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第三話 牧舞の仕込み

こちらは『第二話 ゲスい契約』の牧舞視点になります。

お金を要求していた真意とは……。


どうぞお楽しみください。

「そんじゃこのQR読み込んでー」

「あぁ……、っと」


 千重里ちえさと君の連絡先ゲット!

 って、本当に連絡用アカウントって感じ。

 もっと情報載せてもらえないと絡みにくいなぁ。


「……うわー。名前まんまでアイコン未設定とかどういう神経ー? グループチャットだったらハブられるよー?」


 あ、ムッとした。

 でも「そんな事ない!」って反論してこないって事は、使った事ないか、マジではぶられたかのどっちかだね。

 千重里君、誰彼構わず連絡先交換する感じじゃないし。

 あ、そう考えると、この連絡先レアかも。

 なんて喜んでる場合じゃないや。


「ま、いっかー。恋人のフリだもんねー」


 千重里君が私に『女』を感じると、距離が詰められなくなる。

 明確に『油断のならない相手』って思ってもらわないとね。


「じゃあカノジョ料だけどー、月に五千円でいーい?」

「は?」


 目が点になってる。

 写メ撮って待ち受けにしたら怒るかな?

 いや、敵対の理由としてはちょっと弱いかな。


「こんな可愛い子をフリでもカノジョにできるんだよー? 五千円でも安くなーい?」


 あ、怒ってる怒ってる。

 そりゃあ頼み事されたのに、上から目線でお金要求されたら怒るよね。


「あ、一万にしてくれるならー、二人っきりの時でも恋人っぽい事してあげるよー?」


 あ、固まった。

 ありとか思ってるのかな。

 ……だとしたら今後『教育』してあげないと。

 将来お金で女の子を思い通りにするようなクズにならないように。


「……それはおかしいだろ。この話は君から頼んできた話だ。むしろこっちにメリットがあるべきじゃないかな?」

「え……」


 よし、お金でどうこうする気はないみたい。

 ちょっと安心。


「お金……、は可哀想だから、彼氏のフリしてる間、ちょっとしたスキンシップをさせてもらえばいいよ。……ちょっとした、ね?」

「……」


 さてどうしようかな。

 多分本当にエロい事する気はないよね。

 立場を対等にしたいだけ。

 そうするとギャルっぽく「どんな事するつもり〜?」って煽るのは逆効果だよね。

 ここは一つ負けておこうかな。


「ひどい……」

「あ、え?」

「そういうの、嫌だから、カレシのフリ、お願いしたのに……」


 手で顔を押さえながらこっそり様子を伺うと、めちゃくちゃ動揺してる。

 「泣くくらいならそんな交渉ふっかけるなよ」くらい言うかと思ったのに。

 このままじゃ『か弱い女の子』の印象が強くなっちゃう。

 なら携帯の録音をオンにして……。


「もういい……。キミには頼まない……。他の人にする……」

「ご、ごめん! お金がどうとか言われたからムッとして言い返しちゃっただけで、本気でそういう事するつもりはなくて……!」

「……」

「ちゃ、ちゃんと彼氏のフリするから……」

「……」


 やっぱり根はあの時と同じ。

 泣いてる子を放っておけない、優しい千重里君だ。


「……ほんと?」

「え?」

「本当にエッチな事とかしない?」

「本当! 絶対しない!」

「はい録音成功〜」

「……は?」


 携帯を見せると、ぽかんとした後怒りの表情を見せる千重里君。

 でも私が泣いてなかった事、ちょっとほっとしてるかな?


「ちぇー。陰キャだから大人しく払ってくれると思ったのになー」


 これできっと千重里君の中で私は『女を武器にする厄介な相手』と思われた事だろう。

 そうすれば私の『女』の部分にも、立ち向かう形で向き合ってくれるだろう。


「まー、あっさり払っちゃうようなザコだったらー、オラついた奴に脅されただけで降参しちゃいそうだもんねー」


 そしてちょっと自尊心もくすぐっておく。

 同格って感じもないと、負けっぱなしっぽくなっちゃうもんね。


「でも泣きまねにあたふたする感じー、正にドーテーって感じだよねー」

「うぐ……」


 これで一勝二敗くらいの感じかな?

 負けず嫌いなタイプだから、勝ち越させないように、負けさせすぎないように上手くやらないとね。


「じゃあこれからよろしくー」

「……あぁ」


 屋上の出口から階段を降りながら、ドキドキしてる胸に携帯を押し付ける。

 千重里君の連絡先と慌てる声の入った携帯が、今までのどんな宝物よりも輝いて見えた……。

読了ありがとうございます。


携帯、ちょっとそこ代わって。

……宝物扱いされたいだけで、やましい気持ちは一切ありませんよ?


ふと『転生したら女子高生の携帯電話だった件』と言うタイトルを思い付いたので、今夜は早めに寝ようと思います。


次話もよろしくお願いいたします。

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