表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第4章 ―復興編―
69/260

第六拾四話 鎮魂歌

21日に1日でのアクセス数が過去最高の238PV…

何がどうした!?

いえ、ありがとうございます。

「またアレに乗るのか…。」


 カイザーブレード筆頭ゼフィールドは、非常に気が重たそうである。彼は乗り物に弱い。何故か馬なら平気であるのだが、馬車なら1時間、船に至っては30分が限界のようである。


「ほれゼフ。うちの新開発品の乗り物酔いに効く薬じゃ。まだ製品名はついておらんがの。」


 カスバドは各種機関の開発主任を務めている為、旗艦リンドバウム号に乗艦する。ゼフィールドは元帝国軍幹部の乗る4番艦ガリアン号に乗艦するため、カスバドが出航前に薬を持って来てくれたようだ。


 アクエリオスでの三日間のバカンスを終えたリンドバウム飛空艦隊は、旧帝都ガリアン上空を通りその後北上してザンバードに赴いた後、南下してダイザ―の街を目指す予定となっている。空の旅が2~3日は続くことになるため、多めに薬を持たされていた。


「有り難い!恩に着るよ爺さん。」


「気にするな。臨床実験じゃ。」


「え?今何か―」


「飲みすぎるでないぞ!一日3錠までじゃからなー!」


 カスバドは8歳児の姿に見合った陽気な笑顔で、リンドバウム号へと駆けて行った。ゼフィールドはカスバドの不穏な言葉を思い返すが、今はこれに頼らざるを得ない為に、諦めて薬を口に入れたのであった。


「ふむ。オレンジ味か。」


 味の方は気に入ったらしい。飴のようなタイプで、舐めるように服用するようだ。


「ヤバいな。これ癖になりそうだ。」


「そんなに美味い物なのか?一個くれよ。」


 ロンが手を伸ばし口に入れていた。


「おお、これはいけるな。成分を取っ払って飴として売った方がよくないか?」「だろだろ?」「もう一つくれよ。」「足りなくなったらどうすんだよ。ダイザ―ででもカスバドに貰えよ。」「ケチくせーなぁ。わかったよ。」


 そんなやり取りをしながら、二人はガリアン号へと乗り込んで行くのであった。






「エリー!必ず飛空船開通の時には遊びに来てくださいね~!」


「はーい!お義姉様もお元気でー!」


 ヨーンは出航する間際の、嫁と姉の姿を見て嬉しそうに微笑んでいた。実に幸せそうに。そこへブリッジから報せが飛ぶ。


『ヨーン提督、出航準備が完了しました。ブリッジまでお越しください。あとは指示待ちとなっております。』


「ちぇっ。」とヨーンは言いながら、姉夫婦に手を振ってからブリッジへと向かった。しかしヨーンの表情は清々しかった。アクエリオスでの仕事も終え、姉達とも充分にバカンスを楽しめ、この数年の疲労が全て吹き飛んだかのような気分であった。



 沖合に向かいカラシン号に先導される5隻の艦に、見送りの人達がいつまでも手を振っていた。そしてヨーンも、桟橋が見えなくなるまで敬礼をしていたのであった。


『これより飛行準備に入ります。安全の為着座して頂くか、手摺などにお掴まりください。』


 充分にカラシン号との距離をとった5隻は海面から浮上を始めた。オペレーターを務めている猫人族の女の子は、ここでようやくお茶を飲むが、熱かったようで舌を出していた。猫人だけに猫舌なのであろう。他のクルーは普通に飲んでいる。


 彼女は元々はくノ一隊の一員であったが、今回の艦隊クルーの募集に新しモノ好きな好奇心が働いたようで、何の躊躇もなく応募してきたのだった。故に、メルティやウテナとも顔馴染みである。


「あーごめんね!キャシーは温めだったよね。やっちった。」


 メルティが猫人のオペレーターの女の子…キャシーに、片目を閉じてウインクしながら謝っている。メルティなりにブリッジのお手伝いをしようとしていたようだ。


「次から気を付けて欲しいにゃ。私の仕事は声が命にゃんだから。」


 メルティはキャシーの猫人族訛りに癒されるようで、くノ一隊に居た頃もよく一緒に遊んでいたそうだ。









 1時間半ほどの飛行で、ガリアン上空に5隻は辿り着く。そしてゆっくり旋回を始めた。


 街の中心部に建設中の飛空場が見える。以前はそこに城があったのだが、炎上して灰だらけとなっていたので取り壊され、現在はその南側に新たに領主城を建築中である。慰霊碑などは飛空場の待合ロビーに設置される予定である。


 各艦から花束が投下されていく。


 リンドバウム号からはユーヤが、セイト号からは聖女が、マジンゲル号からはライガが、トライデル号からはミハイルが投下した。


 そして4番艦ガリアン号からは元帝国の、家族や友人を亡くした者達全てで花束を宙に投げていた。ベルドの横でカリギュラスも涙を流しながら投下している。悔いても悔いきれない思いにかられているようだ。自らが殺めた兄弟達に、ただひたすら謝っているように思える。


『今次動乱における戦死者達に哀悼の意を表し、黙祷を捧げたいと思います。ベルド閣下、マイクをお取りください。』


 ピーガッと云うハウリングの後、ベルドがマイクを握る。そして目を閉じて語り出した。


『まずは、本日は、このような機会を与えてくれたアレクソラス王に感謝する。』


 マイク越しに拍手の音が聞こえる。


『今次大乱によって幾つもの魂が空に帰って行った。我が妻子達やカイザーブレードのラドクリフ・ソーン、そして帝国民達の大事な人々がだ。』


 ベルドは目を開き唇を噛み締めている。様々な想いがその胸中に去来しているのであろう。


『この戦は残念な事に、魔族に操られたとは謂え我が愚息によって引き起こされた。元帝国民の皆には幾ら詫びても足らぬ事だ。』


 ベルドの横にいるカリギュラスの呻く声がスピーカーから流れてくる。そしてその肩をベルドが抱いたのであろう、ザッと謂うノイズのような音が聞こえた。


『今、こやつ…カリギュラスも自らの罪を悔い、このベルツの復興の為に死力を尽くしている。それで罪が贖われるわけではないが、その事を皆が心に留め置いて頂ければ嬉しく思う。』


