第三話 日常と友達
遅刻寸前で学校に着いた稀沙奈と違い
余裕で遅刻した俺は担任の福山に散々説教された後、放課後に生徒指導室へ行くことになった。
どうやら説教の間、俺がまったく反省もせずに反抗的な態度を取ったためらしい
俺は唯、無表情でいただけなのに・・・・
SHRが終わり少しだけの休憩時間
隣の席でにいる稀沙奈のところへは男女問わずたくさんのクラスメイトが集まっていた。
全体の三分の二くらいはいるかな?
そう人事のように考える。
このクラスにとって稀沙奈はなくてはならない人間
それに比べて俺はいなくたって別にいい人間
顔はそっくりなのにまったく別の人間
そんな風に考えるとおかしいかも知れないが笑えてくる。
別にやけくそになっているわけではない
昔は二人で一人のように思われていたのに今では同じ顔でも違う存在として感じることが出来る。
それがなんだかおかしかった。
だが、俺にも友人と呼べる奴がいる。
「みつヤンおっはー!」
「いい加減その呼び方止めろよ」
朝からハイテンションなコイツは水野雄李
俺がこの学校に入って最初に仲良くなった。
関西弁の混ざった話し方が特徴的でとにかくいつもテンションが高い
その上とにかくモテる
クラスの中の三大イケメンに数えられてるし、去年のバレンタインのときは机に乗り切らないほどのチョコを貰っていた。
ちなみに俺は知らない女子から一個だけ貰った。
「ええやんか、みつヤンって呼びやすいし」
「呼ばれてる方が不快な気持ちになるんだよ」
「またまた~スノーフェイスが何言うてんねん」
「・・・・その呼び方も止めろ」
スノーフェイスというのは俺のあだ名だ。
呼び始めた理由は簡単
俺があまりにも表情を変えないのを見て、氷のように冷めているように見えたという
唯、俺はこのあだ名が嫌いだ。
このあだ名のせいで今のような立場になったといっても過言ではない
その為、このあだ名を考えた奴を見つけた時は一発殴ってやろうと思う。
「そう言えばみつヤンに言うことあんねん」
「言うこと?」
「スノーフェイスってあだ名考えたん俺やね・・・ぐほっ!」
俺の拳が雄李の顔面に決まる。
犯人発見!即処刑
「遺言はあるか?」
「ええっ!?ちょい待て!見つけても一発で済ますって言うてたやん」
「一発じゃ気が治まらなかったんだよ」
「いやいや、それそっちの都合やん!?」
「歯ぁ食い縛れ」
「嫌や!華流都ちゃん、助けて~」
雄李が逃げた俺の前の席に座っているのは俺の少ない友人の一人の丸井華流都
小柄でボーイッシュな印象を受ける友人の中で今のところ二人しかいない女子生徒だ。
運動神経抜群だが、勉強はさっぱりという典型的なスポーツ型
こちらもかなりモテる。
知り合ったきっかけについては後々話そう
長くなるし・・・・
「自業自得だね。骨は拾ってあげるよ」
「んな殺生な~」
「そういえば、昨日、近くのスーパーで強盗があったらしいけど・・・・」
そう言って無言で俺のほうに顔を向ける。
「知ってる」
「・・・解決したのは高校生の二人組み」
「知ってる」
「って言うことはやっぱり解決したのって・・・」
「俺と稀沙奈だな」
「はぁ~ボクとしてどうかと思うよ?これで今月三回目?警察沙汰の事件って」
「ハッハー!みつヤンの運の悪さは天下一やね」
「それは褒めてるのか?貶してるのか?」
俺が再び戦闘態勢に入ろうとした時、丁度チャイムが鳴った。
俺達はそれぞれの席へ戻る。
全員が席に座り、隣同士などで話し始める。
これが普通の学校風景
どこにもおかしなところはない
だが、この学校は普通ではない
「グンモーニング皆さん!今日も張り切って生きましょう!」
突然、音もなく、いつの間にか教壇に立っていた教師
名前は田岡実念
最近、普通の学校をクビになり新しくこの学校へ入ってきた女教師だが生徒達に人気で教師といった感じがまったくしない
口癖は「張り切って生きましょう」
本人曰く特に深い意味はないらしい
だが、俺はこの教師があまり好きじゃない
なぜか彼女からは『同類』の感じがする。
仮面の下に何か暗いものを隠しているようなそんな感じ
まあ、俺にはどうでもいいことだけど
何となくめんどくさいことのない毎日さえ過ごせればそれで十分だから
そんな感じで今日も何となく過ごすさ
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