彼は空へ
私は大切な人を失った
幼馴染で、家が近くて、そして
私の大好きだった人
病気だった
詳しいことなんて分からない、けどそこに残った事実
彼は死んでしまった
「ひ、ひろ・・・きっ・・・!!」
隣で美沙の嗚咽が聞こえる
涙さえ、私には流れなかった
“非情な女”・・・だろうか
普段なら使わない言葉を使って、自分には合わないなぁと笑ってみる
笑えない
彼のいない世界で笑えるわけなどなかった
それはただの空虚な笑み
「蓮・・・?」
ふいに名前を呼ばれて、振り返る
「そんな顔して笑わないでっ・・・!!」
そういって、美沙は私に抱きつく
ぬくもりが心地よかった
「博樹の・・・ぶんまで・・・生きようね・・・私達」
何を言っているのだろう博樹のいない世界では生きる意味もないのに
「私が、いるからっ・・・」
私は博樹がいい
博樹がいればそれだけで
なのにいない
べっとのうえでしんでいる
「なんで・・・?」
「え?」
「なんで、博樹が死ななきゃいけなかったの・・・・?」
私の目から落ちる涙は美沙の頬に伝う
「なんで・・・なんでなのよぉぉ!!!」
そのあとのことはあまり覚えていない
ただ、美沙を突き飛ばして、取り押さえられたところしか
『俺の名前、藤崎博樹っていうんだ。これからよろしく』
『よろしく・・・お願いします・・・』
あれは幼稚園入学式のとき隣にいたのが博樹
『おまえの名前は?』
『高原・・・蓮』
屈託のない笑顔で笑って、私を連れまわして
母親しかいなかった私の遊び相手になってくれた
小学校でもそれは変わらず、中学生になって
友達からいろいろ言われたりもしたけど仲のよかった私達
家が近かったのも幸いしたのだろう
そして、そして高校になってはじめて好きだと意識した
毎日がまぶしくて、楽しくて
もう、戻れない
ねぇ、またあの顔で笑ってよ、博樹
「蓮・・・」
「美沙・・・?」
「うん、蓮、病室で倒れてそれで」
博樹が寝ていたベッド
真っ白なシーツ
空はまだ青く澄みわたっていた
「ね、美沙・・・」
「なに?」
「博樹は、空にいっちゃたんだね」
自分の羽で空を飛びたいといっていた彼
こんなに早く夢が叶っちゃうなんて、ね?
静かに一滴涙がこぼれた
それが合図で、とめどなく涙は溢れ続けて
大声を上げて泣いた
美沙も一緒に泣いた
二人で、たくさん泣いて
もう涙も出ないほど泣いて
でも、もう博樹がいないって考えるとまた涙がでて
泣きつかれて眠るまでずっとそれを続けていた
はじめまして藍です
はじめての投稿でびくびくしています
タイトルが決まらない・・・名前も決まらない・・・
文章もぜんぜん・・・短いし・・・
ヘンなところがあったらどうぞ言ってください
まだ始まったばっかりです
プロローグみたいなものかな?
次で話がわかるはずです
いつになるやら・・・