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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第4章 ―復興編―
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第六拾壱話 ナガサキ砦

ああ!またもブックマークありがとうございます!

この身に代えましても

必ずや完走致したいと思いまする。

 愛理須皇国のナガサキの砦は、砦の機能に特化してはいるのだが、その内部には今回の動乱のような非常時の為に謁見の間や、酒宴用の大広間などの設備も揃っている。それらは堅牢な砦の中心部に設置されていて、周辺の住民が避難するに足りるだけのスペースが確保されていた。


 本日のリンドバウム飛行艦隊の酒宴は、天皇ツクヨミからの強い要請によってこの砦にて行われる。これは、謂わば魔王のいるオーガ大陸への牽制を兼ねて行われた催しなのだ。


「おー、アルテイシア様も可愛いのう。じゃが、イズナとハヤテも可愛いぞお。」


 ツクヨミは、ただの曾孫が可愛いお爺ちゃんと化していた。今はそれを交互に抱くのを、ウテナとサクヤが見ている。


 おカジさんは久しぶりの帰国であった為か、親族が周りに集まっていて、リンドバウムでの暮らしぶりを聞かれていた。


「なんと電気とな!確か超古代の文献に載っておったぞ!」

「それをアレクソラス王は復活させたのか!偉いところにカジは嫁に行ったのだな。」

「はい。宮中の方々も私の事を『おカジの方様』と呼んで、良くしてくれています。」

「おーおー、良かった良かった。」

「他にも水道設備も整えられていて、水が蛇口を捻れば出て参ります。」

「なんと!!」


 おカジさんの周りの取り巻き達が、リンドバウムの話しに関心を寄せる中、曾孫達をウテナ達に渡しツクヨミが立ち上がった。


「皆の衆、聞いておるか?これよりわしからの発表を行う。」


 ユーヤも壇上に招かれる。そしてツクヨミの傍に来ると、ツクヨミはユーヤの手をとった。そしてその手を掲げると会場中を眺めているようだった。


「2000年以上もの長きに渡って、我らは現人神(あらひとがみ)と云う因習に縛られてきた。しかし、それも終わりを告げる時が来た。」


 会場が静まり返る。ユーヤも黙している。


「かつて我らの祖先は、魔王討伐の為に選ばれた勇者として選定されたが、我らの祖先はそれを拒み、今の時代にまで魔王と戦い続ける事となった。それはよい。しかし、我らも同じ道を歩むつもりか?否!我々には新たな神による新たな勇者が降臨しているのだ!この時にいつまでも太古の因習を引き摺って居て良いわけがないのだ。」


 ツクヨミは遠くを見るような目をする。そして瞳を閉じた。スーっと息を吸うと、閉じていた瞳を大きく見開いた。


「我はここに宣言する。我らハイエルフは現人神の称号を捨て、この勇者王アレクソラス十三世の許にラウズ大陸の力を結集する!そしてこの玉璽を勇者王に預ける事とする。異論は既にないはず。この日まで我々は準備して来たのであるのだから。」


 そう言われて初めてユーヤはツクヨミに握られた手の中に、異物を感じた。その異物こそが玉璽であったのだ。


 既に四ヶ国を併合したユーヤに迷いはなかった。手の平の中の金印を聴衆の前に翳して宣言をする。


「確かに愛理須皇国の王の証を受け取りました。この金印に誓いましょう。この長きに渡った戦いに、一つの幕を降ろす事を!」


 聴衆からは拍手と共に「新生リンドバウム連合国万歳!」と云う声があがっていた。それにユーヤはツクヨミの手をとって応えた。いつまでも拍手は止むことはなく、二人は抱き合って互いの誓いの固さを確かめ合った。



 完全に日が落ちて、シア達も眠そうにしだした頃、酒宴の演奏が落ち着いた音色になっていた。マリオンが気を利かせて「私とウテナは子供達を寝かせてくるわね。」と、ウテナを引っ張って行った。


 ここは皇国、おカジさんの故郷でありステージである。カジに誘われて素直にユーヤは頷き、ダンスを踊る。それを見て団長夫婦も剣舞を…いや、ダンスを踊った。ブランに「剣聖と槍聖も舞って来い!」と言われてエレーナとロイエルも踊った。


