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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第4章 ―復興編―
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第六拾参話 アクエリオスリゾート

日に日にブックマークをされる方が増えてうれしく思いまして

頑張って5章の方を7部分まで一気に書き上げられました。

本当にありがとうございます。


4章は始まったばかりです。

ふわふわした話しが続いてますが、5章に向けた準備期間と思って頂ければ幸いです。

 飛空艦は次の目的地、アクエリオスの上空に差し掛かっていた。眼下には元帝国海軍の旗艦『カラシン』が待機しているようだ。各艦は安全の為にカラシンから数キロ離れた場所に着水し、カラシンの合流を待って、その先導に従った。


「あれがリンドバウム級飛空艦の元になったカラシン級艦船であるか。」


 ツクヨミが顎に手を当ててフムフムと頷いている。


「どうされたのですか?お爺様。」


「おお、ウテナか。いやのう、あの艦からこの飛空艦が作れるのなら、我が国のダイワ級艦船からでも作れるのかのうと思うてな。」


「ダイワ級ですか…。」


「おお、婿殿。いつの間に来ておった?」


 ダイワ級はかつて第二次世界大戦中の大和を彷彿とさせるスタイルの艦である。それを飛ばすとなると、艦首にアレを付けたくなるよな…とユーヤはニヤけてしまう。


「どうされたのじゃ婿殿は?」

「今陛下は、イケナイ事をきっと考えていらっしゃるんです。お爺様。」


「ウテナよ、イケナイ事とはなんじゃ?」

「恐らくチョサクケンに引っ掛かる事です。」

「チョサクケン?どういった拳法なんじゃ?」

「いえ、拳法ではなくきっと憲法―」


「ストップ!ストップだウテナ。」


 筆者の顔が青くなる前にユーヤが止めてくれた。ありがとう主人公。ありがとう久能佑哉。


「結論から言うと可能ですよ。ただ、少しカラシンよりもスマートな感じの艦なので、積めるエンジンの数が減りますけど。」


「それでも構わん。あれで作ってもらえんか?」


「わかりました。とりあえず試作機を来月末までに作って送りますよ。旅の帰りに1隻引き渡して頂ければ牽引して行きます。」


 ダンジョンの工場を使うので製作日数自体は一週間もあれば作れる。ただし、それはデータがあればの話しだ。太めのフォルムのカラシン級と大分フォルムが違うので、新たに構築しなければならない為、1ヶ月を擁するようだ。


 因みにリンドバウム級の量産型には、カラシン級の現物を使用していない。データからコピーして作られているだけだからである。つまり、真っ当にカラシン級が使われたのはリンドバウム号のみなのだ。その点では量産機の方が改良を加えられていて、装甲材なども良い物を使っている為性能が良い。


 ただ、1号艦である為にユーヤも愛着を持ってしまい旗艦となったのだった。







 夏のアクエリオスは、春のそれとは違いポカポカとしていて、とても過ごしやすい気候であった。海水温度も意外に高く、海水浴も可能との事である。


 桟橋での接舷作業が終わり降り立つと、そこには代理領主をしているヨーンの姉夫婦が待っていた。


「陛下、いつもヨーンがお世話になっております。姉のエスメラルダと申します。」

「ヨーンの代理領主をさせていただかせております。義兄のアラトワンス・ズィーゲと申します。」


「ヨーンの上司をやらせてもらってます。ユーヤ・クノン・アレクソラスです。よろしくお願いします。」


 桟橋に笑い声が響いた。どうやらユーヤは、こういう事を一度言ってみたかったらしい。


「では、本日皆様方がご宿泊になります宿へご案内いたしま~す。」


 エスメラルダはとてもノリが良い。添乗員のように馬車へ皆を案内する。勿論小旗を持って…。


 領主館までの距離は桟橋から、歩いても20分ほどの場所である。しかしユーヤ以外にも元国家元首と云ったVIPが多すぎる為、馬車での移動となる。この領主館までの間を6頭引きの大型馬車が50台ばかり行進する様は圧巻であった。


