帰宅
「ただまー!」家に帰ってきた進とドーン。
「おい! なんだ今の詠唱!」わくわく!
「ただの挨拶だよ! あっちの世界でもあったろ?」
「……、しゃらっぷごーとぅーへるとかかな?」ドーンの世界にはこっちの世界から転移したものがいるのか? もうこのぐらいでは眉一つ動かさない進。
さっさと進の部屋へ行く。
「これが本物の拳銃か……」男の子ならば撃ってみたい。女の子ならマシンガン?
その衝動を抑え、今日は寝る。ドーンの魔力が戻るまで、そして、最大出力でドーンに昨日の事を無かったことにしてもらう。そういう算段だ。
夜が明けた。
「ふあ〜、よく寝た」進が起きた。
「ドーン? あれ? ドーン!」隣で立ったまま寝てたドーンがいない!
ドカドカ。階段を落ちるように降りてリビングに!
「ドーン! 何してんだよ!?」
ドーンはいた。父と酒を飲んでいた。
「お父さん!」俺は驚いたうっすい、ハゲた頭の父の頭がふさふさだ!
「ドーン!」考えられるのは!
「魔法使ったろ!?」
「え? ははは、何のことだか」酔ってやがる!
「お父さん!!」進は驚愕した。父親の髪の毛がふさふさだ。まさか。
「ドーン、魔法使った?」
「使ってまへんよ〜へへへ」このクソ勇者!
「お母さん何があったの?」台所に立つ母を訪ねて三千里。
「ドーンが、お父さんの髪の毛生やしたみたいよ? どうなってるか知らないけど。お父さんが仕事から帰宅してずーっとそのままよ」
(バカヤロー! オヤジの髪の毛よりもっと使うことあるだろ! 昨日のおまわりさんがどうなったのか? とか、下手すりゃ俺等拳銃を奪った犯罪者だぞ!!)
と、思いつつ一応聞いてみる。
「ドーン、残り魔力は?」
「酒と一緒ですっからかあん! へへへ」
進にとって最悪な朝となった。学校は休んだ。仮病使って。父は母に叩き起こされ、そのまま出勤。ドーンは寝てる。