第四話 牧舞のメッセージ
『第三話 ゲスい作戦』の裏側になります。
メッセージを送った牧舞の真意は……?
どうぞお楽しみください。
一足早く教室に戻った私は、登録したばかりの千重里君の連絡先に、恋人と言いふらさないようメッセージを送る。
智也君には関係を疑うように話は通してあるけど、あんまり否定が続くと本当に仲悪くなっちゃうもんね。
『カレシの件だけど、言いふらすと嘘っぽくなるから、聞かれるまでナイショねー』
こうやって釘を刺しておけば、智也君に直接言いに行く事はないだろう。
となれば、何か証拠になるものを、という話になるはず。
……ハダカの写メとか言わないよね?
谷間見せるくらいなら、まぁ……。
『わかった。そうしたら聞いてきた相手に説明する時の証拠用に、ツーショット写真とか撮らないか?』
良かった。やっぱり千重里君は千重里君だ。
なら今日の今日でとは思ってなかったけど、家に呼んじゃおう。
いつ呼んでもいいように準備をしておいて良かった。
『そーだねー。りょ。放課後でいい?』
『構わない』
あ、返信早い。
こういうの嬉しいな。
じゃあこれにはどんな反応するかな。
『オッケー。どっちの家で撮るー?』
仕込みをしてあるうちで撮るのが前提だけど、千重里君の家に行けたらそれはそれでラッキーかな。
お、返信来た。
『家で撮るのか』
『カレカノだったらジョーシキじゃん』
知らないけど。
自室が背景の方が説得力があるのは確かだよね。
『じゃあ下種の家で』
『りょ』
そうだ。この呼び名も変えてもらわないとね。
千重里君のお陰でトラウマとかはないけど、距離を詰めるのに呼び名を変えるのは有効だと思う。
牧舞、とは呼んでくれないか。
じゃあ『マッキー』でいいかな。
千重里君は下の名前が道貞だから……、『ミッチー』かな。
あ、何かお揃いっぽくていいな。
私はちょっとわくわくしながら、千重里君が教室に戻って来るのを待つのだった。
読了ありがとうございます。
はい、この時点で牧舞は既に罠を張っていたのです。
そりゃあ道貞の目をもってしても見抜けない訳ですよ。
次話もよろしくお願いいたします。