 カジの長い黒髪が美しく輝きながら翻ると、見ていた者達が皆溜息をついた。そしてサクヤでさえも目を輝かせていた。

 カジはユーヤの耳元で囁く。


「陛下、覚えてらっしゃいますか?今日は私の日だと。」


 ユーヤは耳元に当たる黒髪にくすぐったさを感じながら笑顔で応える。


「ああ。今日は素面(しらふ)だ。ロマンチックにありたいね。」


 その晩は酒宴のあとにしては珍しく、しっとりと濃厚にユーヤはおカジさんと過ごした。



 天井裏ではサクヤが鼻血を垂らしていたらしいが…。






 次の日、ユーヤは予定を変更せざるを得なくなっていた。例によって国譲りの為の書類の山と格闘する為である。ただ今回は、ベルヌ宰相とフェルナンドなどの大臣衆が居て、軍務関係の書類はヨーン、ジード、エテリナなどが手分けをした。おかげで割とスムーズに事は済みそうである。


 ユーヤ達が書類と格闘している間、おじいちゃ…ツクヨミは曾孫達と戯れておられたようである。そしてツクヨミもまた、セーラに関心を寄せる。


「ネイ殿、貴殿の娘は実に素晴らしい!これなら確かに曾孫達を安心して任せられますわい。孫婿の目の確かさにも関心し申した。」


 そう言うとツクヨミは側近に何事か伝えて、ある物を取りに行かせた。そしてセーラに手招きをして呼び寄せる。


「セーラ殿、いつも曾孫達の面倒を見てくれているそうじゃの。わしから礼をしたい。受け取ってくれるかの?」


 セーラは一瞬戸惑い、母の方に視線をやった。ネイはただコクリと頷いた。それを見たセーラはツクヨミに綺麗なお辞儀をして応える。


「ありがたきしあわせにぞんじます。このセーラ・ロータスよろこんでツクヨミ様からのおしなをいただきます。」


 ツクヨミはその茶色の髪を撫でながら、うんうんと頷いた。そこへ側近が仰々しく一振りの大剣をツクヨミに手渡した。ツクヨミはそれを鞘から抜き、セーラに見せる。


「これはのう、我が家に伝わる宝剣の一つでのう、『破邪顕生の剣』と云う聖剣じゃ。将来これを持ってアルテイシア様や、我が孫達を守っておくれ。」


 見事な聖剣に、先程了承の頷きをしたネイも「さ、さすがにそれは…。」と言いかけたが、ツクヨミは温かな笑顔でネイに頷いて見せた。それを見てネイも引き下がった。


「たしかにちょうだいいたします。この剣にちかってシア様、イズナ様、ハヤテ様をわたくしがおまもりいたします。」


 まるで騎士になる時の儀礼の型を見るような姿勢で、セーラは破邪の剣を受け取る。母は娘の10年位先の未来を見たようで、嬉しさから涙を零した。そしてネイもまた誓った。


「ツクヨミ様、この子がちゃんとこの剣を扱えるように、またお孫様達をしっかり守れるように、今まで以上に精進致します。」


 ツクヨミは嬉しそうに、ただうんうんと頷いていた。そしてネイにも手招きをすると、ガッシリと握手をした。そして「ネイ殿にはこれを与えよう。これはわしが作ったものじゃが、ツクヨミ家に伝わる秘術を使ったお守りじゃ。」と、懐から数珠を取り出した。