 しばらくの沈黙。そして各艦から拍手の音が響いた。


『ありがとう。ありがとう。我ら親子、今日と云う日を一生忘れぬ。皆の優しさに、目の前が見えなくなりそうだ。』


 ベルドの声は震えていた。感情が弾けるのを堪えているようだ。


『では、皆の衆、目を閉じて頂きたい。』


 そう告げると、スピーカーからはベルドの深呼吸の音が聞こえる。


『全ての英霊達に黙祷!!』


 スピーカー越しに4番艦からの悲痛な鳴き声や、それを堪える人々の呻き声が聞こえる。ユーヤ達はそれを聞きながら唇を噛み締めた。


 そしてマリオンが不意に歌い始めた。鎮魂の歌を…。


 女神の力であろうか?それとも楽師の能力であろうか?その歌声はマイクも通さずに人々の心に響き渡った。そして聖女も涙を流して祈りを捧げる。


 その歌声にクーガーやライガ達、獣人族も涙を流していた。


 マリオンが歌い終わると、再びベルドがマイクを取って『ありがとう!リンドバウム王家に最大の感謝をする!』と泣きながら礼をした。ユーヤとマリオンは、4番艦の方角に向かって揃って深くお辞儀をした。各艦からは4番艦に向かって敬礼をする。


 この光景を親子は一生心に焼き付けるべく、何度も何度も涙を拭って見つめていた。そして二人は深くお辞儀をすると、静かに艦内へと入って行った。


 ユーヤは次の目的地ザンバードへの寄港は辞めようかと、ヨーンと話し合った。まるで皇帝親子の心の傷を穿り返すような行為に思えてしまったからだ。それを予期したベルドが4番艦から連絡を入れて来た。


『この旅は我々親子にとって贖罪の旅であるので、予定の変更はされないように。』


 こう言われてしまっては、予定を変えるわけにもいかなくなり、艦隊は次の目的地ザンバードへと向かう事になる。




 ザンバードへはやはり1時間半位かかる予定である。この間に食事を済ます事となった。


 甲板に風魔法のシールドを展開し、テーブルを用意して立食の形をとる。


 皿の上にはアクエリオスで仕入れて来た魚を使った料理が並んだ。焼き魚にカルパッチョ、シーフードサラダと、思い思いの皿に手を伸ばす。


 シア様は貝料理が気に入ったらしく、セーラと二人で仲良く食べている。「お魚も食べなさーい。」と云う母や乳母達の声は届かないようだ。骨をいちいち取ってもらうのが面倒くさいらしい。


 マリオンに「まったく誰に似たんだか!」と言われ、ユーヤは貝料理に伸ばしていた手を思わず引っ込めた。こちらも骨を取るのが面倒で、貝ばかり食べていたようだ。


 そして刺身に手を伸ばす。すると「パーパ、シアもー。」とねだられてお口にあーんして食べさせていた。ついでにセーラの口にも入れてやると、ビックリした顔を一瞬見せたが「陛下、おいしかったです。ありがとうございます。」とお辞儀をした。


 嬉しくなったユーヤがセーラの頭を撫でていると、やはりシア様がヴーヴー言い出すので、抱っこをしてあやしていた。そんな姿をおカジさんは胸をときめかせながら眺めている。自分の子供もいつか、ああして抱いてもらえる日を夢見ているようだ。





 ちょうど立食会が終わる頃、艦隊はザンバードの沖合に到着し着水した。ここでは街に上陸して補給を受ける事になっている。


 迎えに来たカラシン級艦船に、現領主であるロンが乗り移り先導をする。


 ここの港はそれほど大きくない為、桟橋よりも沖で艀作業で乗降する。五隻が錨を降ろして停泊すると、桟橋から幾つもの小さな船が艦艇に向かってやって来た。横舷のハッチを解放した各艦から、必要最低限の人員だけが小舟に降り立った。


 ユーヤもその一人で、復興具合の視察に行くのだ。勿論ベルド親子もいる。また、建設大臣であるフェルナンドとベルヌ宰相も視察の為に降り立った。


 艦からは「パーパ!パーパ!」とシアが手を振っているのが見えたので、ユーヤは大きく手を振り返していた。


「ここも港を改良したいですね。そうすればここにも飛空船が停まれるんですがねえ。」


 フェルナンドが呟いた。ロンはその言葉に喜ぶ。飛空船が停まるようになれば、このザンバードも発展する可能性が出て来るだけに、フェルナンドの言葉は嬉しかったのだろう。


「さあロン。喜ぶのはまだ早いぞ。復興具合によっては落第だからな。」


 ユーヤが笑いながら告げると、ロンは「勘弁してくださいよ。新米領主なんですから。」と少し引き攣りながら笑顔で応えていた。

しまった。前振りしといてゼフ君の事を忘れてました。


いや、嫌いじゃないんだってば。

ただ影がどっか薄いのよ。


表題になっている辺りの描写では

自分で書いてて何故か感情移入してしまい、泣きながら描いてました。

バカだなぁ…。


※22日に本編と、LINDBAUM's Encyclopediaのスキル名鑑を共に修正。


と、言うか辞典の修正及び加筆の為に本編を読み直して居て

誤字脱字を見つけては直してました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