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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第5章 ―オーガ大陸激闘編―
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第八拾八話 拠点建設

 オーガ大陸への上陸を果たしたリンドバウム軍は、順次飛空艦2隻とホエール艦1隻を哨戒させて、陸戦隊を中心に拠点の建設を始めていた。


 資材に関してはユーヤかカスバドがダンジョンコアに飛び、そこから予め用意していた物を転送して行われた。


 普通は何ヶ月も掛かるような大規模な基地を、2~3日で建設しようと云う二人のダンジョンマスターに周囲の者達は困惑の色を隠せずにいたが、あの二人の事だからやれるのだろうと其々が自身の仕事をこなしていった。


『ヨーン提督、西地区にて蟲系の魔物多数発見。機鋼甲冑の発進許可を願います。』


「わかった。哨戒中の機鋼甲冑隊以外に海上艦からの艦砲射撃も許可する。その際には飛空艦よりデータ送信して誘導してやってくれ。」


『了解。』


 司令に関してもユーヤ、ヨーン、ベルドの3交代で行っていた。ダンジョンコアと現地とを行ったり来たりしながらであるユーヤの負担が多少大きいが、王であるユーヤの声を聞かせる事で士気も維持できる為に、多少の無理をしているようだ。


 それ故にユーヤを心配する司令部が気を利かせて、奥方衆に交代で現指令室となっているリンドバウム号に来てもらったりしていた。


 マリオンの手が空いていそうだから、マリオンがリンドバウム号に居ればいいんじゃないのか?とお思いであろうが、それでは奥方衆の中でのユーヤに対する平等性が損なわれてしまうのだ。


 実際そのつもりでヨーンがマリオンに依頼したところ、おカジさんとウテナが拗ねてしまった為こうなったようだ…。


 ここにサクヤ姫まで加わっているのは周知の事実としておこう。


 ヴァルキュリアを指揮するおカジさんも、哨戒任務やスクランブルなどで忙しいウテナとしても、そちらに関して4交代になる事は体力的には助かっているようである。


 そう云った流れもあり、サクヤかウテナがリンドバウム号に居る間は、イザナミのコパイロットはマリオンが担当していた。




 そうしてリンドバウム号に乗艦して奥方がしている事は、給仕である。


「キャシー、ちゃんと今日のは温めに作っておいたのです。これなら100点ですよね?」

「うーん。ウテナ~もうちょっと甘めがいいから83点かにゃ?」

「えー…砂糖くらいは自分で足してくださいよー。」


 こんなやり取りを眺めているだけでもユーヤは癒されていたようだった。


『陛下、基礎工事の方は終わったのでそろそろ上物を置いてください。』


「わかった。ブランお疲れ様。キャシー、リンドバウム号で吊り上げるぞ。各員に通達頼む。」


「了解ですにゃ。乗組員に通達、これより拠点建物の楊重作業に移る。各員速やかに準備に移れ。繰り返す――」


 リンドバウム号の底部フックにワイヤーが取り付けられていく。これを既に組立済みの建屋に括り付け、吊り上げる。そして基礎工事の終わった場所にそれを設置するのだ。


「ゼフィロス、駄々捏ねるなよ。ちゃんと出来たら、後でアネモイとの通信をたっぷりさせてやるからな。」


 ユーヤがそうリンドバウム号のコンピューターに話しかけると、ゼフィロスはエンジン出力を上げた。どうやら張り切っているらしい。


『さすがマスターはわかってるよね~。おいら頑張るぜ!』

「頑張るのはいいけど、張り切り過ぎ!陛下!変にゼフィーを煽らないでください!」


 ユーヤは頭を掻きつつゼフィロスのオペレーターの女の子に謝っている。それを見ていたウテナが、そのオペレーターの横に興味津々と云った感じで歩む。


「ゼフィー君。アネモイちゃんが好きなんですか?」


 その途端艦がグラーと横に揺れる。操舵員が立て直すために慌てていた。


「う、ウテナ様…。ゼフィーを動揺させないでください!!」

「あはは~ごめんね。アルル。」


『ウテナ様には敵わないなあ。ダメだよ、こんな事アネモイに言わないでね。』

「はい。わかっていますよ。今度アネモイちゃんの不要になったメモリーチップを持って来てあげますね。」


『うおおおお!さすがマスターの奥様!!俄然やる気出てきたーーーーーー!!!』


 アルルは頭を抱えてしまった。そして操舵員が必死になっている。ウテナは更にゼフィーの心に火を点けてしまったようだ。


 外で見ていたブランなどの陸戦隊設営班は、この様子を物珍しげに眺めている。艦が右へ行ったり左へ行ったりと落着きがなく動揺していたのだ。


「なあ、確か給仕当番…ウテナ様だったよな…。」

「ええ…。」

「なんかやらかしたんだろうな。あれ。」

「ですね…。」



 ウテナとサクヤの破天荒ぶりは、リンドバウム軍全体で既に知れ渡っており、彼女達が関わっているとなればこんな事も日常茶飯事と認識されてしまっているようだ。



「はいはいはいはい!ゼフィー!ちゃんとお仕事して!ウテナ様は陛下の横にでも行っててください!!!」


 アルルの目が血走っていた。やりすぎちゃったー、えへ♪と云うような素振りでウテナは舌を出しつつユーヤの横へと退散する。クルー達はアルルの剣幕に苦笑いをしていたのだった。


