第3章 新たなる旅立ち
GM「で、君たちが夕食をとっているとですね、チケハン亭のおやじが君たちの方にやってくるよ。
『お前たち、まだ経験浅いだろ?』と言うよ。」
ユーリー「ええ、まだこのパーティで仕事をしたのは2回目ですからね。」
おやじ「そうか、実はだな、そろそろこの集落の薪の在庫が欲しいらしくてな、長老会からの依頼で薪を取りに行ってほしいという依頼があるのだが……。」
シャチホコ「薪?」
おやじ「どうだ、お前たちやってみないか?」
シャチホコ「やりま~す!」
GM「ちなみに言っておくけど、森に入るってことはかなり危険です。森の木々もモンスター化しているので。
植物のモンスターって言うのは樹齢が高くなれば高くなるほどLvが高くなります。
で、薪にするのは燃やすだけなんで、Lvの低い木で十分事足りる。
ただ量はとらなくちゃいけないけどね。それで、生木を乾燥させるには約3か月かかります。
薪を取りに行くって言うのは、大体新米冒険者が経験を積むために、そっちに回される仕事です。
なので、君たちにやってみないかって言う話です。
『なんせ、人手が足りなくてな。依頼料とは別に木材を重量1あたり1cで買い取ってくれるという話だ。』とおやじさんは言っています。」
シャチホコ「キラーン!」
ユーリー「だから薪を集めれば集めるほど、高額になってくるってことね。」
シャチホコ「了解! 行ってきます! 早!(笑)」
ユーリー「今日はもう遅いからやめておきなさい、やるなら明日からでしょ。
じゃ、私たちでよければその仕事させてください。」
おやじ「うん、じゃ、ぜひとも頼むよ。」
ユーリー「森までは何日だったっけ? 2日?」
GM「森までは、西に2日ほど歩いた場所だね。
実際には南に半日ほど歩いてから森に続く道があるから、その道を西に向かって2日ほど進んだところだね。
だから2日半ほどかかるかな?」
シャチホコ「荷車持ってこればよかった。」
ユーリー「あの、集めた薪はここに持ってくればいいんですか?」
GM「チケハン亭のおやじは『そうだ。』と頷くよ。」
ユーリー「その集めた薪を運ぶ馬車か何かを貸していただくことはできるのですか?」
GM「チケハン亭のおやじ曰く『荷車はこちらで用意する。依頼を受けてくれるなら無償で貸すことができるそ。』荷車は確か重量100まで積むことができるんだったよね。」
ユーリー「無償で貸してくれるの?」
GM「うん、無償で貸すって言っているね。」
ユーリー「じゃ、ぜひ明日からでも、と。それでいいですよね? みなさん。」
GM「ちなみに報酬は1500c。前金は500c。
『旅の準備もあるだろうから依頼を受けてくれるなら、今、前金を渡すよ。』って言ってくれるよ。」
シャチホコ「やりまーす!」
GM「じゃ、やるでいいんだね?」
一同「うん。」
GM「じゃ、500c渡してくれるよ。」
シャチホコ「500c割る4は?」
メアリー「125c。」
GM「もうみんなで割っちゃうの?」
シャチホコ「うん。早って?」
GM「じゃ、それぞれで買い物をするわけ?」
シャチホコ「まーねー。」
GM「じゃ、何日分買う?」
シャチホコ「何を?」
GM「片道2日半。だから往復で5日。」
ユーリー「さっき買った(保存食と薪)はここまでの片道で使っているよ。
だから、改めて今回の分を買わないといけないよ。往復で5日分?」
GM「そう、往復で5日分、後向こうで何日滞在するか? だね。」
ユーリー「そうだね。どれくらい採れるかだね? 1日で。」
GM「保存食は2日分で2c。で、重量1だね。」
ユーリー「3日間ぐらい向こうにいる?」
シャチホコ「ううん、10日間ぐらいいる。」
ユーリー「そんなにいても、収穫した丸太が乗らなきゃ意味ないでしょ。全部。」
シャチホコ「ああ、確かに。37個ぐらい買っておけばいいかな? 瓶詰を。」
