side to side
ヒカルside
今、俺はとてつもなくヒマだ。…っていうのは半分冗談で本音だ。この部屋の主が戻ってくるのを待っているのだ。
「まさか男装してるなんて…」
思ってもみなかった、というのが正直なところだ。どう見ても男の子だと思った。
あの衝撃発言の後、美少年ー紺堂灯改め紺堂光はもう一つ爆弾を投下した。
「私、紺堂財閥本家の娘だから。狙われない為の偽名で、知ってるのは親族のみ」
バカでかい門をくぐった時に覚悟はしていたが、まさか世界でも通用する日本屈指の大財閥。そのご令嬢の秘密を知ってしまった自分。
(俺、生きてられんのかな)
正直な不安を抱えるのだった。
灯side
その爆弾発言をしまくった美少年兼美少女はと言うとー、
(なんであの人がこんなところにいるわけ⁉︎逃げてるって言うから助けちゃったけど、色々びっくりしすぎて、何がなんだか分かんなくなりそう…)
盛大に取り乱していた。本人の前では完璧なポーカーフェイスを保っていたが、灯の心の中は大荒れだった。
(とにかく、準備は終わったから部屋に戻らないと。いつまでもここにいたら怪しまれる。
…あ、そういえば)
そこで灯は重大な事実を思い出した。顔がみるみるうちに蒼白になっていく。
「…机の上に出しっぱなしだったかも…‼︎」
ヤバい。アレだけは、絶対見られませんように…‼︎