「あはは…アルルすまんな。国に帰ったらヴェイトンのバッグで許せ。」

「いえいえ、それには及びません。お給料さえ上げて頂ければ結構です!」


 相当お冠のようである。リンドバウムでも有数の老舗であるヴェイトンのバッグは恐らく彼女の給料2ヶ月分くらいの値はする。それさえも要らないと豪語するアルルに、彼女のお怒り指数が皆にも伝わる。


「ウテナ…。お互い気を付けような。」

「はい…。」


 小声で会話する王家夫婦に、アルル以外のクルー達が吹き出している。


 そこへマジンゲル号より連絡が入る。


『魔族…恐らく七大幹部プテラス率いる鳥人軍団が東方より接近。迎撃態勢に移行します。』


「わかった。リンドバウム号も拠点設置後急行する。機鋼甲冑隊は出れる者は全機発進。誰かヨーンを起こして来てくれ。俺も機鋼甲冑で出る。迎えは…エレーナ達は仮眠中か…ならサクヤ姫とマリっぺに頼んでくれ。」


「了解しました。こちらリンドバウム号。ホエール聞こえますか?これより――」



 ヨーンはアラート音で目を覚まして、呼びに行った時にはシャワー室から出てきたところであった。サクヤとマリオンは気を利かせて、イザナミでアナトを背負ってリンドバウム号の甲板に着艦する。


 ゼフィーは女性態精霊が背中に二人も乗って、またもや暴走気味になっていたようだ。特に風もないのにリンドバウム号が動揺していた。


「マリっぺ!そっちでいいのか?」

『艦の上での乗り換えなんて危ないじゃないの。このままのペアで行きましょう。』


 ユーヤとウテナはそれを聞くと、即座にアナトの手の平に乗る。アナトはゆっくりと胸の位置まで二人を乗せた手を上げて、搭乗用ハッチを開いた。


 ユーヤはアナトに乗り込むと、即座にリンドバウム号のブリッジとの通信を開く。


「ヨーン、聞こえるか?」

『はい。しっかり。』


「これから俺達はプテラス討伐に出る。そちらはあくまで拠点建設が最優先で頼む。応援は設置後でいい。」


『了解です。御武運を。』


 モニター越しにユーヤは軽く敬礼をすると、アナトのペダルを一気に踏み込む。


「アナト!最大速度で急行だ!!」

『はい!心得ております。』


 ホエールに寄る事もなくそのままアナトは飛翔した。手には魔導ランチャーが装備されている。


 このランチャーには機体本体に繋がるパイプが付いており、そこから本体の魔導力を吸い上げて魔力を籠めた弾丸を発射する。ランチャー本体の長さは機鋼甲冑の全高と同じくらいある。そしてその威力は飛空艦の魔導砲の半分くらいであろうか?ランチャー内部には小型の魔導炉が搭載されており、これによって魔導力を増幅しているのだ。


 最大速力で現地に向かう2機の機鋼甲冑の視界には、大量の鳥人魔族の群れが見えて来ていた。その群れの中に幾つもの爆発光が見える。恐らく先行しているテンゴウ達であろう。


「爆発光を避けてランチャーを発射する。サクヤ姫もいいね?」


『まかせてください!』


「魔導ランチャー、発射!!!」


 2条の発射された弾丸は、群れ外周の魔族に接触すると大爆発を起こした。爆裂弾を装備していたようである。


「次は魔導砲撃!」

『らじゃりました!』


 今度は黄緑色の射線が魔族を焼き払っていった。


 そして群れ中央に視線を移すとテンゴウであろう、魔族が近づけど次々と薙ぎ払われている。


「そろそろ近接戦に移ろう。サクヤ姫は群れの左から、こちらは右から駆除する。」


『はいな!イザナミGO!』


 群れと云う表現をしたユーヤであったが、既に爆裂弾や魔導砲撃、それに時折来るマジンゲル号からの砲撃によって大半が消し飛び、その数を減らしていた。


 そうして捌いて行くと、ようやくリンドバウム号が到着するのが目に入る。ユーヤは全機鋼甲冑に退避命令を出す。


「ぬう!?どこへ行くつもりだ勇者王よ!」


 七大幹部プテラスがようやく御出座しのようであったが、全機体が既に飛空艦の後ろへ退避した後であった。


 プテラスは事態を把握し蒼ざめる。2隻の飛空艦の魔導砲が、発射寸前の光をその砲口に宿していたからだった。


「2千年前の裏切り行為、今ここに清算してもらおう。」


 ライガのその台詞が発射の合図となり、マジンゲル号とリンドバウム号から幾つもの魔導砲の光が鳥人魔族と、その頭領たるプテラスを呑みこんだのだった。


 全砲塔による全力全弾発射の威力は凄まじく、鳥人魔族とプテラスを灰にするだけに(とど)まらず、その後ろにあった山々をも塵と化していた。


 遅れてガリアン号が到着する。ベルドもこの砲撃に参加したかったようであったが、仇を灰とした映像を見ていたらしく、何処か晴々とした表情ではあった。


 残る幹部は1人。そして3人の魔王と、その後ろには魔神が控えている。戦いはまだまだ続くのだ。

あっさりプテラスさんを焼いちゃいました。

残る魔族が強力なのでもういいや

と、魔王のような選択をしたミツクラでした。(ぉい)

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