GM「で、結局向こうで2日ぐらい?」
ユーリー「3日かな? と思ったんだけど。」
GM「3日? という事は往復を含めて8日分ってこと?」
ユーリー「そうするとキリがいいかなと思って。保存食の。だって2日分で重量1でしょ。」
GM「8cだ。」
ユーリー「8cで重量4だよね?」
GM「うん。」
シャチホコ「じゃ、大体22日分は買うかな? 22日分買って……。」
ユーリー「で、アレでしょ。森の中で迷って、食料が足りなくなった~って(笑)」
GM「う~ん、それもあるかもしれないね。」
ユーリー「ある事件に巻き込まれて予定より長く日数がかかって大変(笑)」
GM「ちなみにこの集落、神社の発掘も行われています。
この集落の東側には食料庫があります。高床式になっていて、6棟あります。
また、薪にする木は樹齢の若い木で十分です。で、薪にするためには乾燥で3か月かかります。
他にミドリックに滞在している冒険者は2グループいます。君たちの他にね。
ただしLvは君たちより上です。後は、現役を引退したギルド幹部が3人います。
で、ダイナゴヤへの定期便は3日前に出発したばかり。まぁ途中で会った人たちだね。きっと。」
ユーリー「うん。」
GM「自警団は6グループ。まぁ1グループ2人なんだけどね。交代制で24時間門番や集落の巡回をしています。
で、畑仕事もしていますね。薪ひろいの依頼料は危険手当込で総額1500cで、さっき言ったように前金500c。
これはもう貰っているね。それプラス木材の重量×1c。木材を運ぶ荷車はギルドが用意してくれます。」
シャチホコ「1台だけ?」
GM「1台だけです。」
シャチホコ「何度も往復はできないのかな?」
GM「そうだね。往復するかどうかは先ず、薪を拾ってきてから考えてもいいんじゃないかな?」
シャチホコ「そうだね。」
GM「じゃ、君たちは薪ひろいの依頼を受けることになりました。今晩はここで泊まります。
部屋代5c払っておいてくださいね。」
ユーリー「あれ? 払ってなかったっけ?」
GM「食料とかは購入したけど、宿代はまだだよ。後はいい?」
ユーリー「薪代っていくらだっけ?」
GM「24c。8日分でね。さて、この後何かする人いますか?」
メアリー「いえ、ないです。」
GM「じゃ、時間を進めるよ。翌朝、抜けるような青い空。
君たちは快晴の中ギルドから借りた荷車を引き、ケイバーの森をめざし南門から集落の外に出ました。
時間は朝7時ころ。そして南に1時間ほど歩いた後、西に向かって細い道が続いている場所にやってくるね。」
ユーリー「じゃ、ここから西に向かうのね。」
GM「そういう事だね。君たちは進路を西に向けケイバーの森に向かって進んで行きました。
ここは整備されている街道と違い、何度も往復して踏み固められた道だ。モンスターに出くわすこともあるだろう。
しかし見晴らしの良い何もない草原が広がっているので、モンスターが近づけばすぐに気づくだろうね。
君たちがミドリックを出発して4時間ほどが経った頃だ。はるか前方に点のように森らしきものが見える。
おそらくあれがケイバーの森だと思われる。そんなことを考えていると、ふと異変に気が付きます。」
ユーリー「どんな感じの異変?」
GM「え……と、その点から……。」
ユーリー「森と思われる点ね。」
GM「その点から煙が上がっている。煙と言っても火事のような煙ではなく、土煙のような煙だね。
こっからでは、ちょっと……裸眼では細かいところまでは見えないな。目のいい翼人たち……。」
シャチホコ「は~い。」
GM「2人もいるんだよなこのパーティ。」
ユーリー「どうかすると竜巻とかそれっぽく感じるのかな?」
GM「え~、それが土煙だということがわかる。その土煙を上げているのは……、あいや違うな。
その土煙は移動しているというのがわかるな。こっちに近づいているんじゃないかな?
