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第十一話 牧舞の初デート

『第十話 ゲスい映画鑑賞』の牧舞まきま視点となります。


初のデートに道貞みちさだには様々な葛藤がありましたが、その裏で牧舞は……?


どうぞお楽しみください。

 映画当日。

 私は少し離れた所から千重里ちえさと君の様子を見ていた。

 お、携帯を確認し始めたね。

 さっきまで若干あった緊張感が、待たされてるイライラで抜けたのが遠目でもわかる。

 よし、そろそろかな。


「お待たー」

「!」


 わざと早い集合時間を決めて、ちょっと遅れる。

 これでデートに対する緊張感は薄れ、私の遅刻を責める事で余裕をもってデートできるだろう。


下種しもたね。お前……!」


 あれ? 止まっちゃった。

 わざと遅れたし、露出の少ない格好にしたのに、まだ緊張しちゃうのかな。


「ちょっとー。苗字じゃなくてマッキーで呼んでってばー」

「……」


 わー……。固まってるー……。

 見とれてる、とは違うよね……。

 思った以上に女慣れしてないみたい……。


「おーい。ミッチー? どしたー?」

「……」


 仕方ない。またギャルモードでいじるか……。


「返事しないと大声でドーテーって呼ぶぞー」

「そ、それはやめて……」


 あ、ようやく反応した。

 これは予定より手加減してあげた方がいいかなー。


「悪い悪い。あんまり綺麗だから見とれてたよ」


 ゆ、油断した!

 顔が意思と関係なくにやけちゃう!

 これは下手に誤魔化すより……!


「へへー。でしょー。お気にのコーデなんだー」


 千重里君は曖昧な笑みを浮かべてる。

 必死の反撃が効いてないと思ってるのかな。

 超効いた。めっちゃ効いた。

 跳ねたくなる足を必死に押さえて、映画館へと向かうのが大変だった……。




 映画、思ったより面白かったなー。

 途中から夢中になって、手が止まって残ったポップコーンをつまみながら、千重里君に話しかける。


「映画面白かったねー」

「そうだな」

「主人公さー、雑魚とボスとで対応違いすぎてウケたよねー」

「あぁ」

「でも結局ボスにも楽勝なのいいよねー」

「わかる」

「あとバトルシーンはめっちゃカッコよかったよねー」

「確かに」


 あれ? お気に入りの話だって聞いてたから盛り上がると思ったのに。

 むしろお気に入りだからこだわりとかあって、納得してないのかな。

 そういうの、私はわからないから聞いてみたいな。


「どしたの? 反応うすくない? 面白くなかった?」

「いや、すごく面白かった」


 気を遣ってるのかな。

 それとも私に弱みを見せまいとしてるのか。

 どっちにしてもあんまり突っ込まない方がいいよね。


「それにしてもし……、ま、マッキーが『ここ先』知ってるって意外だったな」


 何、しまマッキーって!

 呼び慣れてない感じが超ウケる!

 ……笑わないようにしないと。


「あー、知り合いに勧められたの。すごい面白いって」

「そうなのか」

「それにドーテーは、こういうの絶対好きだと思ったからー」


 あ。

 やば。

 笑わない事に意識集中してたから、ぽろっと言っちゃった……!

 接待みたいだと思ったら嫌な気するよね……!

 それならまだリカバリー効くけど……!


「……マッキー……」

「なにー?」

「俺に合わせてくれてありがとう。お礼にこの後は行きたいところに付き合うよ」

「ほんとー? やったー! 見たい服あったんだよねー」

「ははは。行こう行こう」


 乾いた笑い。

 良かった。合わせられた事に対抗して、私に合わせ返そうとしてくれるみたい。

 そしたら思いっ切り振り回して、映画の借りを返してもらうとしますか。

 ……初めてのデート、一緒にいてくれてるだけで、貸しどころか借りでいっぱいなんだけどな……。

読了ありがとうございます。


甘アァァァいッ 説明不用!!

道貞みちさだの心理は把握してコントロールしてるのに、自分のはそううまくいかない感じ。

アオハルですなぁ。


次話もよろしくお願いいたします。

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