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第十話 牧舞の反撃

『第九話 ゲスいデートの誘い』の牧舞視点になります。

メッセージで攻め手を示した道貞みちさだでしたが、牧舞まきまへの効果は……?


どうぞお楽しみください。

 朝、智也ともや君に私との交際を疑われた千重里ちえさと君。

 このまま手をこまねいている千重里君じゃない。

 さて、どんな手で来るのかな。

 あ、メッセージ来た。


『今度の日曜日だけど、映画にでも行かないか?』


 ……落ち着こう。

 これは私を動揺させる手だ。

 じゃなかったら、千重里君がこんなにストレートに誘ってくる訳がない。

 動揺を悟られないように、千重里君の予想通りの返しをしよう。


『なになに〜? ドーテーはあたしとデートしたいの〜?」


 きっとこう返されるのも想定内だろう。

 さぁ、更なる一手は何?


『あぁ、マッキーとデートしたい』


 ……まさかの直球。

 デートって単語まで照れもなく使ってくるなんて……。

 でも短文で良かった。

 通知だけで内容はわかったから、気付かないフリをして友達に話しかけよう。

 天気の話とかしながら、返信を考える。

 えーっと、映画、デート、映画、デート……。

 駄目だー! 頭が回らない!

 格ゲーのピヨりってこういう事かな!?

 あ、先生が来た……。

 ゴングに救われるってこういう事なんだなぁ……。




「ミッチー。途中まで一緒に帰ろー」

「……あぁ」


 授業中冷静になって考えた。

 メッセージは駄目だ。

 千重里君は文章なら照れや恥ずかしさを押し殺して、強烈に攻めてくる。

 だから敢えて返信しないで、放課後に直接対決をする事にした。

 これなら私に分があるはず。


「でさー、日曜のデートの件だけどー」

「え? あ、あぁ」


 学校を出たところで話を振ったら予想通り!

 テンパってるテンパってる!

 このまま優位を維持していこう!


「あ、あの、何観るか決めてから集合時間とか」

「あたしねー、『ここ先』観たーい」

「ここ先?」


 よし、食いついた。

 事前のリサーチで千重里君が興味を持ってるのは知っていた。

 確か、


『ボス戦なんかで命かけたくないから、雑魚の群れの前で「ここは任せろ先に行け!」って言ってたら経験値ボーナスがエグくて世界最強になったけど、俺は雑魚とだけ戦いたい』


 だったよね。長くて覚えるのに苦労した……。

 でも爽快アクションものだから、見終わった後気まずくなる事もない。

 ギャル好みの映画なら難色を示せるだろうけど、自分の興味のある映画だったら断る理由はないよね?


「じゃ、じゃあ上映してる時間を調べて……」

「日曜だとー、駅前の『シネマでゴー』なら朝九時からの回はまだ空きあるみたーい」


 態勢を整える暇は与えない!

 一気に約束を取り付ける!


「そ、そうなんだ……」

「だから八時半に駅前でいいー?」

「……うん」

「おけー。予約取っとくねー」

「ありがとう……」


 やったぁ!

 速攻で予約を入れる!

 これで急病か身内の不幸でもない限り、映画デート決行だ!


「あー、楽しみー」

「そんなに俺とのデート楽しみなのか?」

「え?」


 やば! 喜び過ぎた!?

 でも今更否定しても誤魔化してもつけ込まれる!

 ここはもう一歩踏み込んで!


「うん。楽しみだよー。服気合い入れて行くから、ドーテーも楽しみにしててねー。じゃああたしこっちだからー。また明日ー」

「……あぁ」


 ……は、早口でまくし立てちゃった……。

 余計な事言ったかな……?

 で、でもでも、もうこれくらいで勘違いする千重里君じゃないもんね。

 ほら、私が振る手に振り返す余裕がある。

 きっと互角の勝負をしたと思ってくれてるはず。

 ……互角、かなぁ?

読了ありがとうございます。


実は結構効いてたパターン。

不意の喜びってダメージ大きいですよね。

レビューとか超効きます(饅頭怖い)。


次話もよろしくお願いいたします。



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