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コンパス  作者: 人知らず
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第二話 日常と朝

妹の稀沙奈は町では有名な少女だが兄の美月はそれほど有名ではない

見た目は普通で、しかし、異常な妹と違い

普通の見た目に普通の学力、普通の運動神経

妹と違い普通というのが美月である。

しかし、唯一つ異常なところもある。

それは運の悪さだ。

買い物へスーパーに出かければ強盗に会い

友達の家へ出かければ泥棒に会う。

仕舞いには中学の修学旅行で乗ったジェット機がハイジャックされる。

そのせいか妹の稀沙奈が人気者なのに兄である美月に友人は少ない

そっくりの顔なのにまったく違うそれが三月と稀沙奈だ。

今日も2人は非日常を東雲しののめ町で日常として過ごす。






















赤月あかつき高校

東雲町の数ある高校の中でもかなり有名な高校だが、学力が優秀なわけでも部活動が盛んなわけでもない

唯、この高校の生徒は全員に共通することがある。

それこそがこの高校が有名になった理由なのだが・・・・・

赤月高校の生徒全員に共通することそれは・・・・・全員が普通の高校で問題を起こして退学になっているということだ。

ある生徒は教師に暴力を振るい、ある生徒は理科室で劇薬を造り、またある生徒は学校内のガラスを全て叩き割った。

そんな生徒ばかりが集まる赤月高校だが意外なことに不良と呼ばれる生徒は少ない

生徒のほとんどはいたって普通の高校生に見える者ばかりなのだ。

しかし、普通に見えても生徒全員が問題児の高校である。

その証拠に一ヶ月に一回は必ず警察沙汰の事件を起こす。

だが、それだけで済んでいるのは教師達も普通の教師ではないからだ。

普通ではないといってもエリートばかりがいるわけではない

むしろその逆

赤月高校には校長以外、問題を起こしてクビになった教師ばかり・・・というより問題教師しかいない

眼には眼をというように問題生徒には問題教師というわけである。

そんな、普通じゃないことだらけの高校が鬼城兄妹の通う高校であり今日も二人はこの高校で一日を過ごす。






















美月の家には稀沙奈と美月の二人しか住んでいない

両親は二人が物心がつく前に死んだらしい

だから、食事の準備をするのも二人で当番制に・・・・・したかったのだが稀沙奈の異常な料理の下手さに食事は美月がやることになっている。

今日の朝も美月はいつも通り、朝食と昼の弁当を作るために起きる。













はずだったのだが・・・・














「・・・・・・ヤバッ・・・・・・」


目を覚ました美月はいつも通りの場所にある目覚ましで時間を確認しようとした。

だが、そこにあるはずの目覚ましはなくいつもは無いはずの壁のそばにネジやらバネやらと共に動かなくなった目覚ましがあった。

急いでケータイを開き、時間を確認する。


8時20分


遅刻まであと10分・・・・・・


「・・・・・・とりあえず急ぐかな」


そう言いながらも特にあわてた様子もなくゆっくりと起き上がった。

それと同時に隣の部屋から物音がした。


「・・・・起こす手間が省けたな」


「美月!!」


稀沙奈がパジャマのままドアを勢い良く開き入ってきた。

その顔が自分とそっくりなだけに自分が怒ったときはこんな顔になるのかな?なんて寝起きでぼんやりとしている頭で考える。

まあ、俺の表情変わったとこなんて自分でも見たことないけどな


「昨日はお兄ちゃんだったのに今日は呼び捨てか」


「別にいいでしょ!呼び方なんてどうでも」


・・・・良くないと思うけどな


「そんなことより今の時間何時か分かってるの?」


「8時20分だろ?」


「分かってるなら急いでよね!」


「ハイハイ」


「ハイは一回!」


「・・・・お前はお袋かよ」


ブツブツ文句を言いながらも着替えるために稀沙奈を部屋から追い出し制服に着替える。

着替え終わりケータイで時間を確認するとあと7分

特に急ぎもせず部屋をでて朝食の準備を始める。


卵が多いことだしスクランブルエッグとパンでいいか・・・・


「今日はパン以外でよろしく~」


「・・・・・」


パンは却下らしいから・・・・フレークでいいかな

キッチンの棚からフレークの袋を取り出し食器棚からそこの深い皿を二つ取り出す。

スクランブルエッグをササッと作りフレークを入れた皿に牛乳を注ぐ

料理をテーブルに運ぶと着替え終わった稀沙奈が部屋を出てきた。


「え~またフレーク?飽きちゃったよ」


「文句があるなら自分でフレーク作ってみろ。何かは出来るだろ?」


「何かってなにさ!牛乳を入れるくらい誰でも出来ます!」


「・・・・・・・」


前にパンにジャム塗ったときのこと覚えてないみたいだ。

あの時はパンがかわいそうだった・・・・・


「もう、遅刻しちゃうからこれでいい!」


「あと5分だな」


「皆勤賞掛かってるんだから!」


「あと4分」


「カウントダウンしない!」


「弁当は昨日の残りでいいだろ?」


「昨日って何だったっけ?」


「ハンバーグ」


「いい!すっごくいい!それに決定!」


ハンバーグでテンションをMAXまで上げている双子の妹にあきれながらも弁当を完成させ自分と稀沙奈のカバンへ入れる。


「あれ?兄様は食べないの?」


「俺はいいんだよ」


それより呼び方統一しろ


「そっか・・・ご馳走様!急ぐよ!」


「あと2分だな」


「目指せ皆勤賞!」


玄関のドアを開け勢い良く飛び出していく稀沙奈

その光景はいつも通りの日常で・・・・落ち着く

まあ、落ち着いている場合じゃないんだが


「あいつ、またカバン忘れていきやがって・・・・いっその事置いてくか?」


しかし、その案はすぐに打ち消した。

あいつが困ってる顔も面白いけどこういうのは柄じゃないか

そんな風に考え、二人分のカバンを下げて玄関のドアを開け、学校へと向かった。




家の鍵を開けたまま


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