 現地記者も動乱以来のビッグニュースに浮き足立っているようである。しかも帝国時代と違い、今はリンドバウムの法によって報道の自由も許されている。彼等にとって、なんともリンドバウムは有り難い存在となっていた。


 なので、特に圧力など掛ける必要もなく、自主的な報道管制が出来上がってしまっていた。これは帝国内に限らず元がリンドバウムでない地域は、皆この自由を許された事に感謝して自主管制が構築されていった。


 そして、報道倫理委員会なるモノも存在し、大概ここで槍玉に挙げられるのは、本国の記者達の節操のなさ…つまり、元からこの恩恵に預かっている者達の事である。因みにこの委員会のトップは元聖王国の者達である。


 セーフラインとしては『王の酔拳』はOKであるらしい。ただ生々しい内容は控えている。つまり『姫の嬌声』はアウトのようだ。


「義兄上、たぶん来年あたりから忙しくなると思うので、これからもアクエリオスを頼みます。」


 ヨーンが馬車内で義兄に頭を下げている。アラトワンスは「いやいや、提督、頭を上げてください。ここは馬車内とは云え公の場です。」とヨーンを諭していた。


 来年から、旅客と貨物用飛空船の運用が始まる予定となっていて、ここアクエリオスも夏の避暑地として最適と云う事で、航路に選ばれているのだ。他にはマジンゲルや聖都は勿論、ガリアンとリンドバウム市も選ばれている。また、例の『地揺れ』の跡地に完成しているダイザ―の港街は、すでに専用の桟橋と旅客ステーションまで出来上がっている。


 なのでダイザ―以外はトライデル以下、各飛空艦発着所の整備はまだまだこれからが本番なのである。ただアクエリオスに関しては、現況のまま桟橋からの乗降で行く事になりそうだ。今回のフライトはそのテストを兼ねていたのだが、悪くないようである。


 領主館に到着すると、サクヤは早速荷物から水着を取り出し、ウテナとメルティに声をかけている。それを目にしたエテリナが「サクヤ様、まだ気がお早いかと思…。ウテナとメルティもメッ!!」と、自分の子供を叱るかのような対応をして、皆を和ませた。

 特にガンプ兄弟はメロメロになっていたが、それは放置しておこう。


「海岸に行かれる方はお気軽にお声かけくださ~い。専用の馬車と護衛を付けさせますので~。」


 エスメラルダは小旗を振りながら、ご案内を続けていた。


「ショッピングを楽しまれる方はこちらの馬車へ、ご休憩の方は領主館のラウンジ及び庭と広間も開放しておりま~す。」


 粗方ご案内が済んだところで、ユーヤとヨーンはラウンジでヨーンの姉夫婦と今後のアクエリオスの開発プランの話し合いを始めた。


 今回建設大臣のフェルナンドは、親子でバカンスを楽しんでもらう事にした。シアがヴーヴー言っていたが、マリオンが「セーラは今日はお休みなの。その代わりエレーナねえねが遊んでくれるから。」と諭した。どうやらクレィル家総出で海水浴場に行くらしい。


