第七拾八話 イザナミ召喚
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とても有り難いです。
気付けばシア様も3つになり、かなり色々な事を考えるようになった。しかし、その相手をしている者が、親とセーラ以外は老人(外見が少年の者も含む)ばかりである為か、最近口調がおかしいとユーヤは頭を抱えていた。
「シア、今日はパパとママとで買い物に行こうか?」
「そうじゃの。それはめいあんじゃ。」
「シア、今日はパパがパンケーキ作ってみたぞ。どうかな?」
「うむ。よいあじじゃ。われのこのみとしてはもう少しあまみがほしいところじゃがのう。」
「シア…。」
「ちちうえ!わらわは(遊びで)いそがしいのじゃ。あとにしてたもう。」
こんな調子である。これはカスバドの影響か?クーガーであろうか?それともたまに遊びに来るツクヨミかベルドの影響であろうか?テンゴウと云う線もあるが、こちらはそれほど会っていない筈である。
そうして頭を抱えているユーヤを見て、マリオンがクスクス笑いながら諭す。
「大丈夫よきっと。ちょっとしたあの子の中でのブームみたいなものよ。そのうち落ち着くわ。」
しかし、この見解は甘すぎである。彼女は生涯この、雅と云うべきか爺くさいと云うべきか判らない言葉使いをし続ける事になるのであった。
機鋼甲冑のテストも最終段階に入り、今回はホエールからの発艦及び飛行テストを行う事になっている。どうしても付いて行きたいとシアにせがまれ、ユーヤは結局一家全員を連れてテストをする事にしたのだった。
空港に着くと、すでにホエールは発進準備に入っており、エンジンに火が点いている状態であった。この艦の艦長はカスバドが務める。
「ちちうえ。おおきなふねじゃのう。まるでくじらのようじゃ。」
シアはユーヤに抱っこされながら、相変わらず幼女らしからぬ言葉使いで興奮している。
「そうだろ?このお船にいつか見せたロボットが乗ってるんだぞ。」
「アナトちゃんであろう?はやくあいたいのう。」
そんな娘の要望もあり、その巨体を眺めながら一同は、格納庫のあるホエールの腹部を目指した。
「兄君兄君!何故この艦はこれ程までに大きく設計されたのですか?」
またも家族に混じってサクヤが便乗している。既に当たり前の風景となりつつあるので、誰もその辺にはツッコまなくなっている。
「こいつは機鋼甲冑専用に作られた母艦だからさ。こいつの腹の中に確か10機は積めたかな?」
「これだけの大きさならもっと積めそうですが、そんなものなのですね。」
サクヤは少し残念そうな表情である。
「まだテストしている機体だし、1機1機のメンテナンススペースを考えれば、こうなっちゃうんだよ。」
格納庫に到着すると、アナトを含めて3機ほどの機鋼甲冑がメンテナンスベッドに寝かされている。これを見たツクヨミ姉妹の目の色が更に輝きを増していく。
「私達の機鋼甲冑はどの子ですか!!?」
ウテナは既に気が逸っているようで、双子を乳母にお願いすると、機鋼甲冑の傍へと走り出していた。
「私とサクヤ姉様の機体はこの子ですね!この紫色の子ですね!」
「そうです!そうに決まっています!!」
「ああ、そうだけど、まだそいつのコンピューターには精霊を宿してなくてね。お試しは後日かな。」
ツクヨミ姉妹が「「そ、そんなー。」」とガックリ項垂れる。それをマリオンがちょっと可哀想に思ったのだろう、二人の傍に歩み寄って提案をした。
「ねえ二人共、まだこの子に心が無いと言うのなら、ツクヨミの血を引くあなた達の手で入れてみてはどう?ユーヤ、出来るんでしょ?」
マリオン…いや恐らくマリオネートがユーヤに向かって切なげな表情で問いかける。その変化に気付いているユーヤに、NOと云えるわけがない。
「あ、ああ。二人の持つツクヨミの力なら出来ると思うよ。それにマリもいるから、サポートは充分かな。」
「じゃあやりましょう。さあ、二人共立って。あなた達がこの子の産みの親になるのよ。」
二人は産みの親と言う単語に心奪われたようだ。爛々とその薄紫色の瞳が輝いていた。
ユーヤは通信端末を取り出し、ホエールのブリッジを呼び出している。
「あー…カスバド、これから2号機の精霊召喚を行う事になったんで、ホエールの発進は少し待ってもらえるかな?」
『かまわんぞい。寧ろ面白そうじゃから、わしも混ぜて欲しいのう。今からそっちへ行くのでよろしく~♪』
カスバドがブリッジから降りて来るのを待ちながら、ユーヤはコンピューターを起動し、魔法陣プログラムをポケットに入れていたUSBメモリからアップロードする。
画面には六芒星が描かれ、その周囲などに古代文字が書かれていた。4大精霊と光と闇の精霊にアクセスする為の言葉であろう。
「普段は機体から取り外してから憑依召喚してるんだけど、面白いデータが取れそうだし、このままやるよ。二人はコックピットに搭乗してもらえるかな?マリは機体の傍でバックアップを頼むね。」
そこへカスバド少年が、勢いよく格納庫の扉を開けて走って来るのが見えると、ユーヤは準備は出来ていると云う意味でOKサインを出した。カスバドは拳を突き上げて了解をする。
「陛下。ついでにこのプログラムもぶち込んでもらえるかのう?こいつを入れれば、恐らく搭乗者と相性のいい精霊が捕まり易くなると思うんじゃ。」
