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コンパス  作者: 人知らず
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第六話 日常と異常

俺は普通が好きだ。

何もない普通の毎日が好きだ。

だから、自分が周りにどう思われていようと関係ない

俺は自分の普通を過ごすだけ・・・・・























今日の朝は特に何の問題もない普通の朝だった。

普通の時間に起きて、普通に稀沙奈を起こし、普通に朝食を食べ終わり

学校へも普通に遅刻することなく着けた。

俺が求めていた普通ばかりのこと

でも、あまりにもうまく行き過ぎている気がした。

稀沙奈はまだ来れてないけど・・・・


「あれ!?みつヤン何でおるん?」


朝からうるさいな


「ここが俺の教室だからだ」


「そうやなくて、いつもなら遅行ギリギリで入ってくるやん?」


「別に早くて悪いってこともないだろ」


着いた時間だってそんなに早いわけじゃない

唯、いつもと違って普通に間に合う程度の時間に着いただけ

おかしなことじゃない


「いやいや、美月が早く来たら嵐か地震くらい起きるかもよ?」


丸井が話しに入ってきた。


「・・・・・俺はどれだけ信用されてないんだ」


「「まったく」」


「・・・・即答かよ」


少しは考えろよ

そういえば俺とこいつ等って全然つり合ってなかったよな?

稀沙奈から話を聞いたから今はそう思わないけど

クラス三大イケメンの雄李とクラスで稀沙奈と同じくらい人気の丸井

今まで気にならなかったけどこいつ等が他の奴と話してるとこもあんまり見たことないよな・・・・

やっぱりそういうものなのか?


「どうしたの?考え事?」


「そんなとこだ」


「もしかせんでも隣のクラスの比良沢からの告白のこととか考えてたんちゃうん?」


「違う・・・って何でお前がそのこと知ってんだよ」


「ちなみにボクも知ってるよ。本人は休んでるみたいだから隣は知らないと思うけど・・・このクラスは全員が知ってるんじゃない?」


確かに教室の所々から視線を感じる。

誰だよ・・・・広めた奴は


「ちなみに広めたんは俺だったり・・・ぐはっ!!」


「またお前か」


「今度は死刑確実だね♪」


「『だね♪』ってかわいく言うても怖いわ!あれ?みつヤン?何でそんなに怖い顔をしとるん?」


実際は表情が変わっていないため怖い顔はしていないのだが無表情の中に友人だからこそ分かる違いがあったのかもしれない。

まあ、とりあえず殴りたいだけなんだけど


「三つ数える間に俺の納得する理由を言えたら許す。一つ」


「いや、広めたんは俺やけど提案したんは華流都ちゃんやって!!あれ?何で顔をそむけるん?見捨てる気!?」


「二つ」


「いやいやいや、もう今更俺を殴っても意味ないやん?そんなことより仲良くお話しようや」


「三つ・・・・時間切れ」


腹に回し蹴りを食らわした。

いくつかの机を巻き込んで勢い良く転がっていくが特に騒ぎにはならない

一度は見てもすぐに興味をなくして友達との話の続けだす。

こういうところを見るとやっぱり普通じゃないと実感する。


「ヒュー♪今日も中々いい蹴りですなぁ」


「馬鹿にしてるのか?」


「褒めてるの」


・・・・そういえばさっき気になること言ってたな


「・・・・今日、比良沢休んでるのか?」


「そうらしいよ。まあ、ボクも紫希しきちゃんから聞いたから詳しいことはわかんないんだけどね」


「・・・・・・」


・・・普通告白して次の日に学校休むか?

比良沢とは仲良くもないし、話したのも昨日が初めてだけど・・・・でも、なぜか嫌な予感がする。

その時、正門の方からかなり大きなエンジン音が聞こえ始めた。

車のものではないバイクらしき音

しかも一つや二つじゃない

かなりの数の音が・・・

急いで窓から正門の方を見るとそこには予想通りかなりの数のバイク

しかも、それのどれもが改造され、乗り手も普通ではなさそうだ。

つまり、あの集団は・・・・


「あれ『デビル・ロード』やんか」


いつの間に回復したのか

隣の雄李が言う


「『デビル・ロード』?」


「ここらで有名な暴走族グループや。中でもリーダーの比良沢は相手の手足の骨を全部折るまでバットで殴り続けるっていうかなり危ない奴らしいで」


雄李が指差す先に居たのは確かにかなり体格のいい危なそうな奴だったがその格好はどう見ても・・・


「・・・・・なんか○斗の拳とかでああいう雑魚キャラいなかったか?」


バイク改造してるけど乗ってなくても捕まりそうだな

恥ずかしくないのかあれ・・・・

教師達が出て行ったが遠くから警告するだけで何もしない

あれじゃ駄目だな

ん?暴走族の奴等が何か言ってる?

正門からそんなに離れていないのにうまく聞こえないのは声が小さいからだろう

警察が来るのを怖がっているのだろうか?

だとしたら・・・・・かなり格好悪い

だが、内容はそんな人事ではなかった。


「この高校に鬼城美月って奴がいるはずだ!」


クラス・・・というか窓から身を乗り出している生徒全員の目線が俺に集まる

・・・・・俺?

俺、何かやったか?あいつ等にこんなことされるようなことやったか?


「・・・・俺の妹に告白された鬼城はいるかって聞いてんだよ!!」


・・・・・は?・・・妹?・・・告白?・・・・・もしかして・・・・兄妹!?

嘘!?・・・・確かに同じ苗字だけども!比良沢って名前珍しいけれども!

あの比良沢が暴走族の総長の妹!?

学校のあちこちからざわめきが聞こえる。


「・・・・いねぇなら伝えろ・・・てめぇの妹は預かってる。返してほしかったら俺等の集会場まで来いってな!!」


そう言うと仲間を連れて正門から出て行った。

よほど警察が怖いのかすぐにエンジンの音も聞こえなくなった。


「・・・・・・」


「みつヤン!稀沙奈ちゃんまだ来てないで?」


「あいつ等の言うことが本当だったら・・・・」


「大丈夫」


俺は心配してくれる二人の方へ顔を向け、そして・・・・・・笑顔を見せた。

本当に久しぶりの何年ぶりなのかも分からない笑顔を

いたって普通で特に何の感情も伝わらないような笑顔を

心の中にある感情を押さえ込むための笑顔を


「あいつは強いから、よっぽどのことがなければ大丈夫」


「でも・・・・」


「大丈夫だって丸井心配するな。・・・・雄李」


「・・・・あいつ等の集会場の場所・・・やろ?」


「・・・・・ああ、一応行った方がいいだろ」


「・・・・俺も行ったほうがええか?」


「今回はいい。俺の問題だし・・・・それに・・」


「それに?」




「あいつ等には俺の普通をぶっ壊したことを後悔させたいから」





「・・・・くれぐれも怪我せんようにな」


「これから喧嘩する奴に言うことか?」


「・・・それもそうやな。・・・暴れて来いよ」


「ああ」


互いに笑い

そして俺は走って教室を出た。

いつもとは違い急いで・・・・・



ご意見・ご感想お待ちしています。

あと、作者のミスで感想などがユーザの方のみになっていましたが

修正しましたのでよろしくお願いします。

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