星の国
夢を求めて、アヒルボートは宇宙を走ります。
ぽん「あ!」
やがて見えてきた美しい彼の星は、星の国。
キラキラピカピカ、まるで宝石箱みたいだね。
ぽん「到着」
うわー!ぎゃー!いやー!
ぽん「ぷち吹き飛ばしちゃった」
超音速によるソニックブームで、被害は甚大です。
それでも怪我人ひとりいないのは不思議なものです。
ぽん「お腹空いたなあ」
という声を聞いた蠍座のお姉さんから、チラチラと白銀に瞬く小銀河の粒々スターゼリーを貰い、ぽんちゃんはのんびりと町を歩きます。
髪「やあ!こんにちは!」
ぽん「がおっしゅ!」がおー
髪「私は髪の毛座の妖精。良かったら町を案内するよ」
ぽん「ぷちありがた迷惑です」
丁寧にお断りして、続いて水晶の砂が瞬く公園にたどり着きました。
そこには銀河の噴水が一つあり、とても目を惹かれました。
ぽん「綺麗!」
感動のあまり、思わず、手を滑らせてスターゼリーを落としてしまいました。
ぽん「あー……」しゅん…
すると、噴水から美しい女神が現れました。
女神「あなたが落としたのは、このスターゼリーですか?それとも、このスターゼリーですか?」
ぽん「そのスターゼリーです」
女神「正直者のあなたには、両方ともあげましょう」
ぽん「わーい!」
なぜだか得しました。
ぽんちゃんは噴水に腰かけて、スターゼリーをぺろりんと平らげました。
ろけっと「ぴい」
おや、ろけっとぽっぽです。
ろけっとのように速く飛べる鳥さんです。
ぽん「がおっしゅ!」がおー
ろけっと「この国は、遠くから見ると一段と美しいですよ」
ぽん「さっき見たけど」
さん、に、いち。
ろけっと「ぽう」
ぽん「きゃー!」びゅーん
亜音速で上空へ到達すると、それは素晴らしい絶景が望めました。
惑星の遊園地に星屑の山、たくさんの銀河ビルに、町を行き交う流星群。
それに太陽さんと月さんが喧嘩してたりなんてのも。
ぽん「あれは何!あのぴっかぴかりん!」
ろけっと「あれは、天の川ですよ」
ぽん「連れてって!」
さん、に、いち。
ろけっと「あ」
ぽん「きゃー!」ひゅーん
ぽんちゃんは天の川へと落ちました。
ぽん「ぷはっ!」じゃぺえん!
魚「こんにちは」
ぽん「がおっしゅ!」がおー
魚「僕は彦星さ」
嘘です。
ぽん「嘘つき」じとー
魚「本当さ」
絶対嘘です。
魚「よく見てごらん」
魚です。
ぽん「ぷちお腹空いたな」く~
川に架かる定食屋さんで、ぺろりんと海王鮮丼を食べ終えると、続いてアンドロメダ宮殿へ向かいました。
ぽん「これが有名な銀河鉄道かー」ほえー
中に、かっこいい汽車が飾ってありました。
カムパネラ「ようこそ」
ぽん「誰?」
カムパネラ「この国で一番偉い冥王だよ」
ぽん「ふーん。僕、あなたさんのこと知らない」
カムパネラ「それは残念。でも、せっかく来てくれたんだ。おもてなしはしよう」
ぽん「わーい!」
彗星に乗って、二人は最上階へ上がります。
カムパネラ「これは、始まりの星だよ」
星明かりのシャンデリアが照らす部屋。
そこに、小さな石ころが一つありました。
ぽん「始まりの星?」
カムパネラ「この国にある星は、全て、この星から生まれた欠片なんだよ。それで、こんなに小さくなったんだ」
ぽん「ください」しゃきっ
カムパネラ「え?」
ぽん「欲しいな!」
カムパネラ「これは国宝だから、ちょっと」
ぽん「ちょうだい」うるうる
カムパネラ「じゃあ質問」
ぽん「何?」
カムパネラ「君にとって幸せとは?」
ぽん「うーん……」
カムパネラ「君のように、現在はまだ小さくて構わないよ」
ぽん「じゃあ、ひとりぼっちじゃないこと」
カムパネラ「一人ぼっちじゃないこと?それはどういうことかな」
ぽん「僕は今、お姉ちゃんを追いかけて探してるの。お姉ちゃんやお母さんやお父さんやお友だち。やっぱりみんなと一緒がいい」
カムパネラ「それは、常に誰かを想っているということかな」
ぽん「ぷち」
カムパネラ「ぷちか……。しかしいいだろう、君にこれを譲ろう」
ぽん「わーい」
カムパネラ「そうだ。もし良かったら、ここでお姫様にならないかい?」
ぽん「ぷちありがた迷惑です」いやいや
カムパネラ「それは残念。君なら」
うわー!いやー!やめてー!
ぽん「てことで。じゃね!」
カムパネラ「うわあああ!」どひゅー
アヒルボートに乗り込むと。
ぽんちゃんは、さっさと次の国へ向かいました。
ぽん「れりごー!」