仲間
2日目の夜もテントはフレイとエルミナに使ってもらった。
僕とユリウスは外で寝る。
「お前が逃げる時間を稼いでくれたんだってな。ありがとう、お前のおかげで助かった」
ユリウスがお礼を言ってきた。
「みんな無事でよかったよ。ユリウスも大した怪我じゃなかったから良かったな」
「そうだな。いろいろ言ってごめんな」
「事実だから仕方ないさ」
こう話してみると、ユリウスはとても良い奴に思えてくる。
「ユリウスは女好きなのか?」
「なんだいきなり?男なら当然だろ?俺は胸は大きいのが好きなんだよ!あとお尻だよ!ぷりんっとしたお尻は最高だと思わないか?」
僕はセリスやフレイを思い浮かべる。
「たしかに・・・」
「だろぉ!なんだお前わかる奴だな!」
考えてみれば、ユリウスは僕と好みが近いのかもしれない。
僕はユリウスに気になることを聞いてみた。
「ひとつ聞いていいか?」
「ん?なんだ」
「ユリウスは、なんでエルミナと寝たんだ?聞く限りだと好みじゃないよな?」
「んー。正直好みではない。顔はたしかに可愛いけどよ、体は全く趣味じゃないんだよ。でもな、あいつといるとそんなの関係ないって思えてしまって、気がつくと手を出してるんだよ」
僕は森での出来事を思い出す。
たしかにあれは、自分の意思とは無関係に欲しいって思えてしまったと。
「やっぱさ、あれって、き、きもちいいのか?」
「なんだスイ。やっぱりお前まだなんだろ?フレイは?仲良いんじゃないのか?」
「仲はいいと思う。最近少し気になってきているのは自覚してるよ・・・」
「めちゃくちゃ気持ちいいぞ!やっちまえよ。で、俺にもどうだったか教えてくれ」
ユリウスはニヤニヤしている。
僕はユリウスの頭をしばき
「やだよ!なんで教えなきゃいけないんだよ!」
「えーいいじゃんか。ってかこんな話してたら興奮してきたー」
おもむろにユリウスは立ち上がる。
「スイ。ちょっと1人でやってくるわ」
「はぁ??何言ってんだよ!僕も行く!」
「クックックッそちも好きよのぉ」
その後、人気のない場所でどちらが遠くまで飛ばせるか勝負した。
ユリウスは凄かった・・・。
清々しい夜明けを迎え、僕は朝の運動をしようとストレッチをしていると、フレイがやってきた。
なんだか少し顔が赤いよ?
「おはようフレイ。どうしたの顔が赤いよ?」
「・・・おはよう。あなた達、声が大きいのよ・・・」
僕はフリーズする。いつの事だろうか?
「えーっと、何の話かな?」
とりあえず惚けてみた。
「はぁ・・・男ってほんとバカよね。で?どっちが遠くまで飛んだのよ?」
「あっ、えっ?ええぇぇぇ??」
全部・・・聞こえてたの・・・?
「ど、どこまで、聞こえていましたか・・・?」
「・・・エルミナは寝てたから聞いてないと思うわよ」
(どこから聞いてたんだよーー!!)
その後フレイは何も聞いてこなかった。
僕は、全て聞かれていたかもしれないので、フレイがどう思っているのか気になって仕方がなかった。
学校へと帰る道は、フレイとエルミナが先を歩き、僕とユリウスが少し離れて後ろから歩いて帰った。
ユリウスはずっと、フレイのお尻を見て興奮していたので、その都度シバいておいた。
無事学校まで帰ってきて、寮に戻る。
荷物を部屋に置いて、食堂へ向かった。
フレイと合流して、テーブルに着くとユリウスがやって来た。
ユリウスは僕の隣に座り、話しながらご飯食べる。
「エルミナは一緒にいないんだ?」
フレイがそう聞くと
「別に、俺はエルミナと一緒にいるわけじゃないからな。エルミナなら他の男達に囲まれてご飯食べてたな」
「エルミナはモテモテなんだな」
「よくわかんないけど、常に男が周りには居るな。あと・・・」
ユリウスは小声で話す。
「エルミナはかなりの人数とヤってるみたいだぞ。同じクラスの男子は全員とヤってるんじゃないのか?」
「まじか・・・」
僕は言葉を失った。
フレイは顔を赤くしている。
「おやおや?フレイもウブだな」
ユリウスはニヤニヤしながらフレイに話しかけた。
「わ、私は、そんなことしませんから!」
「はははっ。ムキになって可愛いな!スイもそう思うだろ?」
「・・・たしかに可愛いな」
フレイはさらに顔を赤くして、黙り、ご飯パクパクと少しずつ食べる。
「野外訓練の時は、エルミナから一緒にいこうって誘われて行ったんだけど、そんなに仲良くもなかったんだよ。なのに、雰囲気で流されてやっちまったし、なんだか誘われると断れないんだよな」
「確かに・・・あれは断れない」
と僕が呟くと、フレイがジロリと僕を睨んできた。
「でだ、エルミナと今後組むつもりもないし、スイの事気に入っちまったんで、ここに入らせてくれ」
ユリウスがそう言うと、
「私は構わないわよ。実際、2人だと困ることも多いしね」
「僕も、ユリウスの参加は歓迎するよ」
僕はユリウスと握手をする。
「あ、ただ、フレイはあげないよ?」
ユリウスにクギを刺すつもりで言った言葉で、ユリウスは爆笑して、フレイは顔を真っ赤にしながら僕を叩いてきた。
(仲間って良いもんなのかもな)
その様子を、男たちに囲まれたエルミナが冷たい目で睨んでいた。