って言う感じ。」
メアリー「モンスターの群れなのか……、それとも砂嵐なのか……。」
ユーリー「現実的に考えると竜巻みたいじゃないかという事なんでしょ?」
GM「竜巻って言う感じではないね。」
メアリー「砂嵐とか、牛とかの群れ……って感じですか?」
GM「うん、そっちの方が近いね。」
シャチホコ「うん、じゃ飛んでいきま~す。」
ユーリー「飛んでいくって、まだかなりの距離があるよ。森の近くなんでしょ? その土煙は。」
GM「森までまだ徒歩で2日かかるから……。」
メアリー「望遠鏡とかで見るなら別だけど。」
シャチホコ「望遠鏡ある?」
ユーリー「双眼鏡あるから、それを聞いたら覗いてみようかな?」
GM「じゃ、覗いてみるのね。そうするとね、土煙を上げているのはネズミらしいモノだ。
しかもそれが集団だ。」
ユーリー「要は集団のネズミが走ってきているから土煙が上がっているってこと?」
GM「そう言う事。」
ユーリー「じゃ、大群のネズミがこっちの方角に向かって土煙を上げて、走ってきているけど距離的には大分遠いから問題はないんじゃないかな?」
シャチホコ「生物知識判定できる?」
GM「うん、知名度判定だね。みなさん判定をやってください。」
シャチホコ「は~い。」
メアリー「野外系技能は足せない? 技の生物知識はないけれど。確か8D?」
シャチホコ「野外系技能1Lv。生物知識なし。」
ユーリー「この場合の七つ道具って、生物図鑑とかそんなものなのかな?」
GM「そうだよ。」
メアリー「知識と知覚だから8D。」
シャチホコ「知識と知覚だから6D。(コロコロ)3。」
メアリー「ダイス目が1と言う……野外系技能Lvは足せるの?」
GM「うん、足せるよ。」
メアリー「じゃ、2。」
ユーリー「4。」
GM「トモリは(コロコロ)5。という事は5が最高だね。なんでMPC。たまには……。」
ユーリー「知識と知覚低いんだって。いくら技能と七つ道具とったとはいえ……。」
メアリー「8D振って、ダイスの値が1って言う……。」
ユーリー(笑)
メアリー「それありえないでしょ。」
ユーリー「よかった。4D振って1。」
GM「知名度4。達成値が4以上ある人はわかります。巨大ネズミ、モンスターLvは1。
種別は動物です。知名度は4。耐性属性はなし、弱点属性もなし。出現頻度は頻繁。
行動単位は数体~十数体。反応は腹具合によると。
生息域は、まぁあちらこちらに……。で、キャラクターポイントは22ポイント。
器用度が4、敏捷度が3、知識力3、知覚力4、精神力3、体力3、筋力2。最大Hpが16。
回避値は1+7D。ダメージ減少は5。基本LTは1。で、攻撃手段は近接攻撃で噛みつき。
で、この噛みつきで噛みつかれて1点でもダメージを受けると、今度は病気になる可能性があります。」
ユーリー「疫病みたいな感じか。」
GM「うん、病気になるかどうかの判定を行って、もし判定に失敗したら病気にかかります。
病気が治るまで全行動に-1のペナルティが課せられます。
その病気は自然に治癒しようとすると毎朝、【精神力+体力】D+PCLvの判定を行い、目標値を上回れば回復します。
他に回復手段として薬なんかがあります。ただしこれも飲んですぐ効くわけじゃなく、一晩ゆっくり休息をとる必要があります。
ちなみにこの巨大ネズミ、全長1mほどのネズミです。病気を持っています。
で、稀に死ぬまで集団で走り続けることがある。」
ユーリー「あ~、要はバーサーカー状態な感じ?」
GM「バーサーカーとはちょっと違うかな? 何かに取りつかれたように、集団でまっすぐ走り続ける。
障害物は全て食い荒らしていく……その後は草も残らない状態だという。そういう言い伝えがあります。
習性? 習性と言った方がいいかな? があります。」
ユーリー「わからなそうな2人(金のシャチホコ&メアリー)に、七つ道具の図鑑見せて、こいつが今大量発生している。
