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第2回 衣玖と留音のロックな思い出話

このシリーズを形成する中で最も知り合ってから長い留音と衣玖。


アウトドアな運動少女である留音と、対極的にインドアで頭脳派な衣玖の出会いは一つの喧嘩からだった……!


 彼女たちの集まりも、最初は二人から始まったものだった。そんな出会いの物語を語れる機会というのはなかなか来ないだろう。いつも宇宙帝王軍を相手に大立ち回りをしたり、地球の旧文明の遺跡でトラップを掻い潜るような生活を送っているのだから無理もない。


 そんな中で稀にある平穏の日。今日は普段よりずっとゆったり過ごしていて、昔話をするには良い機会かもしれない。



「真凛ーあたしのペン知らない?」


 留音は机の上に製作中のロボットのプラモデルのパーツを置き、キョロキョロと辺りを見回しながら掃除をしている真凛に尋ねる。西香とテーブルゲームをしているあの子も自分の周りにないかと注意を払っていた。


「ペンですか?ボールペンならここにありますけど……」


 真凛は近くにあったペンを取って聞くが、留音は違うと首を振る。すると衣玖が付け加えるように言った。


「墨入れ用のペンでしょ。さっき自分で箱の下に入れてたわよ」


 衣玖は真剣にアニメを見ながらチップスに手を伸ばしている。言われた留音が箱の中をゴソゴソと探るとロボットの顔が書かれたプラモデル用のペンが出てきた。パーツの凹凸に立体感を出すために必要なものだ。


「あ、本当だ。さんきゅー。悪い真凛、あったわ」


 真凛は気に留めないで掃除に戻る。その間に衣玖がテレビに視線を釘付けたまま机の上で何か探すように手を遊ばせていると、その手を見た留音が近くにあった手拭きを投げて渡した。衣玖は「あんがと」と小さく言う。


「はー。あなたたち、前々から思ってましたけど、友達でもないのに息が合ってますわよねぇ」


 二人の様子を見た西香が関心しながらそう呟いた。


「もう西香さん、何言ってるんですかぁ。二人は正真正銘お友達ですよぅ」


 あの子も明るく頷いている。だが西香の意見は違うらしい。


「真凛さんこそ何を言ってますの?こんな淡白さで友達な訳ありませんわよ。友達だったら同じことに取り組むんではなくて?衣玖さんはプラモデルに全く興味を示してませんし。留音さんもアニメを熱心に見る人ではありませんわよね。それにお二人がメールをしている姿も長電話をしている姿も川辺で殴り合って和解している姿もどこぞの草原で寝転がって星空を見上げながら手を掲げている姿も見たことありませんもの。ですわよね?お二人とも?そういうことしませんでしょう?」


「必要性を感じない」


「そうだな」


「ほらやっぱりそうですわ」


 同意求められた留音と衣玖は心からどうでもよさそうに返事を返すと、西香はどやっと満足したような表情で真凛を見返している。


「えぇー?でも……あ、そうだ。ちょっと待っててくださいね」


 真凛は掃除道具を置き、別の部屋からアルバムを持ってきた。開くと小学生くらいの衣玖と留音の写真が出てくる。


「ほら、これくらいの時から一緒なんですよ?友達ですよぉ」


 ね?と柔らかい表情の真凛に、西香は何も知らないのねと言うようにため息から会話を続ける。


「はぁ、真凛さん?年期で友達になれるなら苦労はありませんのよ……でもなかなか興味深い写真ですわね」


 西香がページをめくっていると留音と衣玖も気になったらしく覗き込んでくる。


「随分懐かしいわね。あーこの頃のルー、超鬱陶しかったわ」


「あん?そりゃお前だろ。周りのこと超見下してたよなぁ……」


「ま、まぁまぁ」


 険悪なムードを感じ取った真凛が諌めるように間に立つが、どうやら杞憂で終わりそうだ。


「でも、あなたのおかげで私は本当のロックを知ったのよね」


「何言ってんだ、お前は最初からロックだったさ」


 サクッと喧嘩にもならない雰囲気で、それぞれ机の両サイドに座ってリラックスしたようにアルバムを眺め始めた。この二人の出会いは喧嘩から始まるのだ。


 あれは一体何が原因だったか。時期的に小学生の高学年頃。学校で班下校をする日、校庭に生徒が集まっている時に衣玖のしている事が気になって声をかけたのが留音だった。で、あっという間にお互い臨戦態勢に入る。