カスバドが突き上げた拳を開いて見せると、やはりその手にはUSBメモリが収まっていた。それをユーヤは受け取ると、再びコックピットの中に顔を入れる。
搭乗していたウテナが何か勘違いをして「嫌ですよ旦那様。真昼間のしかもこんな場所で…。」と言いながら顔を赤らめているが、そこはスルーして画面横の幾つかある穴にUSBを差し込んだ。
フイィイィィンと云う読み込み音がコックピットに静かに響いた。ウテナは不思議そうにそれを見届けている。画面には『召喚プログラムバージョンアップ中』と表示されている。
「これどれくらいかかるんだカスバド。」
「1分くらいのはずじゃよ。」
シアはセーラと二人でアナトと会話しているようだ。アナトは女神の娘であるシアに対しても礼儀正しい。
『はいお嬢様。ある程度は私の意思で機体を動かす事も今は出来るようになりました。』
「では、わらわとセーラをその手にのせてもらえぬか?」
「姫様、かってにそんなおねがいをしては陛下におこられますよ。」
「だいじょうぶじゃ。こやつもわらわと姉妹のようなものじゃから、父様もとやかくいわぬ。…たぶん。」
準備をしながら聞き耳を立てていたユーヤが、思わず吹き出していた。「姉妹か…なるほど、言い得て妙だな。」などと呟きながら微笑んでいるようである。
「よし、準備出来たね。じゃあウテナとサクヤは集中しながら魔力を注入してくれ。マリさんは…一旦マリっぺに戻ってもらえませんか?」
真の正妻には近頃ユーヤは丁寧語になってしまっているようで、表情も『お願い』と云うよりも『懇願』に近い。
マリオネートが少し口を尖らせている。しかし、確かに元女神の方が精霊も言う事を聞き易いため、仕方なくマリオネートは目を閉じた。
数秒後、マリオネートがちょっときつめの表情に変わったのを見届け、ユーヤは交代が済んだ事を確認する。そしてコックピット内のコンソールに手を伸ばして、プログラムの起動を実行した。
その瞬間に機体全体が眩く光りだし、精霊達であろう幾千もの光の粒子達が機体の上で踊り出す。そしてマリオンに気付くとその周囲を楽しげに回り、女神への挨拶をしている。
やがてそれらは一つになり、スーっとコクピットの中へと入っていった。
アナトと遊んでいたシアとセーラも、興味津々と云った表情でアナトの手の平の上でそれを眺めていた。
数秒の静寂が辺りを包む。機体からは既に光は消えている。ウテナとサクヤが不安そうな表情で画面に見入っている。すると―
『初めまして、ご主人様。私は闇の精霊です。どうか私に素敵な名前をお付け下さい。』
幼い幼女のような声が機体からスピーカーを通して聞こえてくる。どうやら今回召喚された精霊も女性態のようだ。
さて、名前を付けてくれと頼まれたツクヨミ姉妹は、二人してコックピット内で腕組み状態でウンウン唸っている。
「サクヤ姉様…何かいい名前思いつきましたか?」
「……。この機体にはいずれイズナとハヤテが乗るかもしれないのですよね?ならばあの子達がアイリス王家の血筋である事がわかる名前にしてやりたい、とサクヤは思うのです。」
「そうすると…ずばりツクヨミですか?」
「いいえ。それではお爺様の事を話してるのかこの子の事を話しているのか後でゴッチャになりそうです。なので、古代よりアイリスに伝わる創世の一柱…『イザナミ』はどうですか?」
「イザナミ……。」
アイリスと云う国は、エルフ達が治めていた国ではあったが、その文化は日本の戦国期のような国であった。そしてそこに伝わる神話もまた、それに倣うかのように日本の創世神話に似ていたのだった。
そしてイザナミノミコトは、ツクヨミ家にとっての主神として崇め奉られていた。つまりサクヤは、この機体をツクヨミに連なる者達の守護神のような存在にしたいと云うのである。
「サクヤ姉様、それで良いとウテナも思います。そうしましょう。」
「うむ。今日よりお主の名を『イザナミ』と呼びたい、どうであろうか?」
コンピューターが…いや機体全体が喜びを表すかのようにキーーンと耳鳴りのような音を発した。そして精霊は答える。
『イザナミ…イザナミ…おお、そのような素晴らしい名前をありがとうございます。サクヤ様。』
どうやら内臓されているラウズ大陸の知識の中から、イザナミに関する事を検索し調べていたようで、精霊は非常に喜んでいるようだ。
しかしここでユーヤは複雑な表情を浮かべていた。
『ひょっとして…あのシアの口調の原因は…サクヤ姫か!?』
そう、サクヤは普段はウテナを模倣した話し方をするのだが、時折彼女も雅な言葉を使うのだ。しかも近頃はシアもサクヤを気に入っているらしく、妙にベタベタくっついて歩いていたりしていたのだった。
「直らない気がしてきた。」
ユーヤは気付けば考えを口元から漏らしていた。それを聞いたカスバドが「なんじゃ陛下?何か不具合か!?」と少し焦りを見せていたが、ユーヤは首を横に振る。
「いや、別件だ。気にしないでくれ。」
その表情は笑ってはいたが、額には光るものがあった。
これ書きながら思いました。
なんか作品が、メガテンに寄っていってないか?と。
真メガテンシリーズもいいけど、大昔のメガテンシリーズもいいですよねー。
そういえば未だに4をやった事ないなー…。




