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プロローグ
話は出来ててあと推敲だけなので、なるべくはやく更新していこうと思ってます。どうぞよろしくお願い致します。
季節は春の初めで、その日はガラス細工にほんの少し水色を垂らしたような、そんな空をしていた。
桜の季節とはよく言ったもので、車の助手席から眺める桜並木は満開の様相を見せている。その鮮やかなアーチを見ているだけで自然と気分が高揚していった。
窓から入る風は微かに桜の香りを含んで心地よく、天気はこれ以上ないほどの快晴。
何処からどう見ても文句の付けようの無い、絶好の花見日和だった。
ほんの三十分前までは。
「……どうしてこうなった」
浅岸沙希はそう呟いて、思わず苦笑した。