5/7
どうでも良いからこそ本気になれる
11. 償い
軽いだけの我が身を思う
何をせんとも無暗に塗れて
人をたがいて心を傷つけ
どうとも思わぬ自分を厭う
12. 慈
差し向けた花束を
遠く離れた貴方へと
桜模様に象った
貴方の微笑みが懐かしい
差し向けた花束よ
遠く遠くへ飛んでゆけ
13. 水滴を纏う
水飛沫が私に延びる
その一粒が 雫となって衣服に帯びる
綺麗なものだと思わず触れた
(見事なものですね
えゝ、これが翅綿です
天より来たる我らが命水)
粒が弾ける その細やかな均衡が
一気に崩れる その輝いていた反射体は
糸に染み込み 暗さと影に変化する
ただの汚れに成りおちた
(醜いものですね
えゝ、これが正しくある姿
幻想から抜け出した
本質そのものであります)