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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第3章 ―ラウズ大陸動乱編―
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第五拾弐話 ジードのこだわり

「構えーーー!」


 ジードの声が響き渡る。


「ってぇええ!!!」


 帝国軍クーデター部隊に対して、魔銃隊の銃から火が放たれる。

 バタバタと倒れる帝国兵に対して、次にブラン率いる強襲部隊が流れ込み、そこからは乱戦となった。


「右翼!手が空いたなら中央に入れ!左翼は更に展開せよ!!」


 こちらは戦場らしい風景となっている。ただ、中央に構える二人以外はであるが。


「喰らいなさい!!閃光斬!」


 紅のツインテールが戦場を舞っている。その姿は伝説のヴァルキリーのようである。エレーナだ。閃光の放たれた周囲の敵が、一瞬で薙ぎ倒される。


「すいません。ここは戦場なんです。衝撃覇!!」


 緑色に光る槍と鎧に圧倒される帝国軍。ロイエルは横薙ぎに魔力付与した槍の衝撃を発動したのだ。ドーンと云う衝撃音と共に、幾人もの兵が吹き飛ばされていた。


「まったく、あの二人の空間だけが別の世界だな。夢物語に出て来る伝説の英雄みたいじゃないか。」


 ブランが呆れ顔で笑っている。


「二人共ー!味方は巻き込むなよー!」


 ブランはそう云うと手薄となっている左翼方面に行くよう、二人の邪魔になりそうな中央の部隊に指示を伝える。


「オラ!見惚れてないでお前らは左翼に回れ!!巻き込まれたいのか!」


 その頃ジード率いる魔銃部隊は、ライフルによる各個援護射撃を行っていた。


「3番と6番!そこはもういいです。B3からA2へ移動。11番から15番はC4です!」


 番号は小隊に割り振られた数字で、アルファベットと数字は地図を横にアルファベットA~Jで区切り、縦を数字の1~10で区切ったもので、それらを使って指示を与えている。これらはジードがダンジョンで覚えた風魔法と精霊術を組み合わせた通信で行っている。


 しばらくするとロイエルから通信が入る。


『団長、こちらロイエルです。正面軍はお嬢様とほぼ沈黙させました。』

「判りました。では、二人は一旦皆に任せて後退してください。補給隊の方で紅茶かコーヒーでもどうぞ。お菓子も用意させておきますから。」

『了解しました。団長、ありがとうございます。』


 二人の急成長に、ジードは内心驚いている。レアスキル称号を持つ者とは、こうも一般兵と違うものなのかと。まるで陛下やお妃様と共に戦っているのと変わらないではないかと。





「ふむ、大半は捕えられましたね。あとはダンガイオの街ですか…。」


 半日ほどでダンガイオの外に展開していた部隊は全滅させていた。捕えられる者は捕えてだが。しかし、このダンガイオの部隊は、ほぼカリギュラスに忠誠を誓う者達の中でもその中枢に近い部隊であるらしく、投降者が少なかった。その為にかなりの乱戦となってしまった。


「大将、忌避感はわかりますよ?しかしね、使う時に使わないとどんだけの被害がお互いに出るかわかったもんじゃない。使うなら今だと俺は思いますよ?」


 ジードは魔導戦車を、やはり一台借り受けていた。しかしこの、大量殺戮兵器として運用できる化け物を使う事に、躊躇いがあったのだ。そしてそれを今、ブランに諭されているのだ。


「わかってはいます。しかし、恫喝のためとはいえ、あんな物に頼るのは…。」


「大将…。自分で矛盾に気付きませんか?あなたの主要武器は何ですか?言ってみれば貴方のそれの大口径の物が、あれじゃないんですか?」


 少しの間、沈黙する二人。歯噛みしながらもジードはポツポツと語り出す。


「確かにそのとおり、魔銃使いとして矛盾してます。しかし、だからこそアレの怖さも解るのです。」


 ジードの瞳はブランの瞳から一切逸らされず、真っ直ぐとブランを見つめていた。


「魔銃と云う武器は、相手と一合も交えずにその体を撃ち抜く武器です。故に兵器としては合理的であると謂えます。しかし、剣を打ち合う事と違い、そこにお互いの意思とかそういうものが介在しない物なのです。」