この先進むならば用心に越したことはないでしょう。と言う話をしようか。」
メアリー「このまま、まっすぐ進んでいったら……ヤバい?」
ユーリー「カチ会う可能性は高いと思う。でも途中で方向を変えるかもしれないし、相手が……。」
GM「図鑑によると、巨大ネズミの暴走は直線だね。方向を変えたという例はないみたいだよ。」
ユーリー「でしょ? だからカチ会う可能性が高いよ。」
GM「ちなみに言っておくけど、君たちが向かっているのは西の方向だ。」
ユーリー「うん。」
GM「東にはミドリックがある。」
ユーリー「うん。」
シャチホコ「あ~ヤバいな。」
ユーリー「だから逆方向ってこと? 違うでしょ?」
GM「君たちが向かっているケイバーの森は西の方角。後ろを向けばミドリックがある。」
メアリー「で、ネズミは?」
GM「巨大ネズミは東に向かって進んでいる。」
ユーリー「巨大ネズミを倒さずに、こっちが隠れてやり過ごしたとしても、ミドリックが襲われる可能性が高いってことね?」
GM「まぁ、考えようによってはそういうことになるだろうね。」
ユーリー「それはそれで、マズイね。」
メアリー「じゃ、倒すしかないですね。」
シャチホコ「うん。」
GM「少なくとも10匹以上いるのは確認できているよ。」
ユーリー「そう、だから分が悪いよ。」
メアリー「こっち、範囲魔法があるからそれで一気に蹴散らす方法もありますけれど……。」
シャチホコ「ああ、それだ!」
ユーリー「うん、大分離れているんであればね。」
GM「6mの範囲か。6mの範囲だと密集しているから1mのネズミが6匹?」
ユーリー「だから、どれくらいの速さで迫ってくるかわからないけれど……。」
GM「そうだね。一撃目は食らわせられるとしても、二撃目までに接近されたら終わりだね。」
ユーリー「だから、それで先ず数を減らしておいて、できれば。もしくは手負いにしておいて。迎え撃つしかないかな?」
シャチホコ「はい、魔法やっちゃって~って(笑)」
ユーリー「後、罠を張っておくとかね。通りそうな経路に。」
メアリー「罠関連は屋内系技能か。罠関連の技能持っている人っているのですか?」
ユーリー「ただ、罠を設置する場合、あの~野外系の技に罠設置ってないよね。」
メアリー「屋内系の罠関連がある。」
ユーリー「屋内系の罠設置は、あくまで屋内だもん。これは。」
GM「う~ん、野外系の罠はないね。確かに。まぁ、屋内系の罠で代用できるよ。」
ユーリー「代用できる? ただし技能は野外系の技能Lvを使うの?」
GM「いや、屋内系技能でいいよ。」
ユーリー「じゃ、罠を設置しようと思えば罠を設置できますよ。」
シャチホコ「あ、ぼくも設置できる。」
GM「ちなみに、土煙を上げている原因の移動速度は結構な速さだよ。
で、速度を落とさなければ今夜……、間違った。これはまだ先だった。
(GMが情報を出すのが早すぎました。本来、PCたちがどのくらいの時間にやってくるかを推測して、はじめて渡す情報だったわけです。これは、GMの失態です。)」
ユーリー「重要な話を聞いてしまった気がする(笑)」
GM「とりあえず、そんな感じだね。今は午前中です。」
ユーリー「じゃ、今日はちょっと早目に野営を組んで罠設置でもしようか?」
メアリー「そうした方がいいかもしれませんね。」
シャチホコ「僕罠設置の道具持ってない。」
GM「あ、でも双眼鏡で見ているからな。双眼鏡で見ていると……。」
ユーリー「ある程度の計算はできそうじゃない? 大体これぐらいに来るかな~みたいな。」
GM「たぶんね。明日の朝までにはミドリックに到達するだろうね。それぐらいの速さだよ。
このまま進路を変えない場合はね。」
ユーリー「じゃ、今日は午前中移動で、昼からもう休むなり罠設置するなりして迎え撃つ準備をして、夜はなるべく警戒しましょうか。」