「おいチビ助、いい加減にしろよ?」


「なによゴリラ女。あなたも価値観の奴隷ね……うんざりだわ」


 ビリビリと敵意剥き出しに火花を散らす幼き留音と衣玖。背には差があれど、一応どちらも高学年であるのだが、会話の内容はこんなんだった。


「いいか。一足す一の答えは田んぼの田なんだよ。この場合はなっ」


 留音が押さえ付けるような口調で正解を教えるのだが、小さな衣玖は最初から相手にしない雰囲気で涼しそうに鼻を鳴らす。


「ふん、IQ一桁がなに言ってるんだか。問題は『一足す一は?答えは二以外の物、なーんだ?』でしょう。田んぼの田、だけが正解なんてありえないわね」


 そうそう、喧嘩のきっかけはこんなものだった。二人は政治でも主張し合うように真面目だ。1+1=田……マッチパズルのような要領の文字遊び。


「いいんだよ!子供的にはそれで納得するんだから!なのになんだお前の答えは!なんだよ『宇宙』って!そこの下級生を泣かせるまで説明する必要もねぇよ!」


 びし!と留音は背後でしくしく泣いている下級生を指さすと、衣玖の方は肩をすくめてやれやれとため息を吐く。


「はぁ〜あ、本当にうんざりね。私はもちろんIQ一桁のネットワーク内で答えが田んぼの田になる事を知っているわ。この問題は田の字を作る材料が揃っているから田になるんでしょう?でも動かす文字に制限は無いし、フォントの違いで文字の形もバラバラになるのにも関わらず田の形が成立するなら、大きさの変更も自由度が証明されているわ。そもそも条件付けすらされていない。その上で一足す一で田んぼの田が作れる、それはつまりなんだって作れるという事。その広がりは無限の宇宙にも等しい。だから答えは宇宙。その子も最初はでもでもって言ってたけど、私の説得で最後はわかってくれたわ。これがロックよ!!」


 わかってくれたというより、従わせたにも等しい。


「知るか!意味わかんねぇよ!」


「うわかわいそー、ロックを知らないのかしら。可哀想だから教えてあげるわ。ロックというのはね、価値観に縛られず、他人とは違う道や意見を持つ事よ!それは宇宙的開拓精神……心のあり方っ!」


 何かに浸るように、ふふーんと鼻を高くしながら「素晴らしいでしょう」という心の声が聞こえてきそうな声音で主張している。だが留音は被せ気味に言葉を遮った。


「お前のはただのイチャモン屁理屈だろー!」


 衣玖からは怪電波が発せられていそうな気がして、留音は後ろで泣いている下級生をかばうように前に出てそう言うと、衣玖は露骨に嫌そうな顔を浮かべる。


「む……ロックを馬鹿にしたわね……人類が持つべき精神の在り方を馬鹿にするとは許せないわ!私はね、あなたのように自分の価値観を押し付けて来る無知な馬鹿が大嫌いなのよ!」


「なんだと!じゃあチビ助が年下の女の子を意味不明な理論振りかざして泣かせてるのは良い事なのかよ!」


「愚問ね、この下級生は私のロックな考えを知り、自分の中の常識を打ち破ったから泣いているのよ!成長という変化に伴う痛みから来る涙……物事の多面性を知るという事を一概に悪いだなんて、よく言えるわね!価値観の奴隷め!」


