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『吸血狐っ娘』の嫁と世界を巡る冒険譚  作者: 四葉のアミア
一章
32/42

32話

ほんの少しの残酷描写あるよー

 



 砂埃が舞う。その原因は地面を埋め尽くすほどの魔物。


 それに相対するのは数千の冒険者と騎士達。



「では、冒険者諸君。騎士達よ!すぅぅぅ……魔物を蹴散らせぇぇ!!!!」


 ギルマスの一言を皮切りに、城壁の上に居る魔法士達が一斉に魔法を放ったり詠唱を開始した。それを城壁の前に一列に並んだ僕たちは見ていた。


(始まったか…)


 スタンピードは久しぶりだ。もう一回経験できたら運がいいかな?と思っていたけど…まさか2回目のスタンピードが地平が埋もれるほどの魔物が居るとは想像もしなかった。


「近接戦は仕掛けにいくな!向こうが来るまで待機しろ!」


 ギルマスがそう叫ぶ。ちなみにギルマスは見た目の割に魔法士だ。…よく声、そんな届くな。風系統の魔法を使っているのだろう。



 城壁より放たれる無数の魔法が魔物を吹き飛ばしていく。しかし、それでも魔物の勢いは衰えない…仲間の死体を踏み越え進んでくる。


 スタンピード時の魔物は理性や知性がないのでは?とよく言われるらしいが、この光景を見るとそうなのかもしれない。

 スタンピードにはボス魔物と言われる…いわば、司令官的な強力な魔物が存在しており、そいつを倒すと魔物達の動きが止まる。しかし、その魔物が居る場所はスタンピードの一番最奥、しかも周りには6や7の魔物が居ると言われている。絶対に行きたくないね…



「…不味いな」


 僕の隣にいる冒険者がそう呟いた。


 魔物達の方を見れば直ぐに分かった。放たれる魔法の数が先程より少なくなって来ており、その影響で何体かの魔物が抜けて来ている。恐らく魔力切れだろう…


「来るぞ!!」


 誰かがそう叫ぶ。それと同時に僕と同じ近接戦を仕掛ける冒険者全員が構えた。

 ピリピリとした空気が漂う。


 僕も剣を抜き、やや腰を落として構える。


 身体強化系の魔法を使う。出し惜しみはなしだ、油断すれば簡単に命が持ってかれる。

 見えてる範囲内で4の魔物はもちろんのこと、5や6もチラホラ混じってるからね。



「どんどん来るぞ!!」


 その叫び声の言う通り、最早魔法が放たれてる数は最初に比べて数十個まで減少した。あれでは少しの魔物しか殺せない。


「近接バカども、行くぞぉぉぉぉ!!!」


『おおぉぉぉぉぉ!!!』


 このノリに乗るのは少し恥ずかしい気持ちもあるけど……


「おぉぉぉぉ!!!」


 やってやるさ。戦いは楽しまなくちゃね。



 〜〜〜



 誰かが駆け出す。それに続くように次々と他の冒険者が武器を手に魔物へと駆ける。

 僕もその一人。アダマンタイト鋼の剣を片手に目の前の魔物へと駆ける。


「はっ!」


 ズバッと魔物を斬り殺す。



 そこからは乱闘だ。


 そこら中で戦いが発生し、作戦の"さ"の字も無い。


 僕も次々と魔物を斬り殺す。しかし、どんどん進まずに時々下がったりしたりしている。


「っ!!」


 嫌な予感がしたので、横に跳ぶ。遅れて、背後から鋭利な爪が僕が居た位置を襲った。


「デスパンサーっ」


 6の魔物、素早い動きと鋭い爪で敵を斬り殺す強力な魔物だ。しかも、音もなく接近してくるし勝てない相手だと分かったら直ぐに逃げる面倒臭い相手だ。


 こんな普通に6の魔物が居るとは…


「くっ!」


 ガキンッ!!とデスパンサーの爪を剣で受け止める。ギャリギャリィィ!!と嫌な音が鳴る。


 この状態では【滑】は使えないので僕はデスパンサーの腹を思い切り蹴り飛ばす。


「キャンッ!!」


 デスパンサーが蹴り飛ばすと同時にそう鳴いたが、体勢が崩れているので受け身を取られて逃げられる前に…斬り殺す!


「【斬】!」


 デスパンサーの首を斬り飛ばす。遅れて首が無い胴体が断面から血飛沫を上げ倒れる。


「うぐっ!?」


 背後から衝撃を受け足元がふらつく。

 ふらつきながら片足を軸に体を回転させながら剣を振るって上位ゴブリンを斬るが、体勢が安定していなかったせいかゴブリンが胸の中央から血を出しながら手に持つ枝で殴りかかってきた。


「くっ…」


 これは食らうっ…


 そう思っていたら背後から誰かがゴブリンを斬り殺した。


「大丈夫か!」


「助かった!」


 助けてくれた男の冒険者に感謝を伝えながら体勢を整える。


「冒険者は助け合えだ!」


 そう言って男は走って行った。何ランクの冒険者か知らないが、本当に助かった。


「冒険者は助け合え、か…そうだな」


 冒険者にとって常識だ。


 目の前に大きく振りかぶって僕を切り殺そうとしてくる獣型の魔物の攻撃を回避し、お返しにと顎下から頭蓋ごと貫通させるように剣を突き立て、そのまま背骨に沿うように動かして半分に斬り裂く。


「…ふぅ…」


 一呼吸……よし!


「向こうは大丈夫そうだね…あっち、は気にしない方が良さそうだ」


 辺りを見渡してそう呟く。…なにやら一箇所爆発みたいな勢いで粉塵が舞い上がっているが、気にしないでおこう。「らぁぁぁぁ!!!」と勇ましい声が聞こえてきて、その後爆発が起こってるけど気にしないでおこう。うん。



「まだまだ行くぞ!っはぁぁ!!」


 剣についた血や脂肪を軽く振るって落としてから駆け出す。



 まだまだ戦いは長引きそうだ。だけど、負けるわけには行かない。








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