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リンドバウム王国記~転生王ユーヤ~  作者: 三ツ蔵 祥
第3章 ―ラウズ大陸動乱編―
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外伝Ⅱ ある日の休暇

50話記念の外伝です。

相変わらずフワフワした話しになりますが、よろしくお願いいたします。

 ここは戦神のダンジョン生活区。かつてユーヤ達が建てた3階建ての別荘は、今でも勿論王族用の別荘として使われている。

 シア様は別荘のお庭の芝生でお昼寝中である。試練突破のお祝いに父から受け継いだ、聖神剣マリオネートを枕にして。



「うっわ。悪魔が天使の顔して寝てるよ。」


 影の仕事を終えて別荘に遊びに来たハヤテが、幸せそうに眠るシアを見て思わず吐いた言葉である。


「おーい、トモエ。ここに地雷があるから気を付けろよー。」


 ハヤテは身重のトモエにシア(地雷)の居場所を伝えた。


 試練を終えて八ヶ月、トモエのお腹も八ヶ月であった。あの日の『セカンドの酔拳』は見事に的に当たってしまい、四ケ月目には挙式を執り行い、二人は今では夫婦となっていた。

 同時にハヤテは姓をアプリリアと改名して、途絶えてしまった公爵家を名乗っている。


 トモエが従者達に寄り添われながらやって来る。彼等もまた、ハヤテ同様影の軍団の一員である。ニンジャマスターの称号を持つハヤテは、今現在次期首領としてお傍付きを何人も抱える身であった。


「旦那様。少しはこのトモエの事も考えてください。サッサと歩かれても今の私は追いつけないのですよ?」


 相当に奥方はご立腹のようである。


「えー、傍付き達も居るんだし、そんなに怒るなよー。」「いいえ。一緒に歩く事に意味があるのです!新婚なのですよ?普段は仕事にばかりかまけてるのですし、こういうお休みの時くらい気を遣ってください!」


 ―えー休みなのに気を遣わなきゃいけないのかよー


 ハヤテがそんな心の声を発していると、シア様が欠伸をしながら起き上った。ハヤテは思わず身構えた。


「煩いぞ。誰が地雷じゃ。この愚弟が。」


 寝起きのせいか、シア様の目つきは極悪である。


「姉様起きてたのかよ。」

「お主の悪口でな。なんじゃ、イズナは来んのか?」


「イズナはヴァルキュリアで緊急任務だってさ。」


 姉弟で芝生に寝転ぶ。後から来たトモエも「シア様お久しぶりです。」と言って、二人の傍でお姉さん座りをした。シアもシアで「愚弟がいつも気苦労を掛けているようで済まんの。」と言いながらゴロゴロする。傍付き達はその様子を見てから一礼をして、別荘の中へと入って行った。


「時にトモエよ、サクヤ叔母はどうしておるのじゃ?」


「サクヤ様ならば、オーガ大陸で新たな魔王の誕生の気配があったとかで、テンゴウ様とお供数人とでオーガ大陸に探索に出ております。」


 シアは溜息をつきながら「相変わらず忙しいお人じゃのう。」と呟いた。それをハヤテが「仕方がねーよ。うちの母様の姉上なんだから。」と云うと二人は納得して微笑んだ。


「そういうお前達姉弟も似たようなもんじゃろ。」


「確かにそのとおりですわ。シア様もっと言ってやってくださいませ。」


 ハヤテは「あー藪蛇だった!」と頭を抱えた。


 それを見てシアとトモエが吹き出して、シアは芝生の上を笑い転げる。「笑い過ぎだろ姉様!」とハヤテは口を尖らせていた。


 トモエはそんな二人を見て、この家に輿入れして本当に良かったと思いながら微笑む。


 トモエは元天皇ツクヨミの長男の四女の子で五人兄弟の真ん中である。一応侯爵家ではあるのだが、サクヤやウテナに比べると、格は相当に劣る。

 それ故に逆に厳しく育てられてきており、姉弟でこのように戯れる事などあり得ないほどであった。このリンドバウム王家は、彼女からすれば憧れであったのだ。


 今、その憧れの王家に仲間入りしている自分を、夢を見ているのではないかと疑ってしまう事もしばしばある。しかも相手は初恋の人である。挙式の際には、このまま自身が消えてなくなってしまうのではないか?と思ったほどだった。


「どうした?何考えてんだ?」


 ハヤテがトモエの顔を覗き込んでいた。思わずトモエは赤面する。


「だ、旦那様の事を色々考えていたのですよ。」


 そう言うと、トモエはプイっと横を向いた。それを見ていたシア様がニヤニヤしながら「お主らは本当に仲が良いのう。」とのたまった。


 侍従達が別荘の中からテーブルと椅子を庭に運んでいる。どうやら昼は庭で頂くようだ。綺麗にテーブルクロスを掛け終わると、次々と料理が運び込まれようとしていた。


「あれ?そう謂えば義母様と父上は?」

「ん?ああ、おカジの方様の実家に呼ばれて歓待されておるらしい。なんでも温泉が出たとかでの。」


「「温泉!?」」


「夫婦三人水入らずならぬ、お湯入りじゃ。まだまだ弟か妹を作る気なのかの。まったく。」

「あはは。次が出来たら十人目…いや二人揃ってなら十一人目かな?」


「勘弁して欲しいのじゃ。城に居ると姉様姉様と五人も六人もへばり付いて来て大変なのじゃぞ?」


「シア姉様は人気があるもんなぁ。仕方ないよ。あはははは。」


 別荘からウテナの声がする。


「姫様ー、ハヤテとトモエもご飯ですよー。運ぶの手伝ってくださいなー。」


 その後ろから侍従達の慌てる声が聞こえる。


「ウテナ様!そのような事は我々が!」

「いえいえ、このような休暇を楽しむ時は、逆に自分達でやらせるべきだと私は思うのです。」


 一連の会話を聞きながら三人は微笑む。


「さあてと、侍従長も困ってるし、俺が手伝いに行って来るよ。二人は準備が終わるまで駄弁っててくれよな。」


「え!旦那様!私も―」


 シアがその手を引いて止める。


「このアルテイシア・クノン・クィーネがトモエ・T・アプリリアに命ずる。ここで待つのじゃ。奴に家族サービスとやらをやらせるチャンスではないか。」


 そう微笑むシアに、トモエは少し恐縮しながらも笑顔で答えた。


「イエス・マイ・ロード。貴女の命には背けませんわ。ラウズの女王様。」


 そう、王家の試練を終えた彼女、アルテイシア・クノン・クィーネは数日後の誕生日に、晴れて正式な女王となるのだ。


 決してユーヤが自由になりたくて娘に王位を渡すわけではない。かつての戦神サガの神託を実行する為なのだ。


 …たぶん。

今回はネタ詰りではありません。

息抜きではありますがw


すいません。

大事な戦闘の合間にこんなモノを挟んでしまって。

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