パーティー結成
その男が声をかけてきたのは、僕とフレイがお昼ご飯を食べながらパーティーのことで話していた時だった。
フレイの知り合いに、誰か入ってもらえないか頼もうとしていた時に、
「よっ!ここいいかな?」
僕は声をかけてきた人物を見る。
身長が高くイケメン。少しチャラそうな雰囲気のある男だった。
「ダメな理由は無いのでどうぞ」
そう僕が言うと、その男はフレイの隣に座った。
少しムッとした。
「で?なんの話ししてたの?」
その男はフレイに近づき話しかける。
フレイは少し嫌そうにしながら席を離す。
すると、その男はまた距離を縮める。
「フレイ」
僕がそう声をかけると、フレイは席をたち僕の隣に移動してくる。
男は「ちっ」っと舌打ちを小さくした。
「話しかけるにしてもまずは名乗ったらどうなんですか?」
「あーわりぃわりぃ。俺はバンデーク・ユリウスって言う。騎士爵出身の者だ」
「で?その騎士爵の者がなんのようなのだ?」
おっ!さすがは公爵家!
「いや、今度の野外訓練でパーティーでもどうですかと思ってね」
こいつは、明らかに僕と話す時は見下しているけど、フレイと話す時は下手だな。
「私たちは自分達でメンバーを探すから結構だ」
おぉ!フレイかっこいい!
ちょっとドキドキしちゃったよ!
「メンバー集まるの?そっちのチビの噂知ってる?そんな奴と組みたいやつなんていないと思うぞ?」
チビだとぉ!そりゃフレイより僕の方が少し小さいよ。でもさ、まだまだ僕だって成長期なんだぞ!
「知っているが、まだ誰も入らないと決まった訳でわない」
「へぇ。なら頑張って誘ってみるんだね。誰もいなかったら俺のことを思い出して下さいねフレイ様」
男が去っていく。
あいつフレイに絡みすぎだろ!半分僕のことは無視してたろ!
イライラするのでフレイの脇腹をつねってやった。
「あっ!い、いたい!なんでつねるのよ!」
少し気が晴れた。
その日の放課後。
「えーっと、作戦会議を開きます。」
「はーい」
「なんで、ここでやってるのよ」
セリスがそう言ってくるが無視する。
「残りのメンバーをどうするのか。正直いって僕にあては無い」
「スイ・・・なんで自信満々で言ってるんですか。なんで3ヶ月も経ってるのに友達がいないの?」
僕の頬に汗が伝う。
「僕は悪くない。周りが悪い」
「はぁ。セリスさん、スイはずっとこの調子なんです。私の方で当たってはみましたが、誰一人としていいお返事は頂けませんでした」
「フレイでダメとかなんでなの?」
「・・・・・・・・・」
フレイは黙る。
僕はフレイを見つめる。
プレイは目線をそらせ喋り出す。
「スイの評判が・・・悪くて。みんなスイと組むのを嫌がるのよ」
「えー、なんでそんなことになってるの」
「まず、入学早々に女生徒が襲われそうになったのを覗いていた覗き魔」
僕は何も言わない。
「次に決闘の末、女生徒を自分の奴隷にした鬼畜」
僕は何も言わない。
「自分の奴隷をアピールするかの如く一日中連れ歩いてイチャついている変態」
「・・・・・・最初の以外、僕は関係なくない?それにイチャついてなんかないよね?」
フレイが顔を赤くしてこちらを見ている。
「僕はフレイに、束縛の魔法使ったけれど何も強制してないと思うんだけれど?」
「それはそうだけれど、周りから見たらそんなの分からないじゃない」
「フレイがもっと、誤解をといて回ってよ」
「なんで私がそんなことしなくちゃならないのよ!」
「なに?痴話喧嘩?」
「違う!」「そんなんじゃありません!」
セリスは、呆れたような目線を僕達に向けてきた。
「でもパーティーはどうするの?2人だとダメなのよ?最後は強制的に組まされるわよ?」
セリスがそう言ってくる。
「もう決めてもらった人でよくない?探すのも面倒だし」
「あのバンデーク・ユリウスとか言うのが来たらどうするのよ?」
「いやいや、そんな偶然起こんないでしょ。だいたい生徒何人いると思ってるんだよ」
「ほんとうにそうかしら・・・」
「なるようにしかならないって」
僕は考えることをやめた結果・・・
「バンデーク・ユリウスだ。ユリウスと呼んでくれ。よろしくな!」
「エルミナです。よろしくです」
バンデーク・ユリウスがメンバーになってしまった。
もう1人は平民の魔法使いっぽいかな?
「僕はスイ。よろしくお願いします」
「私は、セルジアット・フレイよ。フレイでいいわ」
僕達は挨拶を交わす。
どうやらユリウスとエルミナは同じパーティーだったみたい。
ユリウスはBでエルミナはDクラスとの事だった。
今回の野外実地訓練は、2泊3日の工程で行われる。
1日目は、学校からパーティー事に朝から出発して目的地まで着きキャンプ。
2日目は、朝から戦闘訓練をしてキャンプ。
3日目は、キャンプを片付けて帰ってくる。
全てパーティーでこの工程を行う。
何事もなく帰って来れるといいなと思いながら僕達は出発した。