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5.ようじょ(12ちゃい)

何だかこの時間帯でないと筆が進まない病気にかかってしまった様だ……。


……いつも、更新が遅くなりすいません。

できるだけ昼間に出せる様に頑張ります。



「……そう。あなたが、ここのあるじなんだ。……ごめん、なさい。お邪魔してます」


そう言って、人形のように全く表情を変えない美幼女、リムは頭を下げた。


「あ、あぁ……謝罪は受け入れるけど。それよりも、なんでこんな所に来たのか聞いてもいいか?」


さらりと落ちる艶やかな銀髪に目がいって、多少唖然としたものの気をとり直して一番気になっていることを聞いた。


【ジャンクヤード】は住んでいる人がほとんどいないため、治安自体はそれほど悪くない。

むしろ人が多い王都の方が何かと問題が多発しているくらいで、ここは王国の中で最も人々の争いが少ない街と言えるかもしれない。


……が。


それは、逆にいえば悪党ですら好んで住もうとは思えないほどに環境が悪いことを示唆している。


年中ゴミが放置されているせいで、匂いはいつまで経っても臭いままだし、虫は集るし、病原菌が繁殖しやすいおかげで体力が下がるとすぐに病にかかる。

もちろん、切り傷なんて負った日にはすぐにでも水で洗い流して処置をしないと、破傷風とかいう恐ろしい病にかかって、即死に繋がる。


そんな場所だから、荒くれ者共もここには滅多に足を運ばない。


たまに来て、貴族の小間使いがゴミを捨てに来るとかその程度。


そんな場所に、ローティーンの女の子が一人……。

どう考えても危険だとしか言いようがない。

俺みたいな男ならまだしも……。


そんな思考の元、彼女が何故こんな所に来たのか、純粋に気になったのだが……。

それに反してリムのセリフは素っ気ないものだった。


「それは……言えない。ここに来たけいいも……どこから、きたかも……言え、ない。言える、のは……わたしの、なまえとせいべつ、あとはねんれいくらい……」


「それは最初の自己紹介で言ってなかったっけ?名前はリムで、性別は見た目通り女。年齢は12歳だよな?」


「うん……それいがいは、むり……」


そう言って、リムは頑なに口を閉ざす。


まぁ、俺もそれほど知りたいってわけじゃないんだが……。

それでもここまではっきりと拒絶されると、なんか何か聞きたくなるよなぁ。


と、そこまで考えて俺に天啓がきた。


「ーーーそうだ!じゃあ、種族名とかは?君、どう見ても人間じゃないよな?耳、尖ってるし……」


この銀髪美幼女……ただの女の子ではなく、どう見ても他種族だったのだ。


褐色の肌に、銀色の髪と真紅の眼。

そして、何よりもエルフのように尖った耳……。


これらの特徴は、どう考えても俺と同じ人間とは思えなかった。


……しっかし、これ何の種族?

エルフは緑色の髪と目だと言うから違うだろうし……。

かと言って、他に何か尖った耳を持った他種族なんて聞いたことないし。


そう思って、俺がリムの表情を覗き込むとーーー


「ーーーッ」


今まで、ピクリとも動かなかった彼女の表情筋が動いた。

しかも、深い絶望の色を滲ませて……。


えーっと……これって、もしかして地雷踏んじゃったパターンですか……?


俺が何とか空気のリカバリーを取ろうと口を開ける前に、リムの口が開いた。


「ごめん……なさい。それも、いえない。……だけど、わるいこと、しない。すぐ、でてく……だから、ゆるして…………」


そう言って上目遣いで見つめてくるリムの瞳には、今にも溢れんばかりの涙で一杯になっていた。


別に俺としてはそこまで憤慨しているわけじゃないんだけど……。


場の雰囲気的に子供に大人気なく当たる大人みたいな感じになって俺は居た堪れなくなったので、俺はゆっくりとリムの頭を抱きしめた。


「別に怒ってないから」


「……えっ?」


「ごめんな?俺、ちょっと言い方キツかったよな?……そこまで、恐がらせるつもりじゃなかったんだ。ちょっと、こっちも混乱しててさ」


「……ぅうう」


左手で頭を俺の胸の近くにあてさせて、右手でリムの身体を俺の足へとのっける。

俺は静かにリビングの椅子に座って、ゆっくりと背中を撫でてやる。

確かこうすると子供は落ち着くと、リピアが言っていた。


現に、リムの身体からは恥ずかしさ故か凄まじい熱量が放たれているが、それとは別に表情は先ほどの暗い顔つきではなくなっている。

呼吸も落ち着いてきた。


「あと、行くあてがないならここに居ても良いよ。別に俺は困らないし……」


「……えっ、いいの?」


「ああ、小さい子の1人や2人、ここに住んでたってあんまり手狭にもならないしな……」


俺はリムを恐がらせないようにするために、努めて声音を優しげに発する。


「で、でも……リム、ごはんとか、たべるから……おかね、かかっちゃうよ?」


それが功を奏したのか、リムの一人称が他人行儀な“わたし”から“リム”へと変わっている。


「大丈夫、大丈夫。……俺結構金稼ぐの得意だから、些細な金の出費なんか気にすんなって」


……正確には、リサイクルとかリユースとか使って荒稼ぎする予定なんだが……まぁ、言わないほうが、余計な心配をさせなくて済むだろう。


しかし、それでもリムは尚も何か言い募ろうと口をモゴモゴさせている。


……うーん、なにかリム自身が俺の役に立っていることをアピールした方がいいかもしれないな。

ほら、人間ってやっぱ与えられるだけの関係は不安を覚えるって言うし……リピアから聞いた話だけど。


俺はルビーの様に綺麗なリムの瞳に目を合わせて、できるだけ優しげな笑顔を浮かべた(はず)


「……それに、俺もさ。1人だと、寂しいんだよね」


「……1人」


「そう、1人……」


何の琴線に触れたのか知らんが……やっぱ、寂しいから一緒に住んでよって言い訳(割と本音)は中々良いみたいだな。

リムも少し聞く耳持った感じだ。


「だからさ、俺とここで仲良く暮らして欲しいんだけど……駄目、かな?」


俺ができるだけ下手に出た感じで優しく言うと、リムはふるふると首を横に振った。


「だめ、じゃない……リム、も1人。だから……バスラといっしょに、住めるなら……それが、いいっ!」


「そっかーーーじゃあ、これからよろしくな?」


「うんっ、よろしくっ!」


よっしゃッ、来ました今日一番の満面の笑み、頂いちゃいました!


と、ニヤニヤとした笑みを浮かべながらようじょ(12ちゃい)を腕に抱えた俺の姿は、もしかしなくても衛兵に突き出されるレベルの変態に見えていたかもしれなかった。


……あれっ?

ところで、ナチュラルにリムに名前呼びされてるけど俺ってリムに自己紹介したっけ?


……そんな俺の些細な疑問は、リムによって押し付けられた柔らかいお胸によってかき消されてしまうのであった。





昨日書けなかったメモみたいなもの。


王国【レイノ】での貨幣価値の基準みたいなもの。

銅貨=100円。

銀貨=10000円。

金貨=百万円。

白金貨=一億円。


ブクマ及び、ポイントは作者のモチベーション維持に繋がりますので、入れていただけると幸いです。

では、また明日。

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