「ぐ、ぐぬぬ……」


 勢いになんとなく圧倒され、そのままなんとなく納得させられて反撃が出来なかった。


 その様子を見た衣玖は勝ち誇った表情だ。


「ふん。ロックの精神を持ったらいつでも挑みに来なさい。私のIQは2億9999万9999.14159265368979だけど、ちゃんと相手を……」


 ぴきっ。留音の方からそんな音。


「うるせーチビやろー!いいからこの子に謝れ!」


「あー!いたいたいいたいいたい!頭グリグリははんそくだー!IQが下がるー!でもあやまんないー!やめれー!」


 体格差で圧倒的有利な留音はいろいろ面倒だったので力に頼って黙らせた。とは言え流石に勝った気にもなれない。


 再戦を誓った留音は歪んだロックに対抗するためにあらゆる修行をした。六甲おろしを歌う、目標を狙い撃つ、番号式ロッカーの解鍵をノーヒントでアンロックする、ロック○ンをプレイする、名曲ロケットマンの「ロケメーン!」のところを聴きまくる……全てロック精神の攻略に通じているような気がしたのだが、それらの修行はロックを倒す為の効果的な修行とはならなかった。ただ一つ、その行き場のない感情、上手くいかない事へのストレスのはけ口にした、とある修行だけが、留音に新たな力を宿らせる事となる。


 そして数日後、再び対峙する両者。


「おいチビ助……前の続きと行こうじゃないか」


「あらゴリラ。動物園から脱走してきたのかしら。残念ながらあれから毎日ヘルメット着用よ。もう地獄の頭グリグリは通用しないわ。どう戦うというの?」


「暴力には頼らない……あたしはチビ助と同じ土俵に上がって勝つと決めた……」


「ふん、口喧嘩で戦おうというの?IQ約3億の私に?面白い……その心意気やロック。相手してあげようじゃないの」


 ニヤリ。笑ったのは衣玖だけではない、留音も切り札をもっている。本来ならIQ約3億など誰も相手にしな、いや、できない……だが今の留音には対抗しうるだけの屁理屈があるのだ。


「おいチビ……今ロックと言ったな?お前は前々からロックロックと言っていたが……ロックとはなんだ?」


 留音の先手。遠慮はない。勝つべくして勝つのだから、様子を見る必要すらない。


「さすがIQ一桁ね。前にも言った事を忘れてしまったの?ロックとは価値観に縛られず他人とは違う道や意見を持つ事。私のような人智を超えた天才にこそ相応しい精神の持ち方」


「ご立派だが……二つ聞く。お前はロックか?そしてその考え方はロックなのか?」


 留音が動じずにそう質問してきたことに少しだけ引っかかりを持つ衣玖。何かあるのだろうかと訝しみながら返事をした。


「き、決まってるでしょ……私も考えもロックよ。ロックべくしてロックじゃない」


 ここで留音がその言葉を待っていたと言わんばかりに口角を釣り上げた。ニヤリ。


「そうか……いやね、あたしは思ったんだよ。価値観が違う事をロックだと言うなら、ロック側に立って言うロックはむしろ一般的価値観がロックになるんじゃないか、とな……」


 非常にわかりづらいかもしれないが、要は宇宙人から見た地球人は宇宙人であるという話であると思……?いや、よくわからなくなってきた。


「えっ……い、いや違うわよ!ロックの反対は別のロック。ロックは形式に囚われずに変化するものなのだからっ……」


「おいおい、それじゃあその考え方はどうなんだ?ロックは形式に囚われずに変化するもの……既にチビ助自身がそういう考えに囚われているんじゃないのか?いやむしろ……価値観がどうたらと言っていることすら、ロック足り得るか疑問だな。本当にそれがロックか?」


「なっ!……そ、そんな……い、いえ……な、なんなの貴方……!その思考の源泉は一体!?」


 はたから見ていて、正直時間の無駄にしか思えない謎の言い合いで押された衣玖が一歩後退る。一方、余裕の留音は不思議なポーズで手を泳がせるように漂わせ、まるで魔法でも扱うようなジェスチャーで衣玖に問うた。


「ふふ、お前には見えないのか?ストレス解消に岩を砕きすぎたあたしに岩の想念が入り込んできているのを」


「まさか……ロックブレイカーの能力を……!」


 音に聞こえしロックブレイカー。ロックとつくものを破壊するだけの力を与えるというレベル7クラスの能力。例えばIQ3億ロックを持つ者に相対した場合、IQ3億1ロック相当の屁理屈が与えられるのだ。それがすごいのかどうかは誰にもわからない。


