学校の国
アヒルボートは鳥をハゲ散らして突き進む。
ぽん「あ」
やがて見えてきた川の中にあるは、学校の国。
ぽん「可愛いお魚さんみっけ」
きいん!こおん!かあん!こおん!
ぽん「到着」
ダイナミック入水により水位が著しく低下しました。
ぽん「さてと」
出目金校長「み、水を……」ぴくぴく
ぽん「ギリギリ大丈夫だよ」
ギリギリではいけないのです。
彼らには、十分過ぎるほどの水が必要なのです。
ぽん「空想科学天気予報」ててーん
ぽんちゃんが粗末に投げた一足の下駄。
それが水面に逆さまに落ちると、あら不思議、嵐に誘われて大洪水がどこからかやってきました。
嵐「おまたせ!」やあ
大洪水「きちゃった!」てれりんこ
さあ、川は瞬く間に増水していきます。
ぽん「空想科学適応灯」ぺかー
これで、ぽんちゃんが溺れてしまう心配はありませんが、国が流されてしまう危険はあります。
出目金校長「とにかく、めだかの大学に避難しよう」
ぽん「めだかの大学?」
この国で一番立派な学校です。
ぽん「中も素敵!」きらきら
出目金校長「ガラス石でこの学校は作られているんだよ」
ぽん「ガラス石一つください」
出目金校長「では、ガラス石の研究室へ案内しよう」すたすた
ぽん「あ、窓の外でお魚さん達が競争してる。おもしろー」
嵐からの大洪水によって激流にさらわれているのです。
出目金校長「あー、忘れてた」
忘れないで下さい。
校内もパニックですよ。
出目金校長「そろそろお昼だから、みんなして食堂に急いで向かっているのかと思っていたよ」
ぽん「食堂かあ。メニューは?」
出目金校長「オススメはクラムポンだよ」
ぽん「は?」
出目金校長「マリモッコリと同じくらい美味しいよ」
ぽん「いらね」
出目金校長「え」
二人とも、前。
ぽん「うわっ!」よけっ
鮎身「助けてー」ぴゅー
ぽん「流れが凄くてこれ以上進めないよ」
鮭雄「どうしてこんなことにー」ぴゅー
ぽん「わわっ!」よけっ
この先は崩壊していて、とても危険です。
出目金校長「ああ、これ以上はいかんね。我々も岩山に避難しよう」
ぽん「僕は行くよ。たとえ一人でも」
出目金校長「ぽんちゃん……!」
ぽん「大丈夫。あなたさんは構わず避難して」にこっ
出目金校長「何を言う。案内役が必要だろう」ぴゅー
校長、ついに流される。
ぽん「あ!」
おっと、ぽんちゃんほどの大きさのガラス石が次々と流れてきました!
避けないと大変なことに……は、なりませんでした。
ぽん「ナイスキャッチでしょう」ぴゅー
ぽんちゃんは、ガラス石にしっかりと捕まり、あれよあれよと流されるまま。
アヒルボート「ぱくり」
ぽん「よし!」
よし!じゃありません。
根本的な問題は解決していません。
ぽん「れりごー!」
――あれから季節は巡り。
出目金校長「今は思うよ。あの女の子は女神だったのではと」
鮎身「そうですね。おかげで現在は、嵐も洪水もない、とても平和な世の中になりました。これからは安心して、清らかな未来に身を任せましょう」
鮭雄「ちゃんぽん。この大きな湖で」