「私にまでそんな、勿体ない!」


「良い良い。わしはそなた達親子が気に入った。是非ご主人にも会いたい。ここには来ておるのかのう?」


「は、はい。建設大臣のフェルナンドが私の主人です。」


「おお!あのフェルナンド殿か!王とも親しいようじゃが仕事熱心な御仁じゃ。そうかそうか、あいわかった。」


 そう言うと椅子からツクヨミは立ち上がって、二人に一礼をした。そして側近を再び呼んだ。


「これからアレクソラス王達の処へ行こうと思う。案内せよ。」


「はっ!」





 ユーヤ達は小休止に入っていた。あと半日もすれば書類の全てに目が通せそうである。


「どうじゃな陛下?進んでおるかの?」


 作業場として使わせてもらっている広間にツクヨミが現れると、皆姿勢を正そうと動き出していた。


「ああ、そのままで良い。フェルナンド殿と少しお話がしたくて来たんじゃ。」


「え?私でありますか?」


 あまりにも意外であったのか、フェルナンドは恐縮している。


「実はのう。フェルナンド殿の娘であるセーラ殿に関してなんじゃが…。」

「え!セーラが何か不躾な事でも致しましたか?!」


 フェルナンドの額に幾つもの汗が零れ落ちた。それを見たツクヨミはふふっと微笑む。


「そうではない。良く出来た娘子だと褒め称えに来たのじゃ。それで相談があってのう。」

「な、なんで御座いましょうか?」


 『相談』と云う言葉を聞いて、皆聞き耳を立てていた。フェルナンドはその気配を感じて、妙なプレッシャーを受ける。


「そう固くならんで良い。将来の話しじゃ。もしもセーラ殿に貰い手がなければ、うちの曾孫達か御三家の年近い者と婚姻をさせて頂きたいと思っての?どうかのう?」


 フェルナンドは固まった。


『え?婚姻?え?今じゃないよな?将来って言ってたよな?あれ?』


 ユーヤはネジの飛んだフェルナンドを初めて見る。他の大臣達も同様である。皆がフェルナンドを心配して、いつの間にか彼を中心に円陣の状態になっていた。


「王よ。わし…何かやってしまったのかのう?」


 小声でユーヤにツクヨミが聞く。ユーヤもこんなフェルナンドを見た事がないので答えに困る。


「あー…突然の事で思考停止してるのかもしれません。」


 そこから皆でフェルナンドの意識のサルベージ作戦が開始された。


 ある者は耳元で茶碗を鳴らし、ある者は耳元で怒鳴り、ある者は脇や足裏をくすぐるが反応がない。


 そこでユーヤはセーラとネイを呼びに行かせた。そして何がどう伝わったのか、ネイとセーラが泣きながら室内に駆け込んで来て「パパ!パパ!しっかりして!」「貴方!どうしてこんなことにぃー!」と泣き叫んだ。しかしこれが功を奏したようで、フェルナンドが現世?に帰ってきた。


「ああ!セーラ!まだパパを置いて行かないでくれー!!」


 この台詞にユーヤを始めとした大臣連は思わず吹き出してしまった。それを見たエテリナが仁王立ちで睨みつけると、皆が口に指を当ててシーのポーズを取る。


「とりあえず、理由はわかった。ツクヨミ様もフェルナンドも、どちらも気が早かったと云うことだな。はい、一件落着。さあ~仕事仕事ー。ぷ、ぷぷぷ。」


「陛下!笑わない!」

「あーすまんすまん。さあ、ほらみんな仕事に戻れ~。くくくく。」


 この後、ツクヨミは平に平にフェルナンドに謝った。フェルナンドは「いえいえこちらこそすいません。」と頭を掻いていたのだった。


 だがこの輿入れの話しは、この後も水面下で動き続け、フェルナンドを悩まし続けるのであった。

あれ?この章ってば描いてて楽しいぞ?

意外に予定よりもボリューム増えそうな気がしています。

(増えました。)


※超雑記


私は物語を読む際、そして作る際に

アニメの声優さんの声を脳内で当て嵌めています。


マリオンであるなら鶴ひろみさん

成長したセーラは勿論、井上遥さん

クーガーは卿里大輔さんかな?

で、ヒューズは若本則夫さん


と言った具合です。


これ以上は止めておきます。

読む人の主観を壊しそうなので。


そんな私ですが、主人公のユーヤに関しては誰も当て嵌めていません。

そのせいか、私自身がユーヤに魅力を感じておりません。(爆死)

なので、ユーヤが話の主になると

描くスピードがノロノロとなってしまうのですが…


主人公だよね?ユーヤ君!?

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