トモリ「でもでも、あの土煙こっちに向かってきているんですよね? 私たちだけで大丈夫でしょうか?」
ユーリー「でも、いまさら戻って呼びに行っても時間的に間に合わないんじゃない? 伝令を飛ばすにしても。」
トモリ「一度戻って……確か冒険者の方が滞在していましたよね?」
ユーリー「滞在していたわね。」
トモリ「一度戻って、状況を説明して滞在中の冒険者たちの助力を得て、迎え撃つ準備をした方が良いのではないですか?」
ユーリー「それって、ミドリックで迎え撃つ準備をするわけ?」
トモリ「まぁ、そういうことになりますね。」
ユーリー「なるでしょ? あんまりミドリックを戦場にしたくないんですよ。
でも、人手は確かに欲しいですし、ミドリックにまでもしモンスターが攻め込んだことを考えると、それはそれで怖いんですよ。
かといって味方がみんなバラバラになるのも怖いし……。」
シャチホコ「こっちが呼んでくるわ~って、飛んで。」
メアリー「あの、通信って言う魔法があれば何とかなったかも。」
ユーリー「あるの?」
メアリー「いや、ないですけど。」
GM「通信の魔法があっても多分無理。通信の魔法は術者を中心に一定の距離まで声を発信する魔法なんだよ。
それでその範囲内に同じく通信のリングを持っている人がいればその声を聴くことができる。
現状、ミドリックに滞在している冒険者に通信のリングを持っている人がいるかはわからないからね。
もし君が通信魔法を持っていても、連絡が取れるかどうかはわからない。」
ユーリー「半日だったっけ? 出発してから歩いてきた時間。」
GM「今まだ午前中だよ。出発してから5時間。だから今からミドリックに戻るなら夕方には戻れるね。」
ユーリー「ここからミドリックに伝達して、さらに戻ってこようとするとどのくらいかかる?」
GM「それだったら、たぶん日をまたぐんじゃないかな?」
ユーリー「だよね~。」
メアリー「じゃ、行けませんね。」
GM「朝ぐらいになっちゃうと思うよ。」
ユーリー「じゃ、一足先に伝令で翼人のどっちかがミドリックに行く。で、残りのメンバーはなるべくミドリックに向かうけど、ミドリックまでは戻らない。
ミドリックを戦場にしたくないので、その手前くらいで待ち構えておく。
また、その場所も決めて、伝令を伝え終わったらこの場所に戻ってきてくれと言います。
伝える要件はこのモンスターがこの経路で襲ってきていて、このくらいの時間にはミドリックに到達する恐れがあるって言う事。
私たちはミドリックの手前で待ち構えるので、援軍が手配できるなら手配してほしいという事。」
メアリー「じゃ、(金のシャチホコに向かって)行ってらっしゃい。」
GM「じゃ、行くのは金のシャチホコね?」
シャチホコ「飛んでいきます。」
ユーリー「一番の主力が抜けるのか~(泣)。
あ、でも魔法で迎え撃つ人が欲しいし……ま、良いや、(金のシャチホコに向かって)行ってきてください。」
メアリー「こっちが行くより、そっち(金のシャチホコ)が行った方が絶対良いと思う。」
GM「他、残った人はどうする?」
ユーリー「さっき言った通り、ミドリックに向けて歩いていくけどミドリックの手前で罠設置。」
GM「罠設置? どんな罠を設置する? 相手は何かに憑りつかれたように暴走している。
しかも障害物は食い荒らして進んでいくよ。」
ユーリー「かなり大がかりな罠は作れないんですよ。転倒の罠設置。ロープ張って……みたいな。」
GM「ロープ張りようがないんだけど、このあたりは草原で木がないし、あったとしてもモンスター化しているだろうし。」
ユーリー「そうだよね。あの、杭とかもないよね?」
GM「杭か、薪を割って杭を作ることはできるかもしれないけれど、たぶん押し寄せる大群の前に、飛ばされて罠の意味ないと思うよ。」
ユーリー「だからね~、罠も限りがあるのよ。穴掘る時間もないだろうし……。でしょ?
