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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第4章 ―復興編―
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第七拾九話 横槍

おお、50pt越えました。

ブックマークありがとうございます。

そしてここまで読み進めてくださっている方々に感謝します。

 召喚術の後、ユーヤが格納庫に残りカスバドは奥方衆を連れてブリッジへと上がって行った。ユーヤとカスバドは通信用ヘッドセットを付けている。ユーヤがイザナミのチェックをしながらカスバドと話すためである。


「思った通りこれは良いデータが取れたよ。」

『ほうほう。』


「搭載状態で召喚すると、初めから精霊と機体のシンクロが異常に高くなっているよ。次からはイザナミ同様に機体にセットしたまま召喚するべきかもね。」


 通信しながら、ユーヤはイザナミのコックピットの端末を操作している。召喚された精霊と機体の相性を調べているようだ。


『そのようなデータが出おったか。アナトの時は動けるようになるまでに多少苦労したからのう。』


「ああ。たぶんこの感じだと、いきなり今日のフライトでアナトと一緒にテストが出来そうだよ。パイロットもいる事だしね。」


『ではあとでツクヨミ姉妹には、シュミレーションルームに入ってもらおうかのう。』


「ああ、そうしてくれ。」


 データを眺めているユーヤは、嬉しそうにキーボードを叩いている。ツクヨミ姉妹に呼応したイザナミは、独自のスキルまで手に入れていたようだ。


「凄いな。ウテナのニンジャマスタースキルに対応してるじゃないか。しかも、まだアナトでは精霊とコンピューターとのシンクロが足りずに使えない重力シールドまで…これはサクヤの闇魔法に対応したのか?」


『なんじゃ?アナトも召喚し直したくなったのか?』


 カスバドの問いにユーヤは首を振る。


「いや、アナトにはアナトの個性がある。マリっぺやシアとの親和性の高さが武器と思えるからね。テストを続けていけばシンクロも時機に上がるからこのままでいいと思ってるよ。スキルもそれに伴って発現するだろうしね。」


 そして満足げな笑みを浮かべて、ユーヤは端末を収納してコックピットから降りると、エレベータールームへと向かうのだった。






 テストの為ホエールは、南海のリゾート地で元皇国領ナハ近海に向かっている。ここは獣王区に近いため、ちょくちょく海獣が出現するポイントである。しかし獣王区ほどの出現頻度ではないため、リゾートとして成り立っているようだ。


「二人の様子はどうだい?」


 簡単な機鋼甲冑のメンテナンスを終えたあと、シャワーを浴びてからようやくユーヤはブリッジにやって来た。カスバドはその間にツクヨミ姉妹をシュミレーションルームに案内して、一通りの操作をレクチャーしていた。


「まあ、普通に動かすには問題なかろう。この二人は先史文明やら転移者語録やらを読み漁っていただけに、割とスムーズに対応できとるわい。」


「なによ。それはいまだにメイン操作が出来ない私への嫌味かしら?」


 陛下の正妻様が、カスバドを睨んでいらっしゃるご様子だ。カスバドは白々しく鼻歌を歌っている。カスバドの見た目が子供であるため、マリオンもそれ以上のアクションを起こす気にはなれないようだ。


「ねえパーパ…いえ父様。わらわもアナトちゃんにのせてほしいのじゃ。」


 ユーヤはクスりとしながら、シアの頭を撫でる。『良かった。まだ2歳の頃のシアが少し残ってたみたいで。』と違う方向の喜びを噛み締めながら。


「そうだねぇ…じゃあ演習が終わったら、パパの膝の上で操縦してみようか?」


「やったー!じゃあ、セーラは母様のひざのうえでの。」「え、セーラも?!」「陛下…ダメでしょうか…。」「あ…いいよ。(そうだよな…将来シアにアナトを渡した場合、そのコパイロットはセーラだよな…。)じゃあ、二人には後で直に操作を教えてあげよう。」


