明日は明日の風が吹く…と思う
あぁ…これからどうしよう………。
さて皆様、私はあの後、付き添いの使用人のレルアちゃんに
「お嬢様、顔色がとても悪うございます。1度帰って休まれては?」
と言われ、
「まさか!私がどれだけ今日という日を待ち望んでいたか知ってるでしょう、レルア!」
と言ったのだが、
「お、じょ、う、さ、ま?」
の一言に負けて帰ることになったのである。
悪役令嬢ともあろうこのワタクシが!情けない!
という冗談は置いておいて、私はさらなる事実に気がついてしまったのだ。
明日、私に従者が付くのだ。
正確には従者見習いみたいな感じみたいだけど。
確か攻略対象ではなかったが、仲間にしない手はないだろう?(←悪い笑顔)
実は本編は前世でいう高校からで、悪役令嬢シャノンの従者については詳しく書かれていないのだ。勿論、メイソン家に来る日にちも詳細は書かれていない。
それなのに何故私が従者が明日来る事を知っているのかというと……えっと、確か『ファースト·ヒロイン』って題名だったかな、あの乙女ゲーム。
確かそんな題名の乙女ゲームのストーリーの原作者っていうの? それが私の前世の親友だったんだよね。
『本当は教えちゃダメって言われてるんだけどね、私はこの抑えきれない萌えを心の内に納めておける自信が無いの。
だから我が心の友である***ちゃんにだけ特別に教えてあげるわ。どうせ喋っちゃうんなら口の堅い***ちゃんだけにね!
いい? ぜーーーったいに他の人には教えちゃダメよ?
それでね、攻略対象のね、ハァ♡、ハァ♡――――」
あれ、私、前世でかなりヤベー奴とつるんでたな。
てゆうか私なんて名前だったっけ?
いや、そんなのは後でいいや。
という流れで私は原作者しか知りえない情報の数々を原作者以外で世界でただ1人知ってしまったのだ。知りたくなくても(小声)。
実はこの話を聞くまで私は乙女ゲームなる物に手を出したことは無かったのだ。
少女漫画より少年漫画派なのだ。
だが、しかし、ここまで制作の裏事情や(原作者除いて)自分しか知りえないキャラの詳細設定なんかを聞いてしまったらやらない訳にはいかない。
と、いうことで、って、かな〜り話がそれた気がしないことも無い(?)ことも無い(??)から話を戻すと、その親友の話のひとつにこの悪役令嬢シャノンの従者の設定があったのだ。
その話によると従者(見習い)が家にやって来るのが明日。
いや、何月何日っていう確かな情報はないんだけどね。
『孤児だったレイリアが4歳の時、才能を見越してメイアン公爵家に代々仕えているノーストン家の夫妻が養子として引き取ったの。ノーストン夫妻には子供がいない設定だから。
従者としての特訓を始めて1年くらいたった、つまり5歳の雨の日に初めて将来お仕えするお嬢様、つまり悪役令嬢シャノンと会ったの。
実はね! ね! この日はレイリアの誕生日なの!
さ·ら·に、レイリアの誕生日には毎年雨が降るの。雷ゴロゴロピッシャーン!って感じじゃなくって、薄暗くて雨がシトシト降る感じ。
ミステリアス&クール属性のレイリア様!最高!』
あ、そうそう、従者の名前はレイリア君だったな…
ってことで先ほど私、家にある図書室(書斎?)に行って過去の天候の記録を確認してまいりました。その結果ですね、過去4年間、毎年『薄暗くて雨がシトシト降る感じ』の天気だったのは今年でいうと明日。
ちなみにこの世界には乙女ゲームが日本の物だったからなのか、四季があるのだ。それで今は秋と冬の間くらいかな?肌寒い。
あの、たまにちょくちょく出てくる一枚絵……スチル?だったかな?
あれに出てくる悪役令嬢シャノンの近くにちょこっっっっとだけ写ってたのを見る限り、かなりの美形。だったはず。
これはちょっと期待大かも?
まあ、これ以上考えても何も思い出せないし?
今日はもう、さっさと寝ちゃおう。
え?何?
まだ外は明るいじゃないかって?
それでも私は寝るよ?
だってレルアが
『今日は色々と初めてのことばかりでお疲れになったのでしょう。今日は早めにベットでお休みください。旦那様にはわたくしからお伝え致しますので』
って言ったんっだもん。
ちなみに旦那さまってのは今の私の父親のことね。
と、いうことで、私は寝ます。
明日のことは明日考えればいいっしょ。
それでは皆さん(?)おやすみなさい。
まさか明日、あんな事が起きるだなんて。
この時の私は知る由もなかった………。
とかいう事にならない事を祈りながら私は夢の世界へ旅立ったのだった。
自分の前世の名前を『そんなこと』で済ませちゃうシャノンちゃん。
そして夏の時期に冬の話を書くという、挑戦。
すみません。どうしても冬にしたかったんです(´;ω;`)