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sk  作者: あおいPpoi
風紀委員 三角関係編
12/24

どうにもできない

私の名前は西條理亜。


最近気になっていることがある。


私は風紀委員会に所属している。

委員長は幼馴染の榊春日。小さいころからの付き合い。

真面目で女顔で華奢で女の私からみても可愛い。もちろん外見も性格も。

詐欺。こっちは最大限努力してキレイに見せてるというのに!

まあ、そんなことはいいんだけど、私にとっては弟みたいな存在なのよ。

そして、後輩の速水健太郎。いつもボーとしている。

生態は不明だけど、不眠のせいって聞いた。

そのせいでボーとしているらしい。

無表情・無感動・無気力。三拍子揃った感じ。

それを差し引いても、背が高くてなかなかカッコイイんだけど……なんだか、おかしい。

ハルカを見る目に熱いモノが混じっている気がする。

これは女のカンなんだけどね!


屋上でハルカに膝枕されて寝てる時点でわかりきってるような気もするけど。


たぶん、速水はハルカのこと好きなんだと思う。どう考えても。

ハルカ以外の人間のことが眼中にないし。


だけど、その気持ちをハルカに伝える気はないようだ。

ハルカが困るのがわかってるから……かな。

そういうところは見直してあげてもいいけどね。

苦しそう。

すっごいハルカのこと好きなのにその気持ちを抑えてる。

私まで胸が痛くなってくる。

もしかして、私は速水のこと……?

いや、そんなわけない。

そんなことになったら泥沼化。

それだけは避けたい。



問題はハルカの気持ち。


たぶん、自分では私のこと好きって思ってる。

それが幼馴染だったから家族みたいな『好き』ってことには気づいてないと思うけど。

弟が姉に、もしくは兄が妹に向ける気持ちだと私は思っている。

ハルカがそうじゃないとしても、私の気持ちは弟に対してのような気持ちだ。

小学生の頃から知っているから、ハルカの情けないところも知っているわけで。

恋愛感情にいきつくまでにはものすごい努力が必要だわ。



一番気になるのは……。


なんで、速水のこと嫌がらないの?


ってこと。


ハルカに言いたくて堪えてた言葉。


いっくら、ハルカの近くでしか眠れないからって、

膝枕はやりすぎだと思う。


使命感に駆られているからだと思うけどさ。

『自分しかできないことだからって』

自分じゃなきゃダメなんだ、必要とされてるんだって思ったらほだされるってことなのか……。


それに、極めつけは……写真。

ハルカは写真部に入っている。

そして、速水は水泳部。


ハルカに見せてもらった写真に……言いにくんだけど『愛』を感じたわけですよ。

そっれってもしかして、私が速水のこと気になってるから感じたことかもしれない。


だけど、本当にすごくキレイに速水が撮れてた。


「この時、健太郎、自己新記録だしたんだよ!!」


おーい、それ、頬染めて言う内容じゃないから、ハルカ。

すごかったってことを思い出して興奮してるだけだと思うけど。

スポーツ観戦の時にする、あの興奮と同じ種類?

私がそう思いたいからかもしれないけど。


速水が新記録だせたのは春日が見てたからだと思うよ?

これは間違いないでしょ。



確かにその写真はすごくキレイで私まで引き込まれてしまった。


気になってしまっている。速水のこと。


私まで!


ダメだダメだ!!


私までこの関係に入ったらいくらなんでも不毛すぎる!!



私が今心配すべきことは、ハルカが流されないこと。

無防備に笑うハルカを見て速水が何もしないように、取り返しのつかなくならないように、3人一緒にいること。


2人きりにあまりさせないこと。


これは……自分のためなんかじゃない。

ハルカと速水のため……。


でも、本当に……?

怖くなってきた。

もし、私が速水のこと好きで、ハルカに嫉妬しているから二人きりにしたくないんだとしたら……。

自分のためだなんて、醜い。ものすごく。

それは嫌だ。

自分で言うのもなんだけど、私はプライドが高い。

だから、他人が好きな人のことなんて好きになるわけがない!

そう!なるわけがないのよ!


