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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第4章 ―復興編―
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マリオン・ログ 聖人との出会い

 約300年程前に、私マリオン・クレィルは亜神から女神へと昇神しました。その間の900年の間に様々な街を放浪し、様々な人々の移ろいと生き様を目にしていきました。


 その中でも今日は、とある聖人との出会いのお話しをしたいと思います。




 あれはそう、まだ私が亜神となって間もない頃…と言っても150年くらいは経ってたかしら?まあ、それくらいの頃の話しよ。


 ヒト族と云う括りから抜け出し、神への道を歩みだした私でしたが、その試練はとても厳しく困難なものでした。竜の咢から牙を持って帰れとか、ベルツマウントの山頂に100年に一度しか咲かない花を採りに行けだとか、実にお師匠らしいめんどくさ…いえ、大変なものばかりでありました。


 その中でも割と初歩とも云えるクエストにて、私はとある神父と出会いました。

 クエストの内容は、『神父を助け、寂れた教会を復興せよ。』と云うものでした。


 その教会には礼拝堂しかなく、天井は雨漏りだらけで、大教会も割と近い為に、人々はそちらにばかり流れて行っていたわね。


「亜神様、何か私が人々のお役に立てる事はないでしょうか?」


 初心者マークの亜神である私に、奇跡などと云うものは起こせません。せいぜい助言がやっとです。


「考えるだけでは何も生まれません。まずは動くべきかと思いますよ。」


「動く…ですか。わかりました!やってみましょう。」


 彼は来る日も来る日も人々に語りかけ、そして励まし、励まされながら少しずつですが、教会を立て直していきました。


 しかし、現実とは残酷なもので、オーガ大陸から攻め寄せた魔物達が愛理須皇国の防衛網を破り、ジュディ―アル聖王国内へと侵入して、聖都で暴れ回ったのです。


 亜神である私も奮闘しましたが、当時は僧兵と云う者達も数が少なく、皇国は国内の魔物退治で手いっぱいで当時のベルツ帝国皇帝ゼヴォルトもその頃不況で他国の世話などしている場合ではなかった為協力を拒み、獣王国はそれ以前の魔王侵攻の痛手から回復しておらず、頼みはリンドバウムの実家、クレィル家のみでありました。


 この頃の当主セレーネは、よく頑張ってくれました。リンドバウム本国の王宮騎士団の派遣までも掛けあってくれたおかげで、何とか魔物達を撃退できたのです。


 しかし、蹂躙された街中には孤児たちが溢れ、お腹を空かせた子供達は盗みを働くかまたは自身を売るか、ただ痩せこけて死んでいくかと云う有り様でした。


 それを憂いた神父は、それまで蓄えた私財をはたいて教会を建て替え、孤児達の住まいとしました。当時の教皇ウォレスもこれに感銘を受けて、手助けとなる教会員を数人派遣してくれました。


 そうしてギリギリの生活ながらも、彼は孤児達に生きるための知恵を授けていきました。


 ある者には農作業の喜びを、ある者には読み書きを、ある者には商売人としての知識をと。


 初めは孤児達も大人と云う生き物に対しての疑心から、相当反発しました。しかし神父はめげずに彼等を諭し、育て、一人前の大人へと磨き上げていきました。そして卒業して行った彼等は、神父の為に更に『孤児の家』を自分達の手で大きくしていきました。


 私もそんな彼らの為に何か出来ないかとリンドバウムを訪れ、王に掛け合いました。しかし魔物との戦いで疲弊したリンドバウムに、隣国の名もない孤児院への援助など出来る訳もなく、断られてしまいました。


 ま、仕方ないわよね。


 途方に暮れながら私は、セレーネの許に愚痴を…いえいえ、相談をしに行くと、セレーネは「我らが大姉様のためです。私も出来得る限りの事をいたしましょう。」と、大貴族達に色々と口をきいてくれました。


 私はセレーネとこれらを駆けまわり、馬車いっぱいの食料と幾らかの資金を持って孤児院に寄贈しました。一緒に訪れたセレーネは、孤児達に慕われる神父の姿に感動して、数人の孤児達を侍女や傍付きとして雇い入れてくれました。


 それからクレィル家では、この孤児院から孤児を雇い入れる事を伝統としていってくれる事となります。神父も喜んでいました。


 やがて聖王国の中でも割と大きくなって行ったこの孤児院は評価され、教皇ウォレスから神父は聖人の称号を授けられます。しかし神父は恐れ多いと辞退しました。


「この孤児院は子供達自らが努力し、自分達で大きくしたものです。私はきっかけを作ったに過ぎません。栄誉を与えて下さると云うのならば、是非この子供達にお願いいたします。」


 この言葉を聞いた教会員も民衆も感動し、涙を流しておりました。なんと尊いのだと。


 そして教皇は神父に告げたのです。


「ジョージ・ハーゲンよ。君が固辞しようとも、皆はきっと君の事をこう呼ぶであろう。『聖ハーゲン』と。」


 私もこれを聞いて思わず泣いちゃったわよ!そうよ、聖人の称号は与えられるものじゃない!人々から認められ、語り継がれるものなのよ!


 人々と一緒に私も大きな拍手を送ったわ。


 そして祝福の歌を歌ったの。そしたらね、私、初めて目に見える奇跡と云うものを体現できたみたいで、キラキラと空気が光って精霊達も祝福に来てくれたのよ。


「おお、亜神マリオン様が聖人ハーゲンの為に奇跡を顕現されたぞ!皆も祝え!そして歌おう!」


 その日は次の日の朝まで皆歌い、踊り狂った記憶があるわ。




 疲れ果てて孤児院の小さな礼拝所で熟睡していた私が目覚めると、既に夕方だったと思う。そして気付くと礼拝所の戦神の像が光り輝いていて、私に告げたの。


「よくやった我が弟子よ。今回のクエストは合格…と謂う事にしておこう。」


 師匠。しておこうって…それって『本当なら不合格だボケ』って意味?いわゆる『がんばりましょう』って奴?ぬうう…。


 さすがドS。


 でも、惚れた弱みとでも云うのかしら?引き攣りながら私は頭を下げて、一応お礼を言ったわよ。


「有り難き幸せに御座います。これからも精進いたします。」

70話記念と謂う事で。


寝惚け眼で書いたので、ちょっと変かも。


リンドバウムのクレィル家と、聖王国のハーゲン救護院との繋がりを示す話しが欲しかったもので、こうなりました。随分以前から構想はしていた話しではあります。

ただ、どういう形にしようかかなり悩んでいましたが、今回勢いで書いちゃいました。


マリオン単体にしては大人しめに纏めたつもりです。

纏まってない気もするけど。(爆)


今後これをシリーズ化するかは、検討中です。

するなら1人称に近いかたちではなく

外伝と同じ様式にしようかと思います。


若しくは過去にやった

ウテナの日記のような形式もありかと思っています。





と、書いているように

本来はこちらがマリオン・ログの1話目になるはずでした。

しかし、前回3000PV記念として、急遽眠らせていた作品を掘り起こした為

2話目となってしまったのでした。

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