名前と名前?
「そこ右!」
背中から鋭い指示が飛ぶ。青年は指示通りに目の前の角を右折した。ずっと走りっぱなしで体力が惜しい口を開くことなく、黙々と走っていく。聞こえるのは青年の荒い息遣いと時折出る美少年の指示だけだ。
「真っ直ぐ行ったらバカでかい門があるから、そこに入って」
言われた通り走っていくと、明らかに美少年の言う通りのバカでかい門が見えてきた。ラストスパートとスピードを上げて開いていた門の中に転がり込んだ。
「はぁっはぁっ…ここまで、来れば、大丈夫、だろ…」
今まで走っていた青年は座り込んで、荒く息継ぎをしている。
「お疲れ様、おぶってくれてありがとう。…でヒカルさんはこれからどうするの?」
青年は言われた名前に硬直する。
「…なんで“ソレ”知ってんの?」
「…さっき驚いた時に、伊達メガネ落としてたじゃん」
「…あ」
自分の失態をようやく思い出した。だがー
(それだけで分かるお前ってある意味スゴくね?)
青年ーヒカルは心の底からそう思った。
『ひろき〜ッ!どこいんの〜ッ⁉︎』
「うわっ、やべっ‼︎」
ヒカルは慌てて観葉植物の茂みの影に隠れた。どうやら件の厄介な連中らしい。
美少年が門からひょっこり顔だけ出してみると、さっきの声の主らしき女性と目が合う。そして、
「この辺で黒いニット帽被って黒い眼鏡かけて黒い服の私と同じくらいの背丈の男見なかった?」
話しかけられた。
美少年は至って冷静に首を傾げる演技をしながらヒカルの方を見た。
観葉植物の影から合掌していた…。
「多分、あっち」
と美少年があらぬ方向を指差した。
「ありがとうっ!」
女性は挨拶もそこそこに猛スピードで走り去った。
そんなこんなで、一応ヒカルの身の危険は一時的ではあるが去ったのであった。
意外に話が長かった…。
打ち込んでいる最中に思いました。ガラケーが恋しくなった今日この頃です笑
最近までガラケーだったんだもんスマホとかPCとか機械全般苦手なんだもんと言い訳しつつ。
次回も乞うご期待‼︎