 ユーヤは後ろ髪を引かれる思いであった。


「桟橋が飛空場兼用となる事で、建設費と整備費は抑えられるから、浮いた予算で桟橋の近くに大きなホテルでも建てればアクエリオスの財源となると思うんですよ。」


「なるほど、でしたらこの場所なぞいかがでしょうか?ここならメインストリートにも近いですし、海水浴場にも近い。立地としては最適かと思います。」


 地図を見ながら意見の交換をしている。荷物の整理などを終えたヒッターも、今日はラウンジの椅子に座ってもらっている。


「1階にお土産店とか欲しいですな。」


 コーヒーを口にしながらヒッターがお客側としての意見を述べると「確かに!それは良い意見です。」とアラトワンス男爵が興奮気味に答えた。


 ユーヤは二ヤリとしながら、こういう事もあろうかと!と言いだしそうな勢いで設計図を広げる。


「こ、これは!?なんと!!」


 ヒッターが驚愕したかのような表情をしてみせた。その表情を見て、ヨーンがコーヒーを吹き出した。エスメラルダが「あらあら。」と侍女を呼んでいる。


「坊ちゃん!何ですかこれ!?1階にお土産屋さん、そして奥には大浴場と露天風呂!!」

「2階にはサロンに宴会場とレストラン!!?」

「10階と12階にスイートルーム!」「11階には展望レストランまでありますぞ!!」「何ですかこのエレベーターと云う物は!?」


「ふっふっふ、更に屋上にはビアガーデンだ!どうだこのプラン。恐れ入ったか!!」


「「恐れ入りましてございます!!」」


 ヒッターとアラトワンスのノリが良すぎて、ヨーンは置いてけぼりを喰らっていた。


「姉さん、義兄さんて…意外に陛下と合う方だったんですね。」

「?」


 エスメラルダは指を顎に当てて不思議そうにしている。恐らく普段からこのノリなのだろう。姉からすれば当たり前すぎる風景であるらしかった。


「と言うか、こんな物本当に建てられるんですか?」


 御尤もな発言である。この世界では最大でも3~4階建ての宿が今のところ主流である。アラトワンスの問いにユーヤはまた、「ふっふっふっ」と言いながら、とある設計図と開業後のデータを見せた。


「これは!?なんと!どこにこのような建物が!?」


「それは戦神のダンジョンにある国営ホテルです。5階建てではありますが、既にそこで色々と実証済みと云う事です。この技術を使えば、この12階建ての建物も建設可能と云う事。ふっふっふ。」


「坊ちゃん、あの宿は道楽であんな高さにしていたのかと思っていましたが…まさかこういった物を建てる為の実証実験だったとは…。このヒッター、感服いたしました。」


「どうだどうだ、頭が高いぞ。はっはっはー。」


「まるで悪代官みたいな台詞回しになってませんか?陛下。」


 ヨーンがようやくツッコミをする気になってくれたようである。しかし、膝上には布巾が置かれていた。どこかその姿は微笑ましい。


 他にもユーヤとヨーンはリゾート地としての各種開発プランを、アラトワンスに見せていた。非常に食いつきが良かった事に、ユーヤはご満悦そうである。ヨーンの方は、あれもこれもとプランを出す事に少し申し訳ない気持ちがあった。


 確かに対面上は自身の領地ではあるが、運営をするのは義兄なのだ。


 そんなヨーンを察して姉のエスメラルダは「ヨーン。心配してくれるのは有り難いけれども、アラトワンスは今、とても遣り甲斐をかんじているの。だから、そんな顔をしないで。」と耳打ちしてくれた。


 姉の耳打ちに対してヨーンは頷くと、それまで以上に熱心にアクエリオスの開発計画書を読み上げた。どうやら迷いはなくなったようだ。

 エスメラルダはその姿を見て、微笑みながら頷いていた。


 夕刻になり、ヒューズ夫妻とショッピングから帰ってきたエリザベスは、ようやく落ち着いて義姉であるエスメラルダと談笑していた。到着時はエスメラルダがあまりに忙しそうであったので、あまり話ができなかったのだ。


「変に頑固なところがあって大変でしょうけれど、弟の事を頼みますね。」


「はい、いつもヨーン様には優しくしてもらっています。この度は領地運営で主人がご迷惑をかけているかと思います。お義姉様もお体を大事にしてください。」


「あーもう!可愛いったらありゃしない!飛空船航路が出来たらチョクチョク遊びに来てよね。甥っ子の顔ももっともっと見てたいし~。」


 そう言うエスメラルダの腕の中には、ヨーンとエリーの子供がスヤスヤと眠っていた。二人はその寝顔に微笑みながら談笑するのであった。

義姉妹のやりとりは

初めはリゾート計画の話し合いをする前に入れようとしていたのですが

最後に持って来た方がしっくりするなと思い、こうなりました。


因みに初っ端のバカ話は、今後登場するアイリス地方専用艦の前振りです。

深い意味はない…です。(苦笑)

艦首大型砲なんてモノも付けませんよ。


たぶん。(笑)

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