落とし穴掘る時間。」
GM「落とし穴造るなら、今からやって夜までかかって掘れる量としては、深さ2mの幅3m位かな?」
ユーリー「休む時間ないよね?」
GM「ないね。」
メアリー「じゃ、薪で杭を2本作って、そこにロープを張っておけば……。」
GM「さっきも言ったように、それではあの集団暴走を止めることはできないだろうね。」
ユーリー「その罠では転倒しないとおもう。集団で来ているし勢いもあるし……。
なので、持っている道具で何かできないかな? 木とかがあればもっと……。」
GM「残念だね。木は森にしかないし、モンスター化しているんだよ。この世界は。」
ユーリー「木が生えていないのは痛いよね。」
GM「草原だから草はあるよ。」
ユーリー「草はあるけど、人間だったら草を縛って足引っ掛ける罠とか作れるけど、集団の巨大ネズミには通用しないでしょ。
草結んで足引っ掛けるような罠なんて。」
シャチホコ「あ、でもさ。瓶詰の空き瓶持っているよね? 僕は。捨ててないから。」
GM「捨ててないならまぁ持っていてもいいけど……。」
シャチホコ「置いてある(笑)」
ユーリー「え? 空き瓶があるの?」
GM「空き瓶で何をする?」
ユーリー「火炎瓶みたいなやつ作れる?」
GM「油があれば作れるけど……。」
ユーリー「油無い。買ってない。」
シャチホコ「後、角のかけらも瓶の一つに入っているから(笑)」
GM「じゃ、考えている間。一方金のシャチホコの方。2時間ほどかかってミドリックに戻ってきました。」
シャチホコ「かくかくしかじか。」
GM「誰に? ミドリックの集落には来たよ。」
シャチホコ「門番に伝えるの。」
メアリー「もっと偉い人に伝えた方がいいと思いますけど……。」
GM「そうすると門番の2人は『何? 本当か? すぐに長老様に報告を!』と言って一人は駆け出していくね。で、金のシャチホコはどうするの?」
シャチホコ「チケハン亭に行っておやじに伝える。」
GM「おやじさんは『門番に伝えたんだろ?』」
シャチホコ「うん。」
GM「『門番の方から長老会に伝わるだろうから、なにがしかの連絡がこっちに来ると思う。』と言っているね。
『ここは長老会の判断にゆだねるしかないな。』と言っている。」
シャチホコ「じゃ、戻る。」
GM「金のシャチホコは戻るわけだね?」
ユーリー「落とし穴が一番手っ取り早いかもしれない。」
メアリー「罠なんですけど、薪を燃やして火の壁を作ってはいかがでしょう?」
シャチホコ「瓶の中に砕いた瓶を入れて投げたら、武器にならない?」
メアリー「ならないと思います。」
ユーリー「草原なんですよね。岩もない?」
GM「岩とかはあるよ。だってもともとは大破壊以前は住宅街と思われる場所なわけだし……。」
シャチホコ「じゃ、鉱石とか集めれる? 不純物の入った。」
GM「さぁ、どうする? 刻々と時間は過ぎていくよ。」
ユーリー「じゃ、落とし穴を造ります。」
GM「じゃ、さっき言った通り夜中までに掘れるのは深さ2m幅3mの落とし穴。」
ユーリー「と言うか、深さ2mもいらないんじゃないかな?」
GM「どれくらいの深さにするの?」
ユーリー「半分の1mくらいで……。」
GM「半分の1m? じゃ、幅は6mにできるよ。」
ユーリー「ジャンプしたら飛び越えられるよ、みたいな……。その代りちょっと幅を広げたいかな?