「おっと、どうだろうな?あたしがロックブレイカーに目覚めたのか……そう決めつけるのはロックなのかな?ひょっとすると『雰囲気だけ』という可能性もあるんだぜ……?」


 もう訳がわからない。地の文によるこの辺の説明は放棄する。ロックな小説として。


「っく……」


 今の留音は訳が分からないほどロックじみている。だからこそ岩を砕きまくってロックブレイカーとなったという可能性も、なんとなくそれっぽい雰囲気を出しているだけという可能性も、どちらもロックたり得てしまうと衣玖の明晰な頭脳が考え出している。


 どのロックがロックか、ロックを信条にしている衣玖だからこそ判断できないのだ。そして留音は勝利を確信している。明確な言葉で表せないロックにこそ、これが最も有効な戦い方であることを今の留音は心得ているのだ。


「ふっ、どうしたロックチビ。もう降参か?」


 これではロックという意味に翻弄されてしまう。ならば定義を変えるしかない……衣玖は量子力学を無理矢理当てはめる事にした。


「……わかった。じゃあこれでどう?ロックは自分で決めるものじゃない、ロックは他人が認識して初めてロックとなる。そう、観測者によってロックにも常識にもなる。誰かがロックに見えたものがロック……科学的な解ね……これでどう?切り返せる?」


「……やれやれだな。他人に意見を求めているのかい?ロックロックと言ってる割には、お前のロックってのは随分安売りされてんだね……?そんなんじゃあまだこの岩のように砕けていないなぁ……」


 留音は何処からともなく取り出した岩を片手でジャラジャラにして散らせる、この会話は一体何を目的にしていたものなのか覚えている読者はいるのだろうか。


「ぐぅ……!」


「おっと、違うなぁ?砕ける事がロックなのか?砕けないほうが逆にロックなのか?どうだ、わかるか?わかる事がロックか?わからなくてもロックでいられるか?!」


 まるで絡め取るように物凄く攻める口調で、はたからは何言ってんのかさっぱり分からない問いかけをする留音。砕ける事がロックって一体なに、誰か教えて。


「っく……どうして……!?私はロックを愛してるはずなのに……何故こんなに揺らいでしまうの……ロックって、何なの……わからないっ」


 ガクリ。ついに地に手をつけたのは衣玖。だがそれを見た留音は、少し口調を和らげていた。


「そうだ、それでいい。もう一度自分のロックを見つめ直すんだ。下級生の子に一足す一は宇宙とか言っちゃうのが、本当にお前の求めるロックだったのかどうかをね……っく!?くはっ……」


 ドクン……留音の身に一瞬、感覚に大きな変化が起き、思わずくらりと膝をつく。無理矢理適合したロックブレイカーの能力に限界時間が来たのだ。衣玖にとってはさっきまで喧嘩の相手だった留音だが、その様子に異常なものを感じて駆け寄った。


「ど、どうしたの!?ゴリラ女?!あっ……体から岩が転がり出ていく……!」


 そう、元より人の身に宿すには岩は重すぎるというもの。身からゴロゴロと、前に砕いた岩の思念が抜け出てしまう。


「ご、ゴリラ女……あんたこんなにロックブレイクしてたのね……」


 ゴロゴロゴロゴロごろごろごろgrgrgr……何十、何百という想定以上に多い岩の思念が留音の体から転がり、そして消えていく。その光景を一言で表すなら、気持ち悪い。


「……まぁな。あたしもなんだかんだ言って、こんな手段でしかチビ助に勝つ方法を見出せなかったのさ……お前は凄い奴だよ……近所の枝豆名人のしげる君より凄い……でもあのままだったらお前は、エアロックに溺れて自分を見失い、ロックロック言うだけの怪物になっていただろう……それじゃダメだ。……ちゃんと自分だけのロックを見つけなきゃな……」


「ど、どうしてなの……どうして私にそこまで……枝豆名人のしげる君って何をしたの!?」


 思わず手を取る衣玖に、留音は優しい表情を向ける。そして過去に想いを馳せるように、少し視線を外しながら、穏やかな口調で語り始めた。


「あたしにはね……ロックが大好きだったお姉さまがいてね……血は繋がってなかったんだけど、凄く慕っていたよ。綺麗な人でさ……そのお姉さまはある日ロックにハマり、ヘッドバンギングを極めると言ってクマと戦いに行ったんだ、お姉さまの武器は唯一つ、ドンキーを参考にしたヘッドバンギングだけだ。そして対峙することになる」


