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第一話 牧舞の決意

拙作『俺と下種さんのゲスい関係』の視点違いの話となります。

https://ncode.syosetu.com/n4769ho/

よろしければそちらを先にお読みください。


下種しもたね牧舞まきまのゲスな感じを十分知っているという方は、どうぞお楽しみください。

『やーいシモネタおんなー!』

『はっずかしいなーシモネタおんなー!』


 ……なんでそんなこというの……?

 まきまだって、なりたくてなったんじゃない……。

 こんなみょうじキライだよ……。


『あー! おんなのこなかしてるー! いけないんだー!』


 え? だれ? しらないこ……。


『な、なんだおまえ! カンケイないだろ!? すっこんでろ!』

『わー! わるいことしてるのにえらそうだなー!』

『う……』

『そうだよなー。なきそうなおんなをかこんでるんだもんなー。いじめにしかみえないよなー。おまわりさんとかがみたら、どうおもうかなー』

『……このやろう……!』


 もしかしたら、このこ、ヒーローなのかな……?

 いじめっこたちをやっつけて、わたしをたすけて、


『うるせぇ!』

『ぶへっ!』


 あ、あれ?

 なぐられちゃった!


『うあ……。いてぇ……』


 わ! すごいはなぢ!


『う、うわ……、どうしよう、とまらない……、しんじゃう……! しんじゃうよー!』

『や、やべぇ! にげろー!』

『ま、まってよー!』

『なぐったのおまえだろー!』


 ど、どうしよう……!

 わたしをたすけようとしたせいで、あのこしんじゃう……!?

 こわいこわいこわいこわい!


『うわーん! しんじゃだめー!』

『うわーん! じにだぐなーい!』

『どうしたんだい!? あら! 大変! 救急車呼ばないと!』

『うわーん!』

『うわーん!』




「……ん……」


 ……夢、か……。

 懐かしいな……。

 千重里ちえさと君との出会い。

 あの慌てん坊のおばさんのお陰で大騒ぎになって、いじめっ子達はこってりしぼられ、二度と私の苗字をいじらなくなった。

 でもそれはその後の話。

 病院でお礼を言った時、千重里君は、


『……たすけられなくて、ごめん……』


 鼻に脱脂綿を詰めたまま、うつむいていた。

 あの時私は強い使命感を感じた。

 「こんどはわたしがこのこをまもる」と。

 でもたまたま遊びに来ていただけの千重里君とは、学校も違えば生活圏も違う。

 だから私は、将来再会した時に向けて、強くなる事にした、

 渋る親に頼み込んで、柔道と合気道を習わせてもらった。

 クラスでいじめらないように、いじめられている子を助けられるように、明るく社交的で流行に敏感なキャラを目指した。

 それとお洒落を組み合わせたら、ギャルになるのが一番手っ取り早かった。

 そして親伝手に千重里君の高校の行き先を聞き、その全てを受験。

 同じクラスにまでなれたのは、本当にラッキーだった。

 我ながらあの時とすごく変わったと思うから、気付かれなかったのは想定内。

 しかし誤算だったのは、あの後何があったのか、千重里君はいわゆる『陰キャ』になっていた事だった。


『やっほー。あたし下種しもたね牧舞まきまー。マッキーって呼んでねー。よろー』

『…………ども…………』


 あまりの塩対応に、あの時の事を言い出し損ねた。

 そこで千重里君がクラスで唯一話をしている伴野ばんの智也ともや君から、色々聞き出して策を練った。

 彼氏が欲しいと言っていた菅野すがの慈代いつよちゃんと、彼女を欲しがっている智也君をくっつけて、千重里君も彼女がいない事への焦りを持たせる。

 そこで私が彼氏のフリを頼めば、きっと乗ってくる。

 接点を持ったら、二人の段差を少しずつ埋めていこう。

 そうしたら、きっと……。

読了ありがとうございます。


ヤンデレじゃないよ!

ヤンデレだとしてもヤンデレという名の純愛だよ!


月曜からは、『俺と下種さんのゲスい関係』の流れに沿って牧舞まきま視点で書いていきますので、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] マッキーはちょっぴり純愛を拗らせたヤンデレさんだったんですね(笑) 小さい頃にコンプレックスを弄られて苛められていたのを助けてくれたら、好きになっちゃってもおかしくないですよね。 今度は…
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