一話
桜が咲いていた―
その日は学校全体が暖かく、いかにも入学式といった日だった。
ただ私を除いて…
私、水品静香は新高校一年生で今日の入学式では迎えられる側だった。そんな日でも、私の心の内は全く明るくなかった。
私は中学生の時からいわゆる陰キャで、性格も暗く顔も地味、いじめられることこそなかったが、クラスでは空気のような存在だった。
そんなのだから友達も少なく、高校に上がるとともに周りは知らない人ばかりになってしまった。
そんなこんなで入学式が終わってから一日立ち、クラスにも(空気として)なじんできた。
休み時間、変な噂を耳にした、その噂は『自殺部』というなんとも物騒な部活動がうちの学校にある。というもので、自殺をしたいという旨の文と自分の座席を書いた手紙を、職員室にある箱に入れるとその自殺部というのがやってくるらしい。
自殺部がやってきて何をするのか知らないが、やっぱり自殺の補助のようなことをするのだろうか、それならば立派な犯罪では?
まぁ、こんなことも話す友達はいないんだけどね、
その次の日の昼休みには、図書室に居た。クラスもだんだんとにぎやかになってきて、何か居づらくなったからなのだが、元々本が好きな私には普通に居心地もよかった。
前から気になっていた本が置いてあったのでそれを手に取り、読んでいた。
その本は今有名な作者の本で、小難しい単語を使って物語を描くが、そんな文をゆっくりと読み解くと、とても綺麗で繊細な情景が目の前に浮かんでくる。色んな人に紹介されているのも十二分に納得できる。
そんな調子で読みふけっていたら「あの…時間大丈夫?」と司書の先生に声をかけられた。時計を見ると、針は一時二十三分を指していた。もう図書室には三人しか人はいなかった。急いでその本を戻し、教室へと走った。
教室に行くと、皆部活動紹介に行くために並んでいて、急いで机の上にあったプリントを掴み、列に並ぶ。
体育館につくともう自分たちのクラス以外座っていた。人数確認をされ座る。持っているプリントには、この学校の様々な部活動が載っていた。
それを適当に見ていく、陸上部から野球部、バスケ部や剣道部などの運動部から、吹奏楽部や美術部などの文化部も沢山あったが、最後に書いてあった部活の名前に目が釘付けになった。
【自殺部】
色々な部活動の紹介があったが、無性に自殺部が気になって全く耳に入ってこなかった。
自殺部は壇上に上がることは無かったが、プリントに書いてあったことで、完全に噂だと思っていた自殺部は噂なんかじゃないと私は思ってきた。
六時間目の部活動紹介も終わり、放課後になった。
私は部活に入る気は無いので、仮入部はしない。私はもう校庭にいた。
話しかけられなければそのまま帰っていただろう… 話しかけられなければ
「ねぇ、ウチの部活に入らない?」
後ろを向くと、だいぶ派手な女子がいた。見た感じ普通の陽キャだろう、私とは一生関わりはないだろう。名札の色を見るに二年生。ただただ部活の勧誘といったところだろう…
「いえ、私は部活に入る気はないので、」
「えー、入ってよぉ」
「というか何の部活なんですか?」
次に出てきた言葉で私の頭は硬直した、あの
「自殺部」
という言葉で、