浮上
暖かな光が周りを囲っていた。
体の緊張がほぐれていく音がした。
目を開けて周りを見渡すもぼやけて何もわからなかった。
瞼が澱みなく閉じ思考を捨てた。
何もないこの空間で永久的にこのまま浮遊すると思われたが上から声がした。
その空間は心地よく名残惜しかったがゆっくりと目を開け声のする方に
意識を向かわせていった。
「・・・・ぶ?」
「ねぇ大丈夫?」
その声につられるように意識を少しづつ覚醒させ目を開けた。
するとそこには大きな碧い目があった。
「よかった〜ようやく目が覚めた。少し驚かせるだけのつもりだったんだけど・・」
ほっと安心した声を聞いたと同時に転がるようにしてカケルは起き上がると
目の前にはベンチに座った透き通るような白髪をした美少女がいた。
ふふっと笑った目の前の少女は先程起きたことをつげた。
薄暗がりの中浮かぶ黒い点を目で追うと人がいてあまりに面白い歩き方を
しているから少しおどかして見ようと思い自分が身を乗り出せる場面まで待ち
「ばぁ」とおどかすとその人は一瞬で気絶。
そのまま後ろ向きに倒れて大の字に道路の真ん中で寝てしまった
俺を放置するには行かず公園へ運び介抱してくれていたそうだ。
「本当にごめんね。あんなに驚くとは思ってなくて」
と彼女はおかしそうに言った。
あまりの恥ずかしさに笑うにもいかずカケルは
困ったような愛想笑いしか出すことができなかった。
ことの成り行きを聞きやっと状況を飲み込むことができたカケルは疑問を少女にぶつけた。
「そもそもなんでこんなところに1人でいたの?」
「夜が好きなの。たまに散歩してるんだよ」
ぷらぷらと足を揺らしながら少女は答えた。
「女の子1人で怖くないの?」
「全然怖くないよ。ワクワクして歩いてるよ」
と彼女はそんなこと思いもしなかったという顔で言った。
「俺には理解できそうにはないな」
そう言ってカケルが適当な場所に腰を下ろそうとすると
「こっちにおいでよ」と少女は自分の座るベンチの横に手を置いた。
少女が座る場所から少し間を開けてカケルが座ると
少女は手をこちらに伸ばしてカケルの髪の毛に触れた。
突然のことにびっくりして身構えると彼女は
「君の髪って本当に綺麗だよね。さっき触ってる時も思ってたけど」
と言った。
髪のことを褒める言葉にカケルは照れながらもすっと身を引き
そして自分の髪の毛を触りながら少女の方を向いた。
「君の髪もとても綺麗だと思うよ」
「ありがとう。とても手入れ大変なの」
そう言って彼女は歯にかんで笑った。
「ところで君の名前は?」
「俺は黒髪 駆」
「駆っていうんだ 私は椎名未来。 よろしくね」
と彼女は手を伸ばしてきた。
それに応じるようにカケルも手を出した。
「ところでカケルは今帰り?」
「そうだけど」
「なら家についっていってもいい?」
ちょっと宿題見せてと言ったようなノリの
爆発宣言にカケルは目を点にすることしかできなかった。




