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異世界の死神は救世主  作者: アシンメトリー
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3話…赤の花と紫の華、町に降り立つ

やっと書けました、この章が!結構リアルの方で色々と忙しかったり、と中々進まなかったり、あまり良いアイデアが浮かばなかったりしましたが、何とか頑張っています…(汗)

名無し視点


 …え?え?どう言うこと?情報が整理できないんだけど…今この神族は何て言った?


 「すみません…今何と言いましたか…?」


 「俺は、『神族にならないか?』と聞いたぞ。」


 どうやら聞き間違いではなかったらしい。ただ、貧民を神族に一気に上げる?そのような例は初めて聞いた…


 この言葉には絶対に裏がある。その裏を、私は読まないと。きちんとした目的や理由が無いと、私は誰かのことを信じたりはしない。


 「…何故私などの者を神族にしたくなるのですか?返答次第で回答を決めます。」


 目取様は首を傾げた。まるで、「何故そのようなことを聞くのか?」と言うように。


 「まあ、別に言っても損はないだろうな…まず一つ。先程言ったように、ハンターナイフであんなに手際の良い殺し方をする者は中々いないから。」


 …そういえば他の貧民たちは確かにハンターナイフを食用ナイフや虐め、脅しに使うな…


 「二つ。殺しをしているうちに聞こえた歌だ。俺たちの周りには誰一人として生きていたものはいなかった。つまり、その歌は、お前の口から出てきていた。俺は、お前の歌に惚れた。だから、それが単純に欲しい。」


 確かに歌ってはいたけど…私は全然うまくはないよ?


 「三つ。君の様に、無躊躇に人の事を切り裂いたりする様な神族が中々いないからだ。何なら、俺の知る限り、その様な事ができるのは俺だけだったな。この国は、いや、俺は君のことを必要とする。こんなところで死ぬのは本当に勿体無いよ。」


 …私の事が、必要?この国はさておき、神族が?


 そんなわけないよね!神族が貧民のことを必要とするなんて、戦争の時以外全くないからね!でも、今は平和(多分)。別の界隈で何か大きな争い事が無い限り、貧民はほったらかしにされる。つまり、今、目取様が貧民のことを必要とする様な争い事が起こっている、ということになる。


 戦争に参加するかどうかには、私達には拒否権、と言うものは存在しない。


 つまり、私には、「はい」以外の返答は許されない、という事だ。


 「…はい…わかりました。では、貴方様についていくことにします。」


 私は、やっぱり、今年で死ぬ可能性が高いだろうな。


 「よし、じゃあ、これから、君の今までの家に行こう!必要な物だけとって行くとしよう。」


 「承知しました。」


 自分の家に帰って、死体入りの袋をそこに置き、ナイフと持ち金を持って、外に出る。


 「準備ができました。では、行きましょう。」


 「いや、少なっ!?あーでも、元貧民だからか。」


 「はい。旅などに持って行くものは、武器とお金だけで十分だと思いました。まあ、この量のお金で何かろくな物を買える気がしませんけど。」


 「そっか。でも、まだ、血の匂いがするなあ…君、まだ死体、持ってるか?」


 「まあ、ありますけど。見ますか?」


 「神に死体を見せる、というのはどういうことだ?」


 急に周りの空気が重くなったように感じた。


 「申し訳ありません!お詫びとして、この命、いや、体と魂を…」


 「なーんて、冗談冗談!俺はさっきまで死体買収してたんだぞ?」


 「…確かに。」


 「なんなら俺は死体を見たい、って思う奴だからな。でも、お前が会ったのが俺で良かったな。普通、神たちはこういう生臭い、汚いことに手を染めたり見たりするのが大嫌いだからな。」


 「目取様は、一体、何神何ですか?」


 「そういえば、言ってなかったな。俺は…」


 「「死神」」


 やっぱり。でないと、死体買収人とかになってたりはしないはずだからね…


 「…キレイにハモりましたね…」


 「っていうか、よく分かったな!?」


 「死体買収人の仕事を少ししていた時点で、普通の神族とは違う、ということは分かりきっていました。先程、死体が見たい、と仰っていましたよね?それによって、死体が好きな神族だということがわかりました。私の知っている神族だったら、その条件に当てはまるのは死神しかいませんでした。」


 「いや、推理力!ますます君の事が気に入った!」


 「このぐらい、誰にだってできますよ。だって、私ができるんですから。」


 「自己評価が低いんだなあ…」


 「何を言ってるんですか。私は自己評価は高いです。」


 「え、じゃあ、自己評価の低いの例は?」


 「生きていても価値のないことしかできない、とか、死んだ方が世のため、です。」


 「え、貧民怖。」


 「…」


 死神も大概なのでは…?まあいいや。


 互いに話題がなくなってしまったのか、私たちは二人とも完全に黙りこくってしまった。


 道でよくある血生臭さはいつの間にか消え、道にどんどん光が灯っていくように感じた。どんどん白く、明るく。私が今まで見たことのないような光を放っていた。


 …貧民と町民だけで、景色ってこんなに違うんだな…


 あらゆる背の高い、白い建物、ちゃんとした空気、初めてみるような服、色、武器。


 ここって本当に町民たちが住むような場所なのか!?


 そういえば、たまに貧街に来る町民が言っていたのを聞いたことがある。「ほんとうに、貧街って全部がボロクソだよな」、とか、「色のトーンが違いすぎんだろ」。全部貧街のことを見下すような発言ばかりだった。これを見れば、町民たちの発言も納得できる。


 でも、何もしていない私がその貧街に送られてしまう、ということはどうしても納得いかない。私は何もしていないのに。いけないのは、全てあいつなのに。


 「はいはーい、一回その空気を消そうか。何があったかは知らない。だけど、ここじゃ殺気は相当目立っちゃうぞ。」


 確かに、周りの人達のほとんどが急にこっちの方向を見ている。てっきり私の服の影響かと思っていたが、それだったのか。


 一回落ち着こう。また、あの地獄に追い出されたくはない。だから、演じないと。混じらないと。


 地獄に戻らなければ。


 何でもする。


 地獄に戻らないようにするために、私は嫌な事だって、嫌いなものにだって、


 なってやるよ。

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