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学園一の美少女にえっちを迫るヤンキーがいたので、助けました。そしたら、なぜか美少女といい感じになって……

作者: 上城ダンケ

「やめてください」


 放課後の教室。

 黒板の前にひとりの女子が立っていた。

 背中まで伸びるさらさらの黒髪、スリムかつ繊細なボディライン、色素薄めの肌に整った顔立ち。誰がどう見ても美少女と形容するだろう。


 彼女の名前は蘭子。アイドル並みの美貌にして学年トップ、さらに全女子生徒憧れのイケメン男子、テニス部部長の長田広也の彼女。我が校でその名と姿形を知らない生徒はいない。


 その佐々木さんの前で黒板に手を突き、いわゆる「壁ドン」の体勢で金髪ヤンキー男が対峙していた。ねっとりとした目で視線を這わせる。


「なに清純ぶってんだよ。好きなんだろ? 男のここがさあ!」


 ぐい。チャラ男は股間を強調するかのように腰を振った。


「こっちにこないでください」

「やだね。しっかしエロい身体だなあ。めっちゃスリムなのに胸でけぇしケツぷりぷりだし。スタイル抜群じゃん!」


 チャラ男は「あ、勃ってきた」といいつつ股間を手で押さえる。

 佐々木さんは弱々しく「近づかないでください」とチャラ男に言うがチャラ男はお構いなく佐々木さんに接近する。佐々木さんが顔を背ける。


「とにかくさ、俺とエッチしようぜ? お前、すんげースケベなんだって? 自分から足を開いてせがんでくるって? 自分から入れて、そのあと自分から腰振るんだって?」


 チャラ男が佐々木さんの肩をつかんだ。


「離してください!」

「ほっせー身体! ムラムラするぜぇ! いいなあ広也。お前、彼氏の広也と毎日エッチしてんだろ? 一回くらい俺としよーぜ!」

「嫌! やめて! したくありません!」


 涙目で佐々木さんが訴える。その声は震えていた。


「俺はシたいんだ」


 下卑た笑いをうかべ、チャラ男が吐き捨てる。


「とにかくさ、俺、広也から買ったんだ。おまえをさ。5万円で」

「私を……買った?」

「そ。広也おまえに飽きたんだって。それで俺に売ってくれたんだ」


 佐々木さんは声も出ない。


「ということで、5万円分楽しませてくれ! ここでな!」

「いや! やめて! 誰か……誰か!」


 駄目だ。限界だ。見てられない。

 意を決して扉を開け、教室の中に入る。そして言った。「やめたらどうですか」と。


「ん? なんだ?」


 チャラ男が振り返った。


「嫌がってるでしょ?」

「お前、誰?」

「俺は七転八起ななころびやおき。通りすがりの高校2年生だ」

「ふーん2年生」


 ブレザーの校章を見ながらチャラ男が言った。


「俺、3年生。つまりお前の先輩ね。じゃ、そゆことで、バイバイ。おれ、こいつとエッチするから。邪魔するな」

「聞こえなかったですか? 俺、やめろって言ったんですけど」

「本気でそれ言ってる? 殴るよ?」


 チャラ男が俺をにらみつけた。うん。想定内の行動だ。動じることなく俺は手にしたスマホのカメラ部分をチャラ男に向けた。


「なんだよ、お前。写真でも撮ろうっての?」

「写真じゃありません。動画です。さらに言えば既に数分前から録画は開始してます」

「なんだよ。お前、俺と蘭子のえっち盗撮しようとしてたの? エロ仲間じゃん!」

「その校章、普通クラスですよね?」

「そうだが?」

「この動画を進路指導部長に見せたら……推薦の権利、消えるんじゃないんですかね?」

「動画を提出? 推薦の権利が消える? ん? どういうことだ?」

「3年生なんですよね? 推薦で大学に行くんでしょ?」

「おう、そのつもりだ。俺、バカだけど評定だけはいいんだぜ? なんつってもカンニングのプロだからな! 指定校推薦で大学に行くつもりだけど?」


 あまりのバカさに俺は感動してしまった。とうもチャラ男の脳細胞は頭髪のメラニン色素とともにどこかに消えたらしい。


「放課後の校内で女子生徒に卑猥な言葉を吐きつつ、暴力行為。これって不祥事ですよ。推薦の権利、喪失するんじゃ?」

「お、おお……そ、そーじゃねーかよ! やべーじゃん! 超やばいじゃん! 消せ! その動画!」

「嫌です」

「はああ!? なんでだよ!? 消せよ!」

「消したら最後、きっとあなたは俺に復讐するでしょう。そして再び彼女に危害を加えるでしょう。そのおそれがある限り動画は消せないですね」

「な、なんてひでーやろーなんだ!」

「それ、どちらかと言えばこっちのセリフなんですけどね。校内で婦女暴行に及ぼうとしていたんですから」


 とチャラ男を指さす。


「き、貴様! ……くそ! 卒業したら殴ってやる! 覚えてろ! 七転八起か。貴様の名前、絶対忘れねーからな!」


 そんな捨て台詞を吐いてチャラ男は消えた。


「大変だったね。変なのに絡まれて」


 いつの間にか教室の隅で縮こまっていた佐々木さんに声をかける。


「ありがとう。えっと……七転八起さん」

「吉田裕次郎」

「え?」

「吉田裕次郎。それが俺の名前さ。七転八起なんて生徒はいないよ」

「そうなの? いないの?」


 真剣に聞く様子に思わず俺は笑ってしまった。


「私、おかしいこといったかな……?」

「ごめん。だって七転八起だぜ? どう考えても偽名じゃん。百歩譲って七転って名字があったとして、八起なんて名前つけるわけないよ。そいつの人生、悲惨すぎる」

「でも最近はキラキラネームが……」

「キラキラネームにも程があるだろ? ね、佐々木さん?」

「私の名前を知ってるの?」

「有名だから」

「?」


 不思議そうに俺を見つめる。どうも当の本人には有名人という自覚がないようだ。その様子がおかしくて再び俺は小さく笑った。


「また笑った」


 不満そうに俺に言う。ふくれっ面もなかなかの美人だ。さすが、全校男子羨望の美少女なだけはある。


「しかし、ひどいよな。君のことを……その……なんつーか、性的に乱れているなんていってさ」

「ひどくないよ」


 意外な答えが返ってきた。


「だって、本当だもん」


 え?


「わたし、えっちだよ。すごく、えっちだよ」


 そう言って佐々木さんは俺の胸に頭を埋めた。


「知ってる? 人間はすっごい危険なとき、子孫を残そうとしちゃうんだって」


 佐々木さんの手が俺の下半身をまさぐった。


「つまり、シたくなるの」


 ズボンの上から指が這う。ぴくん。俺の身体が反応する。


「さっきの男が言ってたこと、本当だよ。私ね、自分から足開くの。自分で入れちゃう。でね、ぐいぐい腰動かすの」


 チャックが開いた。


「でも、その前に……お口から味わって。評判良いんだ、私のお口」


※これ以上はR18なので書けません。終わり。

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