なれちゃったねーw
今のところ全編会話劇です。
「とうとう追い詰めたぞ、魔王!!」
「…………。」
「大人しく我が剣の錆となれ!! 魔王!魔王…….う、うぅ〜ん。」
「ん? 名前? 田中、田中ヒトシ」
「魔王、田中ヒトシ!!」
「違う違う、ただの田中ヒトシ ……と言うかさ、君も日本人だよね? さっきから日本語だし、髪の毛黒いし、名前は?」
「え!あ、……鈴木、鈴木ノボル」
「田中と、鈴木…… 普通じゃん!日本人じゃん!」
「え、え、待って待って、魔王……って言うか、田中さんも日本人なんですか?」
「うん、日本人、こういうの転移者って言うんだっけ? じゃあ鈴木さんも?」
「ええ、まぁ…… ちょっと、置きますね武器」
「あー、うん、大丈夫よ攻撃しないから、てか始めからヤル気無いしw」
「はぁ、すいません」
「じゃあ改めて、田中ヒトシ二十八歳、とりあえず魔王やってます。」
「鈴木ノボル勇者やってます。 歳は二十四です。」
「アレ?読んじゃった鯖w」
「読みませんて! なんすか鯖ってw てか、田中さんもアレですか? 神さま的な」
「アー、アー、鈴木さんもやっぱり!」
「ええ、まぁ…… 田中さんはどんな感じだったんですか?」
「財布拾ったの、拾わなかった神さまの財布?」
「いえ、僕は拾ってないっスね。」
「んじゃ、鈴木さんは何だったの?」
「トイレ……借りに来たんす。」
「何それ、ちょっと面白いw」
「とりあえず田中さんから教えて下さいよ。」
「えー、俺からぁ? まぁ、いっか」
「財布拾ったってw」
「そう、練馬で」
「え!神さま練馬で財布落としたんですか!?」
「そーみたい、チャイパブでも行ってたのかなぁ」
「で、で、」
「いやさ、始めは解らないよ。 神さまの財布だなんてさ」
「ちなみに神さまって、どんな財布使ってるんすか? やっぱり神さまだけあって高そうな革の長財布とかですか?」
「いや、ナイロンの三つ折り、黒の」
「え!ひょっとしてマジックテープでペリペリってヤツ?」
「そうそう、そのペリペリってヤツw」
「マジッすかーwww」
「ウケるでしょw」
「中身は?中は見たんすか?」
「うん、あ!交番でね。警察官立会いの下、いや、拾った時は見ないよ。 なんか嫌じゃん、後々トラブルになってもさ」
「あー、なんか解ります。」
「で、中身は免許証と三千五百円だったかな? あとタスポ」
「神さまタバコ吸うんすか!?」
「みたいw」
「あ!そうか、死なないからかw」
「かもねーw」
「他には?」
「後は吉牛の割引券w」
「学生じゃないっすかw」
「ねーw」
「神さま、名前なんて言うんすか?」
「覚えてない、いや、その時は違和感なく見たんだよ免許証の名前と顔写真」
「思い出せないと?」
「そう、何度も思い出そうとしたんだけどね。」
「不思議っすねー、で、財布を拾ってどうして転移したんですか?」
「いや、一週間くらいしてからかなぁ、夜、仕事終わって家でマッタリしてた時に警察から電話がかかってきてさ」
「アレ、警察からの電話って下三桁が百十番って本当っすか?」
「いや、違かった様な、交番からだからじゃね?」
「はぁ、」
「でさ、警察官が言うのよ。拾われた方が是非お礼だけでも言いたいって」
「なんか気まづいっすねー、それ」
「俺も始めは結構ですって言ったんだけど、どーしてもって言うからさ」
「じゃあ、神様と話したんですか?」
「そう、始めは簡単な挨拶とお礼ね。 で、聞くのよ神様が」
「何をっすか?」
「お礼になんでも叶えてやるって」
「あ、それ俺も言われたかも」
「あそ、で、冗談かと思って、内心止めろよ警察官とか思ったりもしたんだけど、周りのさ雑音みたいなものが一切しないって気づいたの」
「雑音ですか?」
「そう、TV観てたんだけどTVの画面まで静止しててさ」
「ちょっとしたホラーじゃないっすか!」
「俺もそん時は怖くなかったんだよねー、少し呑んでたからかな」
「で、何て答えたんですか?」
「魔王って」
「え!普通言わなく無いっすかw」
「いや、そん時は呑んでたし、丁度TVでミナミちゃんが魔王ナンチャラとか言うアニメの主題歌を歌うととかやっててさ」
「ミナミちゃんって、アノ元女子アナの?綺麗っすよねーミナミちゃん」
「だろ、獲るなよミナミちゃん!」
「獲りませんて、どんだけハマってんすかw」
「で、TVの魔王ってテロップ観て」
「魔王になりたいと?」
「そう……。」
「そしたらなれちゃったと?」
「なれちゃったねーw」
ダラダラ続きます。