 テーブルに置かれた水をジードは口に含む。遣り切れない表情になっている御大将に、ブランが下を向いた。


「そしてあの戦車と云う代物は、ライフルが一人を撃ち抜くのに対して、一瞬で大勢の人を、その意思達を消してしまうのです。」


 ブランはフーと溜息を吐くと「参りました。参りましたよ。降参です。」と両手を上げた。


「しかしですよ。閉じられた街門、あれを戦車なしでどう開けましょうか?」


「ロイエルが居るじゃないですか?」


 ブランは「はい?」と間抜けな顔をする。うちの大将何言ってんだ?と。


「アクエリオスでの話しはブラン、貴方も聞いていたでしょう?」


 ブランの目が飛び出しそうなくらい見開かれた。


『こ、この人…たまに信じられん事を考え出すな。』


 そんな事をブランは思ったが口には出さなかった。それどころか大声で笑いだす。


「ふ、ははははは!まったく長年連れ添って来たけど、本当に大将と居ると飽きませんよ。ふははははははは!」


「むう、そこまで笑わなくてもいいじゃないですか。で、ブラン、実現可能だと思いますか?」


「ふはは!大きな槍か何か、大きな杭状の鉄の塊ならいけると思いますよ。くく。」


 ブランは笑いのツボに入ってしまったらしく、抜け出せなくなったらしい。ジードはそれを呆れて見ていたが、いつしか釣られだし二人で笑い出した為、テントの外から何事かと兵員が駆け込むと云う珍事に発展した。


 結局、魔導砲用の実弾…と言っても巨大な杭なのだが、これを使う事となった。この実弾は、本来魔導砲撃が効かない魔法シールドを展開している要塞を想定した物で、まず使われる事はないであろうと思われていたが、念の為に持たされていた物だ。


 この実弾から薬莢を外し、ロイエルが持てる限界の大きさに寸断した。この際には剣聖たるエレーナが活躍した。やらされた当の本人の頭の上には、大きなクエスチョンマークが点灯していたが、それは置いておこう。


 そんな作業を終えてみれば、既に周囲は暗くなっていた。その為街への侵攻は、次の日の朝に決行する事に決まった。その晩、作戦内容を聞かされたロイエルが閉口していた事は云うまでもない。


「素朴な質問なのですが、それって魔導戦車の方が手っ取りばや―」


 エレーナの口をロイエルとブランが卑屈な笑顔で塞ぐ。


 ―お嬢様。今更それは言っちゃダメなヤツです!





 朝を迎え、ロイエルは準備体操を始めた。特に意味はないが、エレーナお嬢様も加わる。


 いっちにっさん!