「ちょっとちょっとユーヤ、子供に兵器の操作を教えるのはどうかと思うわよ?」


 マリオンの反応は親として当然の反応と云える。簡単にいいよと言ってしまうあたり、ユーヤはその辺の感覚が緩いのかもしれない。いや、どうかしているのかもしれない。


「じゃがのうお妃様、少なくともシア様には素養があるとわしは思うておる。シア様が大人になる前に魔族との戦いを終わらせたい気持ちはわからんでもないが、陛下とお妃様が敗れた場合、魔族と正面から戦う事になるのはこの子らじゃぞ。」


 ユーヤをカスバドが援護する。


「しかし…。」


「この子らにロクにアナト達の扱いも教えずにお主らが敗れれば、この子らに未来はない。そう仰りたいのですよねカスバド卿。」


 シュミレーションルームから戻って来たサクヤだ。


「サクヤ姫!ユーヤとカスバドを擁護しようと云うのですか!?」


 マリオンはきつい表情でサクヤを見るが、サクヤはそれを見返すように動じる気配がない。


「事実を申しておるだけじゃ。女神よ、お主はいつからそのように軟弱になりおった?魔王を倒すのであろう?なれば手はいくつあっても良かろう。戦神の使命を忘れたのかや!」


「う…!」


 どう云うわけかサクヤは無双論破モードが完全発動してしまったようで、本来の素の話し方になってしまっている。女神の使命を持ち出されたマリオンは、言い返すだけの言葉が出ないでいた。


「まあまあ、みんなそんなに熱くならないでくれよ。すまない。俺がうかつだったんだ。それに操縦を教えるって言っても、軽くアナトとシア達が触れ合えるくらいの事をしてやりたかっただけなんだ。機鋼甲冑にも意思がある。あいつらにとってもレクリエーションは必要かなと思うんだ。」


 頭を下げながらユーヤはマリオンを宥める。ユーヤが頬に手を添えると、マリオンの表情が少し柔らかくなっていた。


「わかったわ。武器としてのアナトではなく、精霊としてのアナトと触れ合うと云う事なら承諾します。」


 多少は空気を読んでいるようで、シアは声を出さずにガッツポーズをしていた。その横でセーラが、そんな主に困った顔をしているようではあるが。


「機械神とのレクリエーションと云うわけじゃな。これはまた面白いデータがとれそうじゃわい。」


「カスバドさん。仕事熱心なのはいいのですが、少しは空気を読みませんか?」

「これはこれは、まさかウテナ様にそれを言われるとは…。」


 二人のそんなおどけたやり取りに、少し場の雰囲気も緩む。サクヤも通常モードに戻ったようである。


 マリオンは先程サクヤに言われた事がよほど痛かったらしく、マリオネートと交代してしまったようだ。柔らかい表情でユーヤにしがみついている。


 ユーヤはしがみ付いている奥方の頭を軽く撫でると、おカジの方を手招きして傍に呼ぶ。おカジはワダツミを乳母に預けて、静かにユーヤとマリオネートの傍に歩を進めた。


「すまないが目的地に着くまでマリの相手をしててやってくれ。妙なライバル意識を持っている君が相手をする事で、少しは元気が出るかもしれないから。」


 そうおカジにユーヤは耳打ちすると、おカジは微笑しながらマリオネートを「少し風にでもあたりに行きましょう。」と甲板へと誘ったのだった。


「すみません兄君。先程はマリ姉様に強く言い過ぎてしまいました。どうやら巫女としての因子が暴発してしまったようです。」


 サクヤも少し落ち込んでいるようだった。


「…てことは、さっきのは戦神の横槍か…。まあ仕方ないさ。やっちまったもんは仕様がない。ちゃんとマリには自分で謝っておいてくださいよ。」


 サクヤにもユーヤは頭を撫でて励ますと、シアとウテナが頬を膨らませていた。仕方なくユーヤは二人の頭も撫でるのだった。


 ツクヨミ家に限らず、アマテラスとスサノオ家の者も戦神以前の主神に定められた勇者の一族である故に、主神の端末とされ易いのであろう。その中でもアマテラス家はその傾向が強いらしい。


