未知なる力
初めての投稿ですので大目に見てくれると嬉しいです。
『美姫……あなたは生きて……美姫……美姫……』
お母さん…
『美姫……美姫……』
「おい美姫! 起きろ!」
黒の長い髪を枕にした少女は途中で変わった声に驚き飛び起きた。目の前には心配そうな表情をした茶色の短い髪をした男が、私の顔を覗き込んでいた。どうやら私は、電車の中で魘されていたようだ。
「祐、おはよう……私、いつのまにか寝ちゃってたみたい」
祐は安心したのか、ため息を吐いて、少し微笑んだ。
私の名前は、梅小路 美姫彼の名前は吉田 祐。私の幼馴染であり、親友でもある。
私の母が亡くなった後、彼はずっと私の傍にいてくれた。おかげで、寂しい気持ちは、どこかと消えていった。
はずだった
二人で電車を降り、改札を出た後、遠くの方から爆発音が鳴る。しばらくすると、大きな地響きが街を混乱させる。私は祐に手を引かれ、走り始めた。すると目の前にメガネを掛けた白衣姿の男性が現れた。私にとっては見覚えのある顔だった。驚愕の中、私は白衣の男の名を口にした。
「貴方は……スペンサー・ノースロプ」
白衣の男は口を開いた「私を知っているとは……光栄だ」
祐は状況を理解できず、二人の顔を交互に見た。そして私は怒りの感情を抑えながらスペンサーを睨み、震える声で話す。
「忘れるも何も、貴方は私の目の前で私の母を殺した。丁寧に自己紹介までしてね……忘れたくても忘れられるわけがないじゃない!」
「知らないな……お前の顔に見覚えはない」スペンサーは見下すように美姫を見た。
祐は美姫の肩を掴み、何か言いかけた美姫を止め。口を開く。
「殺した人の顔や名前を覚えてないってか……」
スペンサーの口元が変に、にやける。「いちいちトイレに行く回数を数えないだろ。それと一緒だ。」
美姫は怒りが頂点に達し、スペンサーに飛びかかろうとする。しかし祐はスペンサーを睨みながらも美姫の手を掴む。祐は感情を抑え、最善の策を考える。
「少年、お前は頭がキレる……どうだ? 私の元へこないか?」
私は我に返った。祐まで奪われたくない。だからと言って、私がスペンサーを倒せる筈もない。
『力が欲しいか……?』
誰……?
『力がほしいか……其方に力を分け与えよう…しかし、今までの生活を捨てることになる……修羅の道を歩む覚悟はあるか……?』
「あります……私に力をください! 修羅の道は覚悟の上です!」
『そうか……たった今其方に力を分けた……しかし今のお主では此奴は倒せぬ……逃げよ。迎えの者をそっちに送った。そこにいる人間の男をそこに残し、迎えの者と共に来るが良い』
祐とお別れだ……。そう覚悟した私は、祐の額に触れ催眠で眠らせた。どうやら幾つかの能力は、本能に刻み込まれているようだ。私は、咄嗟に祐を抱え、逃がさないとばかりに手を触手に変え攻撃してくるが、私はそれを避け、物凄い速さでその場を離脱した。私は自分の身に起きてる事について驚きを隠せなかった。
私は、しばらく逃げ続けていると、目の前に金髪の髪をした男性に呼び止められた。
「お前が、ロードが力を分けたという女か。」
私は心当たりがあった。しかし確認のために、問いを返してみた。
「ロードって、さっきの声の子の事……?」
「多分それに間違いない、俺は黄の守護者、ニルス・ヴォルティ! ニルスって呼んでな!」無邪気に微笑む彼を見て、美姫は心のどこかで安心していた。
「私は、梅小路 美姫、よろしく」私も自己紹介をした。
そして彼は私の頭に触れた。私が驚くと同時に、見覚えのない場所に飛ばされていた。
「よく来たな」目の前にいたのは、髪が白い少女であった。