計画(プラン)と期限(リミット)
シリアス多めです‼︎
灯の笑いも収まり、先ほど座っていたところに腰を下ろしたところで灯が話し始めた。
「それで、本題なんだけど…」
裕樹を見据えて、言葉を続ける。
「これから、どうするんですか?」
簡潔で、それでいて 重要な問題。
彼が只の一般人なら問題は少なかったかもしれないが彼はそうもいかない。裕樹の名乗った“ヒカル”の名前は人気急上昇中バンドのボーカルとして有名なのだ。顔も知られているため、匿うのはかなりのハイリスクである。
「…どーしようか」
「ノープランかよ」
裕樹の暢気な言葉に思わず突っ込んでしまった。ここまで来て何の策もなしって。ある意味清々しいが、色々と問題だと思う。
「一応、学校の友達が家の事情でって名目で泊まりの許可は貰ってるよ」
灯の言葉に肩を竦ませ、裕樹は顔を伏せた。
「…いつまで」
良いって…?と問う声は尻すぼみに掠れて、消えた。迷子になった子供のような表情を浮かべる裕樹。それに気づいていないように灯は答えた。
「時間と心が許す限り」
裕樹は弾かれたように顔を上げた。灯はそっぽを向いていて表情を伺うことはできなかった。
時間はバレない限り、心は裕樹自身が決心できるまで。事実上の無期限だ。
「ありがとう」
裕樹はただ礼を言うしかできなかった。