第七話 魔法の危険性
「まずは自己紹介からだ」
先生がチョークで黒板に名前を書き始める。
ロイズ・フローリエと黒板に書かれた。
ロイズ・フローリエ、リオはその名前でやっと思い出す。ロイズ・フローリエはネハル王国の一般には公開されない第零部隊という特殊な事情を処理する部隊の指揮をしていた人だ。一度だけジープ帝国とネハル王国の国境での問題で、共に闘ったこともある。
今は軍を退役した、と聞いていたがまさかこの学校の教師になっていたとは思わなかった。
「ロイズ・フローリエだ、昔はこの国の軍に入ってたことがある。私が担任になった以上、厳しくいくからな!覚悟しろ!」
厳しい口調に皆は覚悟を決めた強い目で応える。
「それでは改めて授業を始める!皆、教科書の4、5ページ目を開け!まずは魔法の初歩の初歩から始める」
教科書にはわかりやすいようにイラストや説明がびっしり書いてある。
「魔法は体の中の魔力を使って発動する、じゃあ魔力が尽きるとどうなる?じゃあ、ジーニス」
眼鏡をかけた金髪の如何にも富豪でエリートそうな人が立って答える。
「はい、魔力が尽きると魔力は人間の生命力と同じようなものなので、人間は死に至ります。その為、人間は魔力が尽きるのを抑える為に強制的に身体の活動を停止させます。これを魔力身体強制活動停止症といいます。又、人によっては魔力身体活動停止症が、発症しない人達がいます。彼らの死の危険を防ぐためこの国では法で、彼らが魔法を使うことを禁止しています、僕の知っていることは以上です」
澄ました顔でジーニスは座る。
「流石だ、一般の勉強としては完璧だ!」
フローリエ先生は驚き褒める。
「だが、完璧なのは一般としてだ、君たちはこの学校にきた以上、ある程度裏の知識を知って貰うつもりだ!君たちは魔法考古学者、軍、警備隊などになろうとしてここにきたのだろう。それでは私がもっと詳しく教えてやる!!と、言いたいところなんだが、もっと適切な奴がいるな、ファミエ、お前は知ってるだろう?」
いきなり振られて驚く。
いや、先生が言ってくれよ!まだ裏の人間だってバレたくなしい!!!
だか、フローリエ先生の意見は変わらない、顔を見るとフォローしてやるさ、というような顔で軽くウィンクしながらこちらを見てくる。どうやらリオのことを覚えてくれていたようだ、仕方なくリオが立って説明する。
「先ほど、ジーニス君が説明してくれたように魔力を使い果たす前に魔力身体活動強制停止症を引き起こします。しかし、この症状が出ない者は魔力を使い果たすとそのまま魔力に体を乗っ取られ、尋常ではない力を発揮し、ありとあらゆるものを破壊する悪魔になります。これを起こしてしまった人間は二度と普通の人間に戻ることはできません。この症状を悪魔化と軍の皆は呼んでいます。悪魔化をー起こしてしまった人間を駆除するのが、警備隊の役目です。」
あっさりと残酷なことを言ったリオに皆動揺を隠せない。
「あ、ありえない!そんなの見たこともないし聞いたこともない!!」
ジーニスが悔しそうに反発する。
「残念だか、リオの言ってることは真実だ」
フローリエ先生がフォローに入る。
「君たちはそもそも、この症状を起こしてしまった人間を見たことがあるか?ないだろう?私は軍に入っていてこのような人間を何人も殺してきた、。ファミエが知っていたのはファミエの父が地位の高い軍人だったからだ」
ジーニスや皆は動揺を隠せない。
なんせ、今までと思った以上に魔法というものは残酷だったのだから。
「君たちは人間を殺す覚悟があるか?子供がいる中、症状を起こしてしまった父親を殺す覚悟があるか?その覚悟があるなら私についてこい、二度とこのようなことを起こさせない為にも、必要なことを教えてやろう」
だが、皆はすぐには決められない。
しかし、一人だけすぐに覚悟を決めたものがいた。
「俺は先生についていきます!この国の警備隊になる為にこの学校に入ったんだ!だから、僕は諦めない!強くなるために!二度とこんなことが起こらないために!」
ニクスが明るい声で答えた。
すると、クラスの皆がどんどん
「私もやります!」
「僕もやります!」
と、所々から声が飛んだ。
「で、お前はどうするんだ?ジーニス」
フローリエ先生はジーニスに優しい声で聞く。
「僕も.....僕もやります。魔法考古学者になる為にこの学校にきた、だから、そんな事も知らないで考古学者は名乗れない!」
どうやら皆覚悟を決めたようだ。
「よし!覚悟が決まったな!授業を続ける、と言いたいところなんだが...皆も疲れているだろう、今日の授業はこれで終わりにする!ジーニス、号令頼む」
今日は入学初日の授業、ということを考慮して一時間のみの授業で終わらせるようだ。
「起立!気をつけ!礼」
授業が、終わると同時にフローリエ先生がこちらへ来る。
そして、
(ファミエ、お前だけは今日これが終わったら試験を行った林の広場に来い、聞きたいことが山ほどある)
耳元で小声でそう言って教室を後にした。
「そんじゃ、リオ!帰ろうぜ!」
「ファミエ君、帰りに少し話さない?」
「エリルが帰りたいと言うのならしかたありませんわね」
ニクスと、エリル、ノールが誘ってくる。
「ごめん、今日の放課後は用事があるんだ」
「それじゃあ、仕方ないな!また今度な!」
ニクス、エリル、ノールが仕方なさそうに教室を出ていった。
さてと、それじゃあ行きますか。
「主人、言いたくないなら私から説明しておこうか?どうやら彼女は剣霊使いだ、すごく私のことを気にしていた。」
カリューが剣の中から出てきた。
カリューはとても優しい。リオを心配してくれているようだ。
「いや、カリューに言わせるのは悪いよ、これは自分で言わなきゃ意味がない、心配してくれてありがとう、カリュー」
軽く頭を撫でる、少しカリューの頬が火照った。
「主人が大丈夫ならそれでいい、だが少しは私のことも頼ってくれよ」
カリューは少し寂しそうに言う。
「ああ、機会があったらどんどん頼るから、その時までに力を蓄えて置いてくれ」
「わかった主人。だが、無理はしないでよ」
心配してくれる。
リオはカリューのこういうところが好きだ。
「わかった。心配すんな、そんな無理はしない」
そう言ってカリューと共に教室を後にし林へ向かった。
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