 二人の掛け声が朝の王宮騎士団の陣地に響く。気が付くと、また一人また一人と加わって行った。団長殿と副団長殿もいつの間にか加わっている。


 外壁の櫓から見ていた帝国兵が、あれは何事か?と望遠鏡で眺めていた。新たな魔法か何かを実行しようとしているのではないかと、固唾を飲んで見守っているようだ。


 準備体操を終えたロイエルは、街門前に置かれた杭へと歩みだす。そして、杭を手に取ると魔力を杭に集中させた。青から赤へ、やがて杭は白色に輝き始めた。


「ロイエル・ディマージュ!一投目行きまーす!!」


 声高らかにロイエルは走り出した。杭はヴヴヴヴヴと鳴動している。


「そおりゃぁあああああ!!」


 瞬間、杭が閃光となり街門に向って飛翔する。狙いは中央部、閂のある周辺だ。


 シュボーンとロケット花火が飛び立つ時のような音が響いたかと思うと、光となった杭が街門中央に吸い込まれて行った。


 ズドドドーーンと衝突音をさせたかと思うと、街門に巨大な穴が出来上がっていた。


「ちょっと上向きだったみたいです。二投目行きまーす!」


 この一言に櫓の上で茫然としていた見張り兵が慌てる。あんな物まだ打ち込む気なのか!?と。街門の内側では何があったのかと騒ぎになっているようで、喧騒が聞こえる。


「はあああぁあ!!」


 街門裏に居た兵達がロイエルの気合を籠める声に、門周辺から逃げ出すと、次の瞬間には閂ごと門が吹き飛んで行った。

 門の向こう側にあった建物も、2~3棟ばかりボロボロに吹き飛んでいる。


「ほら、魔導砲使うのと大差ないじゃない。」


 エレーナお嬢様の一言に、団長殿は少し傷ついたらしく、ブランの肩に手を当てていた。


「団長…。命令を。」


 ブランが頭を掻きながらジードに呼びかけると、ジードは顔をガバっと上げて「野郎共!!いてこましてやれーーー!!」と、暴走モードに入られたご様子だった。


 一瞬その場に居た誰もが「え!?」と、立ち止まった。しかし、無言で顎を横に振ったブランの合図と共に「お、おお!」と突撃を開始したのであった。その際ブランが片手で自身の顔を押さえていたのを見た隊員達が、小声で「お気の毒に…。」と呟いていた事は秘密である。


 兎も角、ロイエルとエレーナを先頭に、王宮騎士団はダンガイオに雪崩れ込んで行ったのであった。


「てめーら!火は使うんじゃねーぞ!!あくまで兵員のみをとっ捕まえろ!!」


 暴走モードの団長様も、そこだけは理性が残っておいでだったようだ。陛下の命令には忠実な彼らしいと謂えば、彼らしいのである。


 カリギュラス軍は、あまりに噂と違うリンドバウム王宮騎士団団長の様子に戦慄していた。


「やばいぞ!眠れる獅子をお越しちまったみたいだぞ!?」「ひ、ひぃいい!逃げろ!!逃げろーー!!!」「ば、馬鹿者!私を置いて行くでない!!!」


 カリギュラス軍は大混乱となっていた。我先にと上官さえも置いて、ザンバード方向へ逃げ出す者が続出した。

 気付けば街の損害自体は、先のロイエルの投擲で壊れた建物3軒で済んだようであった。


「うわー、人が変わるとこんなに違うものなんですねぇ…。」


 ロイエルの肩にブランが手を置く。


「ロイエル、それ以上言ってくれるな…。たぶん大将の事だから、今落ち込んでる所だ…。」

「は、はい。そうでしょうね。」


 二人の前に膝を付き手を付き、項垂れてOTLしている王宮騎士団団長殿がいらっしゃった。二人は…いや、団員全てがその姿を見ないように見ないように行動していた。


 しかし、エレーナお嬢様だけは小首を傾げて眺めていた。


「ねえねえロイエル。団長様はいったい何を―」「はいはいお嬢様!我々は残っている兵がいないか探索ですよー!!」「いや、その団長は?何―」「ほらほら、エレーナ嬢様任務だ任務!いってらっしゃーい!」


 エレーナお嬢様の疑問は、ロイエルとブランに阻まれ、永遠に謎のままとなるのであった。

真面目にやろうとしてたんですよ。

途中までは!


何かロイエルに杭を持たせたら、団長殿同様スパークしちゃったんです!

本当です!本当なんです!

信じて下さ―


ブツっ ピーピーピー


ガチャ ゴトン



※雑記


75話まで書き終えてから三日くらい遊んでしまいました。

全然進まなくなったんですよね。


別の作品構想はポンポン出て来るのですが

何故かこちらを書こうとすると手が止まるのです。


いわゆるスランプと云うものなのでしょうか?


もうね。

頭の中では


女子高生なウテナが現代社会を飛び回るようなのとか


機甲甲冑着たウテナが近未来で活躍するような話とか…


もしもウテナがハーゲン救護院に預けられず、ツクヨミ家に残って居たらとか…

そんなパラレル世界を描きたくてしかたないのです。


て、ウテナばっかりやん!

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[一言] 作者様のウテナ愛が熱い。(´・ω・`)
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