要は行動に多少の制限が付けばいいから……。」
GM「付くかどうかは何とも言えないね。」
ユーリー「そっか。じゃ2mでいいかな。」
GM「2mの3m? それとも1mの6m? どっちでもいいよ。
どうせネズミはハマったネズミの上を走っていくだろうから。」
ユーリー「そうでしょう。だから2mでいいよ。2m3m。その代り魔法である程度よろしく。」
メアリー「魔法は燃焼と冷却とどっちがいいの? 冷却だと相手の行動を遅くできるし、燃焼だと大ダメージ与えれるし。」
***予備知識***
冷却魔法、属性:冷気の魔法。
属性:冷気の魔法は相手にダメージを与えることができれば、動きを遅らせることができます。
ゲーム的にはLTを術者の能力値【知識力】+【魔法Lv】Ds分割り込ませることができます。
そのため、結果的に行動LTが長くなることになります。
また、燃焼などの属性:炎の魔法は他のダメージ魔法より強力です。
***予備知識終了***
シャチホコ「瓶投げてもダメージ与えられない?」
GM「それは何とも言えないね。やってみないと分からないよ。」
ユーリー「冷却のほうが良いかな。」
メアリー「うん。」
シャチホコ「あ、瓶を砕いた破片を足元にばらまいておけば少しはダメージが行くかもしれない。」
GM「さて、ユーリーとメアリーとトモリの3人で、落とし穴を作って、落とし穴は出来上がりました。
で、出来上がったころに金のシャチホコが戻ってくると。
で、再度位置関係の確認なんだけど、ネズミの集団がいる。落とし穴がある。
そのはるか後ろにはミドリックがある。で、君たちは巨大ネズミと落とし穴の間にいる?
それとも落とし穴の東、ミドリック寄りにいる?」
ユーリー「落とし穴の後ろ。だからネズミがいて、落とし穴があって私たちがいる。」
メアリー「金シャチさんが空き瓶を砕いてばらまくとか言っていますけど……。」
ユーリー「そんなのは効かないと思うよ。」
シャチホコ「効かない?」
ユーリー「だって、何かに取り憑かれたように暴走しているんですよ。」
GM「え~と、落とし穴ってどっちだっけ1m×6m? 2m×3m?」
一同「2m×3m!」
シャチホコ「ここら辺(落とし穴の前)に瓶の欠片をばらまいておく。」
GM「じゃ、君たちは迎え撃つんだよね? 翼人だから視力が良いんで、魔法の距離はどこまで届く?」
メアリー「魔法の距離は……10m。」
ユーリー「援軍をって言う話なんだけど、それはどうなったの? 援軍来るの? 来ないの?」
シャチホコ「わからない。」
GM「うん、聞いてないもんね。」
一同(大爆笑)
ユーリー「その辺も話してきて欲しいって伝えたでしょ。」
シャチホコ「うん、話したよ。」
GM「うん、話だけして帰ってきたからね。聞いてないんだよ。その後どう行動するのか?」
ユーリー「そんな~(泣)。金シャチに伝令行かせたの間違いだったかもしれない。」
メアリー「かと言って、私が行くとヤバくない?」
ユーリー「そんなことないよ。まだネズミはこないし。」
GM「そう言うわけで、え~と君たちと巨大ネズミとの距離が10mの地点からスタートという事にします。
今回は不意打ちと言う状況と同じとします。つまりカウント0で、君たちが1回づつ行動できるという事です。
ちなみに巨大ネズミの敏捷力は3なので、全力移動は6m/sです。」
ユーリー「わぉ、2s後には到達しちゃうのね。」
メアリー「魔法はいつ撃てばいいの?」
ユーリー「魔法攻撃LTいくつ?」
メアリー「2s。でも2sあったらネズミが12m近づいてくる。」
GM「いいかい。いったん整理するよ。今回は君たちの不意打ちと同じ扱いで処理を行います。
つまりカウント0の状態で、君たちは1回づつ行動を行えます。
だからメアリーはこの時魔法を撃てばいいと思うよ。
それでカウント0の時、巨大ネズミとの距離は10m。と言うところから戦闘に突入とします。
わかった?」
シャチホコ「そこらへんに落ちている石なんかを瓶に詰めたものを持っている。」
こうして、巨大ネズミの暴走を迎え撃つ準備を整えた一行。集落ミドリックとの連携も取れないまま、巨大ネズミとの戦闘に突入していくのであった。