 サクヤはツクヨミ家の中ではその能力はずば抜けており、それ故に精霊術にも長けていた。彼女の跳躍後の長い滞空時間などは、彼女が意識せずとも風の精霊が補助していたり、闇魔法や暗黒魔法と呼ばれる彼女の得意な魔法術に於いても発揮されていて、闇の精霊の加護ある故らしい。


 これは双子であるウテナにも当てはまるのだが、サクヤには及ばない。


 ユーヤは戦神の顔を思い浮かべつつ考える。これも一つの神託のようなものであるとするならば…と。


「俺が時間を掛け過ぎている事に、戦神も焦って来ていると云う事か。」





 ホエールが獣王区上空を通り、ナハ海域に到着したのは出発から3時間半ほどであった。図体が大きいだけにリンドバウム級よりも速力が出ないらしい。


 その頃にはマリオンもすっかり機嫌を直して、マリオネートと交代していた。ただ、いつもより長い時間表層に出ていた為にマリオネートが疲れてしまったようで、2~3日は交代が利かなくなってしまったようだ。


「まあ、まだこの子も回復出来ていないと云う事ね。魂の修復が完全に終われば、表裏を逆にしてあげたいのだけれどもね。」


「ん?その言い方だと、マリっぺは神界に帰らない気なのか?」


 思わずユーヤは疑問を口にしていた。勿論全てが片付いてからの話しではある。それを聞いてマリオンは寂しそうに笑う。


「この子…マリオネートのこの先の未来と、貴方を見続けていたいのよ…。そしてアルテイシアの未来も…。」


 ユーヤは自分の聞き方が拙かった事に気が付いて「ごめん。変な事を聞いた。」とマリオンを抱きしめる。マリオンの瞳が潤んでいた。


 ウテナとおカジは、これを微笑んで見守った。恋敵ではあれど、彼女らは既に姉妹のようなものなのであろう。サクヤもまた、戦神の横槍とはいえ言い過ぎてしまった自身を反省して静かに見守るのであった。


 目標ポイントに差し掛かると、都合が良いと云うべきか巨大な鮫を捕食しているイッカクの群れと遭遇する。そのお零れに預かろうと鳥系の魔獣…魔鳥の群れも見えた。


「これは多すぎるかもしれんのう…。一応テンゴウ殿に連絡を入れておくぞい。」


「ああ、頼む。マリっぺ、ウテナ、サクヤ姫。行くぞ!」


「「待っていたのです!」」


 ツクヨミ姉妹は綺麗に揃って声をあげる。マリオンはジッとユーヤを見ると、意外な事を口にした。


「シアとセーラも最初から連れて行きましょう。」


「「「え!?」」」


 反対していた本人から出た意外な一言に、搭乗ブロックへ行きかけていたウテナとサクヤの足も止まった。サクヤが困惑した顔をしている。


「あ…マリ姉様?私があんな事を言ったので意固地に―」


「違うわよ。」


 サクヤの言葉も終わらぬうちの即答であった。


「あれが師匠からの伝言であるなら、今のぬるま湯に浸かりきってしまった私への叱咤激励と云う事でしょ?なら、越えてあげようじゃないの!親子揃って!!」


 凄まじい闘気を発する奥方に、ユーヤは思わず後退り、シアは「ま、ママがこわい…。」と素で呟き、おカジとネイは泣き出した赤子達を乳母達と共にあやし、セーラは対処に困ったようでキョドっていた。


 そんな火事場のような光景をカスバドは眺めながら、子供には不似合なブラックコーヒーを啜り呟いた。


「本当に陛下の傍にいると、飽きなくて楽しいわい。」


 そんな艦長に、ブリッジクルーは冷たい視線を投げるのであった。

うん。

すっかり今までサクヤのこの能力使うの忘れてたよ。

巫女因子って云ってるけど、御三家特有の能力です。

本来は『勇者因子』が正しいです。


これだけだと聖女と変わらない能力ですよね。

他には戦闘による経験…

スキル習得率が異常に高い(ウテナのニンジャマスターがいい例)のも

この勇者因子のせいです。

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