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その男危険につき

僕は、キャンプまでの道のりを黙々と歩き続ける。


「みんな大丈夫?」


フレイがそうみんなに声をかける。


「僕は大丈夫だよ」

「俺も大丈夫ですよ」

「はぁはぁ私は少しきついです・・・はぁはぁ」


エルミナが少し遅れ気味になってきたのでペースを落とすことにした。

僕はフレイと並んで先行して歩き、エルミナの隣にはユリウスが寄り添いながら歩いている。

僕は後ろを見て、


「なんだあいつ。もしかして、エルミナを気遣ってあげれてる良い奴なのか?」

「・・・」


フレイは後ろをチラッと見て何も言わない。

後ろからは、


「はぁはぁ・・・んっ・・・はぁはぁ」


エルミナはだいぶ息が上がってる?


「エルミナ大丈夫?少し休憩するかい?」

「い、いえ、大丈夫です。はぁはぁ、ありがとう・・・ございます」


(本人が大丈夫と言うなら問題は無いかな?)

と思いながら少しペースを落とし歩いた。

フレイは何も言わなかった。


僕達はそのまま歩き、目的地までは十分間に合うので、お昼頃に多めの休憩を取る事にした。

みんなで、木の木陰で休む。


お昼ご飯は、簡単に食べれる携帯食品が支給されている。

現地で調達して食べてもいいとの事だけれど、無理して食材を集めても仕方ないので集めなかった。


僕は少しトイレがしたくて


「トイレしてくるね」


そう告げて1人離れた。

帰ってくると、エルミナとユリウスが居なかった。


「2人はどこへ?」

「・・・トイレ行くって言ってたわね」

「そうなんだ。しかし、結構な距離あるんだね。少し疲れたよ」

「そうね。あっちでキャンプも作らないとだし、早めには着きたいわね」

「エルミナが心配だから無理はしないように行こう」

「スイ、あの子に優しいのね?」

「ん?そうかな?何かあった時に、僕に迷惑かかるのが嫌なだけだよ」

「ふふふ。スイらしいわね」


フレイは笑った。


「しかし、遅いね2人は。あんまり離れると危険だと思うけど・・・ユリウスはいいとして、エルミナはやっぱり心配かも」

「仕方ないわね・・・私が見てくるわ」

「僕が行く訳にはいかないからね。よろしく頼むよ」


フレイはそう言って歩いていった。


そして10分くらいすぎた頃に


「ごめんごめん。お腹痛くてトイレ時間かかっちゃったよ」


ユリウスが帰ってきた。

その5分後にエルミナとフレイが返ってきた。

2人とも顔が赤い。


「2人とも遅かったね?大丈夫だった?」

「スイ・・・女の子に遅かったとか言わないで」


すごく低い声でフレイに怒られた。


少しして出発する。

目的地まではそう遠くないので、体力を気にしながら一気に突き進む。


すると、日暮れ前にキャンプ地に着くことが出来た。

他の生徒もキャンプを作り始めている。

僕達もキャンプ設営に取り掛かった。


僕とフレイで、テントを張る。

ユリウスとエルミナで火の準備をする。

とくに問題もなく設営ができたので、本日は晩ご飯を食べて終了だ。


「近くに川があるから体だけ拭きに行こうよ」


僕はそう提案する。


「いいねー。なら、まず俺とスイがはいる。終わったら見張りしてるから2人が入ればいいよ」


ユリウスがそう提案した。僕達は準備をして移動する。


ユリウスの体は引き締まっていて、身長も高く強そうだった。

体を拭き終わり、女性陣と交代をする。


2人が水浴びをしているのを見ないように気をつけながら見張りをする。


「なぁ、スイはフレイとやったのか?」


突然話しかけられた。


「なぜそんな質問を?」

「いや、フレイっていい身体してるだろ?お前ら仲良いからどうなんだろうって思ってな」

「・・・。むしろそっちはどうなの?エルミナと仲良すぎじゃない?」

「あー、エルミナはもう食ってるからな。あいつの体はガキっぽくてよ、胸もないし、お尻もぺったんこ。

それに比べて、フレイのあの肉付きのいい体よ!いや、体だけで言ったらセリス先生もエロいよな!あの胸もみてー!」

「・・・」


こいつはクズだった。

僕はこいつを殺してしまいそうになるのを必死で我慢した。


2人の水浴びが終わったのでキャンプへ戻る。

キャンプは魔物よけ対策をしてあるので、自由行動となった。

僕はフレイを呼び話をする。


「フレイ、ユリウスはクズだ。このままだとフレイまで奴の標的にされかねない」

「・・・知ってたの?」

「まさか何かされたのか?」

「・・・」


フレイは下を向き何も答えない。

僕は怒り狂いそうになる。あいつは僕の身内に手を出そうとした!

僕が無言で立ちあがるのをフレイが止めた。


「私は直接は何もされてないわ。私の目の前でエルミナが触られてたのよ」

「エルミナは嫌がっては無いのか?」

「どうなんだろうね?」

「それとなく聞いておいてくれる?」

「・・・わかった」

「フレイは奴になるべく近寄らないでくれ」

「なに?私の事気にしてくれてるんだ?」


そう言われて僕は、これだけ嫌だと思うということは、少なからずフレイを気に入っているのかもしれないも思う。


「そうかもしれない」

「・・・素直に言われると恥ずかしいわね」


僕が素直に言うとフレイは照れてしまった。


テントは4人が寝れる広さはなく、フレイとエルミナに使ってもらい、僕とユリウスは外で寝ることとなった。

寝る前に、日課のイメージトレーニングをしてから寝る。


翌朝、いつもの癖で早起きをして体を動かそうとするとフレイも起きてきた。


「おはようフレイ。もうちょっと寝ていても大丈夫だよ?」

「おはようスイ。この時間に起きて体を動かすのが、体に染み付いちゃってるのよ」


フレイは笑いながらそういった。


「あと、昨日2人になった時にそれとなく聞いたんだけれど」

「何かわかったの?」

「それが・・・エルミナから誘ったみたいなのよ」

「えっ?ええっ?エルミナがユリウスを誘ったの?」

「エルミナが言うには、ユリウスだけじゃなくて数人とそういった関係になってるみたいよ」


僕は驚愕した!

エルミナは見た感じ、かなり可愛い。

でも、性格は大人しめだと思っていたからだ。

どうしてそんな事になっているのか理解が出来なかった。


「スイ、エルミナには気をつけて。あの子、スイの事も狙ってるかもしれないわ」


これもまたびっくりする事だった。

フレイはユリウスに、僕はエルミナに気をつけなければならなくなった。


「フレイ・・・できるだけ僕のそばに居てね」

「あはは。なにビビってるのよ!」


バシッと背中を叩かれた。


「大丈夫よ。私は貴方のものなんだから心配しないで」


いや、僕のために側にいてとは言えなかった・・・

(はぁ・・・早く学校に帰りたいなぁ)


波乱の、野外実地訓練2日目がもうすぐ始まろうとしていた。


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