『好きって気持ちは止められない』


どこかで誰かが言った台詞が頭を反響した。


深く考えるのをやめにした。

あまりにも辛いから。

好きだけど叶わない想いを抱くのは速水だけでいいじゃない。

私はごめんだわ。



どうにもならない三角関係が行き着く先は……誰も知らない。

誰もどうにもできない。


どうにもできないから三角関係って言うわけだ。




※短編~膝枕~



「なんで膝枕してあげてるの?」


理亜が春日に言った。

その膝では健太郎が安心して眠っている。


天気のいい日。屋上でのことだ。


「こうしないと眠れないって言うから……」


さすがに恥ずかしいのか春日の頬は赤く染まっている。


「男同士の膝枕に抵抗はないの?」


理亜が軽蔑したような目で見ていた。


「あるよ!!」


それを見て春日が叫ぶ。


「じゃ、なんでしてるの?」


理亜の問いに春日は微笑んだ。


「……理亜は眠れなくなったことってある?」


「私?時々はあるけど……」


「眠れないと辛いよね。僕も子供の頃眠れなくてさ。その時イロイロ考えちゃうんだよね。嫌な事まで」


「ハルカ……」


「辛い人を放っておくことなんてできないよ。僕で力になれることなら何でもするよ」


ものすごく清い笑顔で春日は言う。


「例えそれが、理亜や他の人に白い目で見られることだとしても」


「は~、春日はいつも人のことばっかり。少しは自分のことも考えたら?」


呆れきった表情で理亜がため息をついた。

お人よしすぎだ、と内心では少し怒っていた。


「僕は人に何かをしてあげるのが好きだから。それに、自分のこともちゃんと考えてるよ」


「ばっかね。昔から」


「昔から理亜はその台詞言うよね。僕をそう、叱ってくるのは理亜だけだよ」


「ホントのことでしょ」



二人が楽しそうに話していると、健太郎が目を覚ました。


「……二人で何話してるの?」


寝ぼけた口調だった。

いつもボッーとしているので寝ぼけているのか、普通の状態なのかはっきりわからないが。


「あ、おはよ☆膝枕は慎みなさいよ、速水」


「……なんで?西條先輩」


「私が見てて嫌だから」


「ちょ、理亜?!そんなに言うんだったら自分がやってあげれば?」


春日が慌てて声を上げた。


「私じゃ眠れないわよね?速水」


「うん」


見事に即答だった。


「わかってたとはいえ、あまりにも失礼ね」


「事実は変えられない」


健太郎は淡々と無関心に言う。


「で~も、もっと言い方ってあると思うんだよね~?」


理亜の後ろに夜叉が見える。


「ってわけで、一週間膝枕禁止。もちろんそのままやめてもらってもいいよ?」


健太郎の無表情だった顔の眉間にしわがよる。


「いいわよね?ハルカ?」


あえて、春日に振るところに理亜のテクニックを感じる。


「うっうん。ごめんね、健太郎。そういうわけだから」


こういう時の理亜を怒らせるとどうなるか、春日は身をもって知っている。

刺激しないのが一番だ。


健太郎も春日に言われたのでは何も言えない。


こうして、理亜は二人の邪魔をしている。

『私が膝枕を見るのが嫌』

と自分の感情に格好をつけているが、それは常識的に考えれば、まぎれもなく正しい禁止事例だろう。



しかし、きっかり一週間後、その膝枕はまた始まった。


健太郎が一週間でとてつもなく弱ったためだった。

その疲労ぶりは著しく、春日は本気で心配していた。

理亜はこれからは速水に何も言うまいと思った。

どうして世の中はうまくいかないことだらけなのだろう。



「悪かったわね。膝枕禁止なんかして」


「西條先輩はいつも正しい」


目を伏せて謝る理亜に健太郎が言う。

廊下ですれ違う時のことだった。


「そんなこと言ってもハルカを変な目に遭わせたら許さないから!」


理亜は弟のようなハルカを心配していた。

それと同じくらい速水のことも心配していたがそれを口に出すことは意地っ張りの理亜には出来なかった。

腰に手をあてて健太郎を指差す。


「過保護だね」


「うるっさいわね!膝枕ナシでも寝れる方法を考えなさい」


もちろん、ハルカなしでも!


そう怒鳴って理亜去っていった。


「考えついてたらとっくに実行してるよ」


俺が教えてほしいぐらいだ。

健太郎はつぶやいた。



「皆が幸せになる方法ってないのかな?」


春日がいつの間にか横に立っていた。

理亜と一緒に来ていたのだ。

そのため、健太郎のつぶやきを聞いていた。

だから、そんな台詞を言ったのだろう。

あまりにも偽善的な言葉だった。


「そんな方法あったら、この世の人全員が幸せになってるよ」


自嘲気味に言い、健太郎は窓の外を見た。

偶然にもその窓は開いていた。

届くはずもない空に手を伸ばした。

春日の言葉は空に手が届くような願いだと健太郎は思った。


「俺だけの幸せは祈ってくれないの?」


「僕が不幸でも、健太郎は幸せ?」


「いんや、不幸」


「じゃ、健太郎だけ幸せになっても意味ないよ」


春日の笑顔は天使みたいに綺麗だけれど、健太郎にはなんだか悲しかった。


皆が幸せになることはない。だから、一人だけで幸せになれない春日も幸せになれない。


「俺はハルカ先輩の幸せだけを願うよ」


健太郎はつぶやいた。


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