 はっ……!衣玖は惨劇の予想に表情を曇らせる。ちなみにドンキーは横B技でヘッドバッドで攻撃する。当時の留音姉はこれこそヘッドバンギングのあるべき形だと考えたようだ。


「ま、まさかクマに……」


 もしもクマに食べられてしまったら、血や衣服だけが残され、とても悲惨な光景が残る。グリズリーマンの映画では誰もがトラウマを植え付けられただろう。


「いや、その時は勝ったんだ。見事イメージ通り、クマをヘドバンの衝撃で地面に埋めてな。問題はその後だ。クマを埋めたお姉さまはそのまま反動で宇宙へと飛んで行ってしまった。成層圏をも突破し、太陽に一直線だった」


 そう、あれはゲームだから出来る行動なのだ。だからもし人間がやった場合、その反動はフィクションのようにはならない。衣玖がそれを冷静に指摘する。


「運動の第三法則が働いたのね。クマを埋めた反動は計り知れないから無理もないわ……」


 はっ……!衣玖は更に酷い惨劇の予想に、留音の心をも心配した。


「じゃ、じゃあその人は太陽に焼かれて……?」


 もしも太陽に焼かれてしまったら、痕跡一つ残らない……何も残さず、骨すら、その灰すら消え去る。跡形もなくその人間の細胞の一辺まで焼き尽くされてしまうのだ。


「いや、成層圏でもヘドバンによる姿勢制御が活きたらしくてね。宇宙遊泳中に太陽フレアに吹っ飛ばされて地球に帰ってきた。大気圏の熱もヘドバンで上手いこと放射出来てたらしいし、運良く海に落ちて無事だったしな……。そんなことがあったのにお姉さまはヘドバンをやめなかった。そして首を振るという影響は骨に達し椎間板ヘルニアを発症して、今でも病院通いさ。そんな人の影をお前に見たんだよ。だから、お前の過度なロック好きは、見てられなかったんだ、お姉さまと同じ目に合うんじゃないかなって」


 ちなみに激しいヘドバンのやりすぎは脳梗塞を引き起こすリスクを高めるそうです。ご利用は計画的に。


「そんな事が……じゃあ私のことを心配して……。どうやらあなたの事、勘違いしてたようね……悪かったわ。そうね……もう一度自分のロックについて見つめ直してみるわ。よし、見つめ直してわかった。ロックは相手に求めるものじゃない、自分の心が感じるものなのね」


 ものの一秒弱で見つめ直す時間は終わったらしい、衣玖は瞬時に答えを紡ぎだしていた。果たしてこれは何か意味のある会話をしているのだろうか。


「早いな……流石IQ約3億だ。これでもう、お前がロックで無茶をする事もないだろう……そのロック(スピリット)、大切にな。……まだ名乗ってなかったっけ。あたしは留音。お前は?」


「私は衣玖……よろしく」


 がっしりと握手を交わす二人。こうして長い付き合いが始まる。


 衣玖はロックの輪を広げ、いまではすっかりゴスとかヘヴィとかメタルとか、そっちの方まで大好きに。留音は岩を砕く快感に目覚め、ある日岩を砕いていると師匠となる人物にスカウトされ、後に『超最強波』の習得へと至るのだ。



「……と。まぁそんな事があって、私たちは交流するようになっていったのよね」


「そうそ」


「へぇ~……なんだか毒にも薬にもならないようなどうでもいい話ですねぇ」


「クソみたいな話ですわね」


 まぁそんな感じで、たまにはこんな出会いの話もどうでしょう。感動したでしょうか。


会話形式だけにしようと思ってたんですが、縛られず自由にやったほうがロックかなと思いまして。


読んでいただいてありがとうございました。日常回(?)だけではなく、シリーズには彼女たちの活躍も色々ありますので、気になった方は是非チェックしてみてください。

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