。この悔しさを料理に込める。


 俺は簡単調理セットを取り出しいかだの上に開いた。


「さぁ、始まりました。三枚おろしクッキングまず皆さんが準備するのはアジ、まな板、包丁この三つです。


 まず初めにアジの頭を切りを落とします。

 ここで重要なポイントはもし頭を切り落とした時に目玉をくりぬいておくことです。

 さあ皆さん頭を切り落としたら背骨に沿って包丁を入れ左身と右身に分けます。左身に背骨がついて二つに分かれている状態を二枚おろしと言います。

 そしてそこから最後の工程に移ります。背骨が残っている左身の骨を取り除けば三枚おろしになります。

 詳しいことは三枚おろしWIKIと調べると出てきますので詳しいことはそれで調べてください。三枚おろしクッキングでした。でそこから一枚一枚切っていくと刺身になる。ではアニサキスがいないことを祈っていただききます。」


㊟皆さんは祈らずに確認してから食べましょう。主人公は特別な訓練を受けています。


「アニサキスがいなかったことに感謝してごちそうさまでした。結構うまかったな。と言いたいところだが醤油が無いと刺身の良さがわからない。

それよりも今日一匹釣ったってことはあと九匹釣ったら簡単調理セットと餌の種類が増えるということだろ。待ってろよ醤油!今迎えに行くからな。」


 俺は食事を終えた後夜になるまで釣りを続けた。

釣りを終えたときには夕日が沈みそうになっていた。


「どうして、どうして海アジしか釣れないんだよ。」


 今日俺が釣った魚は四匹の海アジだけだった。

 俺は海アジしか釣れなかったというショックで夜のことなど一つも考えていなかった。

 もちろんいかだに明かりはない。気づいた時にはあたりが真っ暗だった。


「まずい、何も見えない明かりは」


俺は唯一の希望になるであろうスマホを探そうとした。が俺は見つけることができない。もちろんそこにあるはずはない。


「水にぬれるとまずいそう思い俺が沖の上に置いていたんだ。」


 周りが見えない絶望の中俺はスマホが無いという絶望を味わい俺の人生史上最大のピンチが訪れていた。何も見えない絶望の中。いかだの上へ寝転がり、空を見つめる。


 辺りは真っ暗の暗闇だが空には満点の星空が広がっていた。

 この光景だけでも一生に一度体験するかしないかの光景だけれど俺はこの後千年に行っていいほどの素晴らしい光景を見ることになった。

 しばらく星空を眺めていると不意に青色の光がオーロラのように現れた。

 光がどこから出てきているのかはわからない。

 俺は体を起こしどこから光が来ているのかを探した。

 右、左、前、後ろ、上どこからも光が出ている感じはしない。

 俺は諦めかけたその時いかだの隙間から漏れ出している青い光が見えた。


「下?」


光は下から現れていたことに気が付いた。下には大量の青い光が蠢いていた。

誰かはこれを見て恐怖し、誰かはこれを見てきれいだと感嘆する。


 今日、俺が今日海アジしか釣れなかった理由がよく分かった。

 ちょうど俺のいかだの真下に大量の海アジが存在していたんだ。

 俺は気分がよかった。あの美しい光景を見ることができて。

 俺は物思いにふけていると青い光が二つ、また二つと何事もなかったように消えていく。

 魚たちが眠りについて行っているのだろう。

 さっきまできれいで騒がしかった光景が何事もなかったかのように消えていった。

 魚が瞼を閉じると同時に俺の瞼も自然と閉じていき、俺はどこか深い海の中へと落ちていった。

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