夕日の国
ぽん「到着」
どあー!とぅあー!つあー!
ぽん「なんとなく」
ぎゃー!なんでー!んあー!
ぽん「もう一回」
あがー!ひあー!ぞえー!
ぽん「ふう……」
こら。
ぽん「ごめんちゃい」ぺろ
まったく……。
ここは、なにもかもが雀色で、どこからカレーの匂いが漂い、どこもが懐かしく、どこでも恋しい夕日の国です。
昭「や」
ぽん「がおっしゅ!」がおー
昭「私はアキラ」
ぽん「僕は、ぽんちゃん」
昭「喫茶店にでも行こうか」
ぽん「ぱんけーき食べたい」
昭「いいよ」
商店街は、たくさんの大人達で賑わっています。
ぽん「テレビ白黒ー」
昭「大人達はこの国で、何より未来を見るからそれでいいんだ」
ぽん「年寄りになっても?」
昭「年寄りは夜の国に行くから、ごめん。私にはわからない」
ぽん「そう」
昭「着いた。ここは、私の行き付けの店なんだ」
ぽん「へー。しゃれおつー」
花菓子喫茶まごころ。
愛らしい花に包まれた喫茶店です。
さくら「いらっしゃいませ!」ぺこ
昭「ぱんけーき、みるくせーき、アイスコーヒーを頼む」
さくら「かしこまりました!」すまいる!
ぽん「お花いい匂い」くんくん
昭「ここに来ると、私はいつも思い出すんだ」
ぽん「何を?」
昭「花と一緒に、儚く散った彼女のことを」
ぽん「そう」ちゅー
うめ「とーふー」ぷぴー
昭「一つ貰おう」
うめ「まいどー」すたすた
ぽん「彼女さん、もういないの?」
昭「ああ。もう二度と会えない」
ぽん「寂しいね」
昭「ああ」
つばき「お待たせしました」こと
昭さんはコーヒーに豆腐を入れる。
それはコーヒーの中で、複雑に散らばった。
ぽん「ぱんけーきぷちうまー」もむもむ
昭「みるくせーきも美味いぞ」
ぽん「んー!」ちゅー
昭「どうだ?」
ぽん「うーまーちぃ!」きゅん
昭「やっぱり似ている」
ぽん「え?」
昭「まるで、彼女が生まれ変わったみたいだ」
ぽん「どうしていなくなったの?」
昭「彼女は知らない誰かに、自分の幸せや笑顔や愛情といった、様々なものを与えた。最後には、命までもな」
ぽん「どうして?」もむもむ
昭「楽しかったから」
ぽん「楽しかったの?」
昭「ああ、楽しかった。私も楽しかった」
ぽん「そう」ちゅー
昭さんはコーヒーをすすり、砂糖と豆腐を入れ間違えた事に気付くと、かなり苦い顔をした。
それを見て、ぽんちゃんは思わず吹き出す。
昭「何やってんだ。鼻からぱんけーきとみるくせーきがセットで出てるぞ」
ぽん「昭さんが笑わせるから」ぷくー
昭「それは悪いことをした」ふきふき
ぽん「ありがとうございます」
昭「ふっ……ぶふっ!けほっ!くそっ!」
店を出て、河原に並ぶ二人の影。
ぽん「今日だけ、彼女さんの代わりをしてあげます」
昭「優しいな。そういうところも似ている」なでなで
ぽん「にひひ!」
昭さんの弾くギターは、人を優しく抱きしめるような。
そんなメロディーを便りにして、風に乗せました。
ぽん「彼女さんに届くといいね」
昭「きっと届けるよ。彼女が届けたように」




